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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
のんびり冒険者譚

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普段和やかな人が起こると怖いのはどの世界も一緒の件

「おはようございます」

 俺はゆっくりと冒険者ギルドへと降りて行く。

「コウ!何だそれは!」

 降りるなりファニーの怒号が飛ぶ。

 まぁ横にアリスが居るからだが。

「はぁい皆さんお久しぶり。私も今日から仲間に加わるんで宜しくね」

 ウィンクしながら煽るアリス。

 それに対して女性陣はガタッと音を立て

 一斉に立ち上がる。

 わーお朝から炎上する感じですか?

 マジすか。

「えーっと今日の依頼は何かなぁ?」

 俺は話題を逸らそうとしたが

「このパーティには参謀が欠けているもの。私が加わる事でコウの覇業は進む」

 更に煽る。

 覇業ってマジッすか。

 どこを制覇するんすか。

「参謀など要らん!我が付いていれば国の一つや二つ!」

「コウ様に参謀など不要ですわ。いざとなれば、我ら教会が後押しさせて頂きますもの。勿論私が傍に控えていればこそです」

「僕が居れば別にどこに国を立ち上げても正当性が成るから」

「参謀とは和を乱すものなのですか?」

 プレシレーネさん的確なツッコミ素晴らしい!

 俺は横を見るが、響いて無い。

「和を以て貴となすのは貴女達だけでやれば良い。私は私のやり方でコウを天下へと押し上げる」

 拳を握り力説するアリス。

 こんなキャラクターだったか!?

「すいませんもう何を言ってるか理解不能何ですが」

 俺が率直に言うとアリスは鼻で笑い。

「貴方は私の横に居るだけで良いのよ。これからは不自由はさせないから」

「何を!?」

 ここからあまり見たくもない惨状が広がる。

 姉妹の喧嘩は凄まじいと聞いた事がある。

 しかもここには竜やら堕天剣持ちやら魔族やらシスターなど

 街一つ破壊出来そうな人材の坩堝になっていた。

 ギルドの修繕費幾ら掛かるかな。

 俺はもう死んだ魚のような目でその光景を

 見守る事位しか出来なかった。


 ギルドが破壊されてもミレーユさんは笑顔だったが、

 ついに動き出す。

 カウンターから出てきた!

 俺はその優雅な動きを見ながら唾を飲み込む。

 ヤバいぞ。

 怒らせたらダメな人が動いてる!


 そこからはあっという間の出来事だった。

 ファニーを先ず掴んで外へ放り投げると、

 次はロリーナに足を掛け態勢を崩して吹き飛ばす。

 ウーナの頭を掴んでポイすると、

 次はプレシレーネを担いで放り投げた。

 そしてアリスの足を取り、

 ジャイアントスイングで外へ出た皆へ向けて

 投げ放つ。

 全ての動作を終えると、スカートの裾を払い、

 身なりを整えて俺に笑顔で向き直る。

 怖すぎる。

 俺は指一本動かせず、近付いてくるミレーユさんに

 あわあわしながら居ると

「コウの責任でもあるから同罪ね」

 と笑顔で言われ体を外へ向けられると、

 脇に拳を握った腕を差し込まれ吹っ飛ばされる。

 空気投げとかどんだけ!?


「じゃあ皆、今日の仕事はギルドの復旧ね。勿論無償で」

「はい!」

 俺達は即座に立ちあがり敬礼する。

 化け物だ。

 ミレーユさんも絶対十傑に入ってるよなあれ!

 俺は言いたいのをグッとこらえる。

 笑顔で俺達を見つめるミレーユさんをこれ以上

 怒らせたら不味い。

 俺は急いでファニーの手を取り走り出す。

 マジ殺される。


「ちょっ!アンタら何処行くの!?」

 俺達が森へ資材調達に全力疾走していると、

 恵理とリムンが手を繋いで歩いて来た。

 だが答えている場合じゃない。

 マジ急いで復旧しないと命が危ない。

 恵理とリムンの横をダッシュで駆け抜け

 森まで全速力で辿り着くと、

 俺は木を倒す。

 そして落ちてきた木を一刀両断し、

 ファニーとプレシレーネが持っていた武器で、

 カットしていく。

 そしてウーナとアリスはそれを集めて担いで

 街へ戻る。

 ある程度資材を確保した後、

 全員でギルドへダッシュして戻る。

「俺は道具屋で研磨するものと塗料を手に入れてくるから、皆は壊れた所で使えそうにないものと使えるものを分けてくれ。使えない物は外に。使える部分があるかもしれないから」

「了解!」

 必至である。

 俺はダッシュで道具屋へ向かい、オードルの兄貴に事情を話して、

 カンナのようなものと茶色の塗料、釘などをゲットし直ぐ戻る。

 皆も必死でやってくれていて、使えるもので復旧し始めた。

「皆、材料ここに置いておくから」

「はい!」

 俺も大工仕事に移行する。

 ガンガン叩きつつ、足で踏んで軋みが無いか確認し、

 外壁も長さに合わせて資材をカット。

 ペンキも高速で塗り整える。

 

 こうして俺達は半日掛けてギルドを復旧した。

 中へ入るのも疲れていて、皆で背中を預けながら、

 外で円陣を組んでいた。

「皆御苦労さま」

 ミレーユさんの声が飛んでくると、

 俺達は一斉に起立し、

「トンでもありません。すみませんでした!」

 と綺麗に頭を下げた。

「いいのよ。でも今後は無い様にね」

「ふぁい!」

 もう返事も可笑しくなっていたが、

 ミレーユさんは頬笑み中へ入るよう促す。

 俺達はそれを見てまた崩れ落ちる。

「もう」

「ミレーユを怒らせるのは止めよう」

「そうですわ」

「怖いです」

「流石。本気だったら私達死んでるわよ」

「だろうね」

 そう確認し合い、中に入らないと

 更に怖い事が起こりそうなので、

 我先に中へと入る。

 こうしてめちゃくちゃな一日は終わった。

 アリスは

「的確な指示と動きとフォローだったわ。戦い以外でも力を見せてもらえてよかった」

 と俺に耳打ちしてきた。

 俺はゲンナリする。

 そして幾つかの何かが飛んできて、

 俺の顔面を捉えた。

 俺が何をした。

 今日は厄日だ。

 そう思いながら前のめりに倒れるのだった。

 

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