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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
戦いの道-タオ・ヂャンー

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二虎競食

 それはきっと皇帝が示したもの。

 この大陸の覇者になる為には、

 力だけでは無く運も必要だ。

 巧く疑いを持たれずに放置されている。

 事は順調に運んでいた。

 コウは巧く周りを巻きこみ

 自分を鍛えて信用を得た。

 皇帝を凌ぐかもしれない力を得ている。

 仮に失敗してもこちらが不利になる

 事は決してない。

 ばれていないのだから、

 何食わぬ顔をすればそれで良い。

 コウが失敗すれば元通り。

 だが寸での所まで追い込めば

 止めを刺す。

 コウは俺達が行動するように

 動いているのを解っていない。

 計画は順調だ。

 今軍は動き出した。

 慎重に、鷹の様に目を凝らして

 隙を窺う。

 個人的には巧く行って欲しい。

 そうすればこの大陸は俺のものだ。

 あの皇帝を俺は倒す事は出来ない。

 だが巧い事誘いこめた。

 シンが大陸に連れて行く事は予想していた。

 誰でもあの力を見れば助太刀にしたくなる。

 唯一失敗があったとすれば、

 多くの人間がアイツに感化された事だ。

 だが勢いでこちらの手勢を巻きこめば良い。

 これはコウが自身で示した事だ。

 アイツは実に良い御手本として動いてくれる。

「皆!準備は良いか!」

「おー!」

 当てられる熱気に絆されて

 つい大きな声をあげてしまった。

 だがこれで完全に溶け込んでいる。

 疑いを持たれる事は無い。

 太公望も後ろで見ているが、

 俺の方に視線は来ていない。

 まさか軍の中に天秤を司るものが

 居る事など気付いていないだろう。

 俺の匙加減一つでこの戦いの趨勢は決まる。

 良い、実に良い気分だ。

 この手の中に天下がある。

 いや頭の中か。

 踊るが良い。

 こんな贅沢を味わえる奴はいない。

 大陸を牛耳れる事が出来れば、

 交易も思うまま。

 鎖国状態の大陸を開ければ、

 評価も上がり経済も潤う。

 俺のする事はとても良い事だ。

 皆が幸せになる。

 だからこそ必ず成し遂げなければならない。

 そしてコウの側を離れるわけにはいかない。

 アイツは俺に対して警戒していないのが、

 とても運が良い。

 俺に運が向いている証拠でもある。

 シンが近くに居ないのも、

 後になってこちらが有利に進めるのに

 とても良い条件だ。

 これでこの大陸を取れなかったら、

 一生取れる可能性は無い。

 どこの大陸も狙っているかと思ったが、

 シルヴァ大陸の連中は思ったより頭が悪い。

 こんな機会は絶対ないのに。

 統治する自信が無いのだろう。

 それなら次はシルヴァ大陸を狙う。

 あの大陸には神秘が多いようだが、

 ただの戦闘民族などこちらでいかようにも出来る。

 考えるだけで嬉しい。

 どいつもこいつも俺の掌で踊っている。

 人が居ない所に行って

 笑い声をあげたい位だ。

 ああ神よ、我に幸運を与えて下さり

 感謝します!

 いけない。

 あまり気分が高揚するとばれるかもしれないな。

 コウは凄まじい力で首都を襲撃した。

 首都の兵士達も慌ただしく動き出している。

 もうすぐ合戦だ。

 巧く兵士を捌きある程度戦った後、

 安全圏で戦うふりをすれば良い。

 これでコウが皇帝と一騎打ちし始めたら、

 巧く近くへ寄って行く。

 影響が少なく、だが機があれば刺し込める場所へ。

 どちらも狙える位置が良いが、

 状況によって移動すれば良い。

 動いても援護しようとする動きだと

 誰もが解るように。


 まだか。

 皇帝よ早く出て来い。

 俺の運命よ、早く。

「敵襲だー!」

 来た!

 兵士達が首都から飛び出て来た。

 さぁ動け!

 首都の兵士を討てと命じろ!

「さてと、悟空さん引っ張りましょう」

「え!?ここでやり合うんじゃねぇのか?」

「まだです。ここでは相手の方が有利です。戦線を伸ばして相手の有利を消さないと。巧く引き付けてから下がります。皆、倒されない様に巧く受けてくれ。そして太鼓の合図1回で直ぐに下がってくれ」

「おー!」

 何だと!?

 ここでやらないのか!?

 確かに下がれば有利だが、

 首都を襲撃しないのか?

「ボーっとしてたら危ない」

 コウが俺に向けて言ってきた。

 明らかに俺に向けて。

 俺は黙って頷き言われた通りにする。

 自然に振る舞っていたのに何故?

 もみくちゃになる互いの兵。

 俺はここで倒れたら何にもならないと

 無我夢中で戦う。

 俺は強い。

 こんな一般兵に負けるはずが無い。

 余裕だ。

 命がまるで紙屑の様だ。

 戦は良い。

 弱い奴が死んでいく。

 ここに善も悪も無い。

 平時なら殺せば悪なのに。

 おかしな話だ。

 正義だなんだといっちゃいるが、

 戦になればそんな事はお構いなし。

 ここでは強い奴だけが生き残る。

 例え悪い奴でも。

 俺は生き残る方だ。

 余裕で命を奪える、奪う側の人間だ。

 作戦などどうでも良い。

 ドン!と太鼓の音が1つ聞こえた。

 俺は不意打ちを受けない様に、

 巧く引く。

 造作も無い。

 奪う側の人間なのだから。

 さぁ転がって来い俺の幸運よ。

 踊らされるように、こちらが引いたのを見て

 深追いをしてくる。

 馬鹿だ。

 皇帝の圧力のみで強いと思っている

 人間達など相手にならない。

 皇帝はまだ出てこない。

 アイツは案外意気地が無いようだ。

 笑える。

 そんな男がこの大陸を支配しているなど、

 コウにやられて当然の男だ。

 良し。

 良し。

 運はこちらに向いてきている。

 事前の準備も万端。

 肝も把握し何時でも抑えられる。

 ああなんて良い心地だろう。

 こういうのを何と言ったか。

 美味しい。

 美味しい。

 ああ、露と消える一般兵達よ。

 お前達が恨むのは、

 コウと皇帝だけだ。

 俺は恨まれない。

 そして戦っている。

 乗せられて戦った。

 そして止めを刺せば英雄だ。

 この大陸を手に入れられる。

 幸運だ。

「皇帝が出て来たぞ!」

 太公望の声が飛んでくる。

 さて巧い事戦って安全圏に

 位置取らないと。

 さぁ戦え。

 そして互いに絶えると良い。

 そうしてこそ俺の掌に転がり込んでくる。

 ブロウド大陸の覇権が!

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