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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
戦いの道-タオ・ヂャンー

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武神との対峙

「じゃあ始めるとすっか!」

 二日酔い状態だったが、斉天大聖さんの

 煎じてくれた薬ですっかりよくなり、

 朝御飯を頂いて街近くの野原へと来た。

 周りには斉天大聖さんを信奉する部下の人間達が、

 周りを囲んでいた。

 なるほど。

 力を示せば味方に、

 敗れれば御破算という訳か。

 解りやすい。

 竹を割ったような性格の人に相応しい

 対応だ。

「では。私はコウと申します」

 俺は相棒2振りを引き抜き構える。

「オラは悟空。斉天大聖とも呼ばれているけど、そんな堅っ苦しい名前はいらねぇ」


 悟空さんは如意棒を構える。

 一武人として戦いたいという意気と

 その気迫が感じられた。

「いざ」

「勝負!」

 悟空さんの如意棒はあっという間に

 俺の顔をとらえる。

 紙一重でかわす。

 勿論追撃での薙ぎもしゃがんで。

 俺は悟空さんの体に隙が多く生まれたところを、

 素早く飛び込み斬りつける。

 それを如意棒で受け止められるが、

 俺は構わず斬りこみ続ける。

 隙を与えて間合いを取られると危険だ。

「やるじゃねぇか!オラもちょっとだけ本気を出すとすっか!」

 

 悟空さんは如意棒を地面に突き刺して

 俺の斬りこみを防ぎ、

 足払いを仕掛けてきた。

 元々拳法にも通じた方だと考えていた俺は、

 その足払いもタイミング良く跨いでかわし、

 斬りつける。

 が悟空さんは如意棒を力任せに自分のほうへと

 倒して剣撃を防ぐ。

「でやぁっ!」


 悟空さんの剛拳が風を切り飛んでくる。

 俺は悟空さんの真似をして、黒刻剣ダークルーンソード

 地面に突き刺して拳で答える。

 俺と悟空さんの拳がぶつかり合うと、

 双方に衝撃波が生まれ、後方の人間たちをよろめかせた。

「へぇ!オメェはこっちもやれるのか!」

「突きしか出来ません」

「一を知る者は十を知るって事だろ。良いぜ」

 俺たちは再び剣と如意棒を手に取り、構える。

「えい!」

「はあっ!」


 如意棒を斬り払い、

 一気に間合いを詰めつつ斬りこむ。

 悟空さんは如意棒の中心を両手で持ち、

 如意棒を回転させて剣撃を防ぐ。

 棒術も流石一流。

 武神と言っても過言ではない。

 勝機など見えない。

 だけど楽しいと感じるのは

 俺もいつの間にか戦闘狂になっているからなのか。

「オメェも楽しいのか?」

 悟空さんに問われ俺の顔に自分の感情が

 出ているのを知り

「ええ、勝ち目など無いのに楽しいと感じています」

 と斬りつけながら言う。

「オラもさ」


 悟空さんを良く見ると、

 生まれたての赤ん坊のような顔をしていた。

 純粋武神。

 だからこそ示さなければならない。

 皇帝と相対しても負けない力を。

 先ずその気概を。

「オララララララララッ!」

 武神の本気の突きを距離を取りかわす。

 だがそれでも尚袈裟斬りそして逆袈裟斬りしつつ、

 距離を詰めてくる。

 隙を突いて反撃に出る。

 だが招き水。

 飛び込んで斬りつけた所へ蹴りが飛んできた。

 俺はそれを後ろに飛びつつ受ける。

 それを悟空さんは見逃さない。

 如意棒を振りかぶり振り下ろされる。

 それを転がりながら避け、

 直ぐに飛び上がる。

 如意棒は足の下を通った。

 そのまま俺は相棒たちを振りかぶり叩きつける。

「スゲェなオメェ!その体勢からこの力!」

「悟空さんが本気ならとっくに死んでます」

「ならお互いに本気を出さねぇか?」


 俺はそれを聞いて微笑み距離をとり頷く。

 目を閉じ意識を集中させる。

 集まれ全ての力よ。

 俺の命も含めた全てのものよ。

 俺にあの人が認めるほどの一撃を

 打たせてくれ。


 ―応―


 ――了承――


 相棒たちはキィィィィンと音を放ち、

 力を溜め始める。

 俺の体に静電気が走る。

 この大陸でも魔力や霊力などがあるのか。


 ―違う。お前が持つもの以外は―


 ――宙にも通づ、人が元々持っている――


 ―気の力―


 俺は目を開くと、俺の体を白い炎が覆っている。

 なるほどこれがシンの放っていた気か。

「やっぱオメェは只者じゃねぇ」

 悟空さんを見ると、同じように白い炎を纏っている。

 だがシンのものより黄色い色が混じっていた。

 それは虎のようで悟空さんらしい。

「この一刀に全てを掛けて!」

「受けて立つ!」

「うぉぉおおおおおおああああっ!」

 俺は相棒たちを掲げ、自分の力の全てを

 剣へと捧げる。

 そして俺はそのまま悟空さんへ叩きつけた。

「でやぁああああああああっ」

 悟空さんは如意棒で光の剣を受け止める。

 やっぱり凄い人だ。

 アーサー以上の者が居るとは思わなかった。

 というと少し嘘がある。

 何よりこの一撃はアーサーを打ち破った一撃に

 近いものがある。


 暫く持ちこたえていた悟空さんも、

 足元に受け止めた衝撃で出来た窪みが

 深くなり、如意棒を斜めにして受け流した。

 だがこの一撃は外せない!

 俺はそれに合わせて剣を薙ぐ。

 悟空さんは一瞬受け止めたが、

「こりゃ参った」

 という言葉を残して遥か彼方へと吹き飛んでいった。

 そして俺はそれを見届けて地面に倒れこんだ。

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