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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
のんびり冒険者譚

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首都へ

「コウ!起きろ!」

「ふぁー」

 俺は耳元で騒音が起こり、

 布団の中に潜り込む。

 朝方依頼を終えて、ウーナをおぶって

 冒険者ギルドに戻ってきた。


 ウーナは洞窟でもエルフの里でも

 まるで隙が無かった。

 ただのシスターにしては戦い慣れていた。

 それでも背中を任せられたのは、

 信じる気持ちと共に、

 俺には頼れる仲間が居たからだ。

 モーグルさん達との楽しい会談がお開きに

 なった後、冒険者ギルドへ戻る時に、

 教会の明かりがもれていた。

 気になって窓からのぞいてみると、

 ウーナが居た。

 像の前で祈るウーナはどこか

 神秘的で、とても美しく見えた。

 何かを信じ祈るというのは崇高なものに感じる。

 俺にとってそれは仲間と相棒だ。

「コウ、何時まで寝ておる!ミレーユが呼んでいるぞ!」

「ふぃー」


 俺はそんな事を考えながらも、

 粘れるかどうか試してみた。

 が

「起きんか!」

 布団を引き剥がされ寒さが体にダイレクトに伝わる。

 それでももう少しと丸まってみるが、

「しぶとい奴め」

 ファニーは俺を抱きかかえると、窓を開ける音がした。

 おいマジか。

「解った!起きます!今起きますから!」

「本当かな……?」

「いやマジで起きます!勘弁し下さい!」

「仕方ない」

 そして俺を床へポイした。

 痛すぎる!背中痛い!

 ダイレクトに叩きつけられて

 受け身を忘れた俺も俺だが。

「ほら、さっさと来い。急ぎの用だそうだ」

「急ぎ…?」

 俺は頭を掻きつつ背中をさすりながら

 胡坐を掻いて見当をつけようとしたが、

 全く思い当たらない。

「ほら着替えを手伝ってやる」

「いやいいよ」

「良いから」

 まるで母親のように俺に鎧を着せていく

 ファニー。

「今日は何時になく甲斐甲斐しいな」

「寝ぼ助だからな。それに昨夜は朝までだったのだろう?」

「まぁ」

「我も急ぎでなければ寝かせてやりたいところだったが」

「そんなに急ぎなのか?」

「そのようだ」

 あまり多くを語らないファニー。

 それにしては嬉しそうだが。

「ほら、これで良いだろう?」

「ああ、有難う相棒」

「相棒なら当然のことだ」

 ファニーと笑いあう。

 何だか久しぶりな感覚だ。

「コウ、ごめんなさい起こしてしまって」

 ギルドのカウンターに降りると、

 ミレーユさんは開口一番謝罪した。

 いや寧ろ先日の件で俺が謝る所だと思うんだけど。

「申し訳ありません英雄殿。私もそうとは知らずに急ぎの依頼を出してしまった」

 カウンターの傍で先日森で会った商人さんが居た。

「あ、この間はどうもです」

「こちらこそ。まさか貴方があの英雄殿とは知らず」

「いやいや、風聞だけです。で、依頼と言うのは商人さんが?」

「はい、私ザルツボルドと申します。エルツも所属するグラディウス国の首都グラディエで商店を営んでおりまして」

「それはまた凄いですね」

「いえいえただ先んじて商売を成しただけの事です。あの王の前ではキチッとした商売を行う者こそが利益を得られるのです。ですから信用を得た事が何よりで」

「あのクロウディス王に信頼されるとはやっぱり凄いですよ」

「有難う御座います。私は先日の貴方の腕と指揮に信用できると考え、依頼させて頂きたく参った次第です」

「では詳しく教えて頂けますか?」

「はい」


 そこからザルツボルドさんの依頼内容を伝えられる。

 急ぎで首都までエルツで仕入れた荷物を運びたい。

 その護衛を頼みたいという依頼だった。

 農作物が多い為、出来れば鮮度を落としたくない

 との事。

「解りました。私で良ければお引き受けいたしましょう」

「ありがとうございます!お代はキッチリ払わせて頂きますので」

「宜しくお願いします。ファニー今居るのは?」

「全員いまーす」

 恵理の声が奥のテーブルからする。

 全員集合してた。

 皆早いなぁ。

「プレシレーネどうする?鍛冶屋を始めるって言ってたけど」

「出来れば今回もご一緒させて下さい。私も首都は少し見た事がある位で」

「解った。アリス、来るか?」

「愚問」

「はいはい。じゃあ皆準備は良いのかな?」

「いける」

「僕は大丈夫」

「アタチたちも大丈夫だのよ」

「私も問題ありませんわ」

「私も首都ってのをみたいし今回は進んで参加!リムンちゃんと色々見て回りたいし♪」

「よし、じゃあ早速出発しようか」

「おう!」

「では皆さん私どもは北門でお待ちしております」

「直ぐ向かいます。宜しくお願いします」


 こうして俺達は期せずして首都へと赴く事になる。

 そこでは何が待ち受けているのか。

 俺は少し不安がよぎった。

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