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2章 後悔

この章からは菫子の回想。


「今日のミッションはA町で起こっている暴動の鎮圧、だ。皆、心して掛かるように」


薄暗い社内の中で整列する治安保護兵にそう呼びかけたのは治安保護兵担当の常務取締役、アリスであった。

清楚なスーツ姿を電灯に照らし合わせ、高々と声を上げる。


「所詮、民衆の暴動でしょ?・・・こんなの楽勝ね。・・・首1つで何円給料が上がるかしら?」

「あくまでこれは『勤務内』の事だ、ボーナスは増えない」

「ちぇっ、あんたもケチね」


そうアリスに文句を吹っかけたのは金勘定に厳しい兵士、博麗霊夢であった。


「別にボーナスを増やしてくれたっていいと思うぜ」

「お前に権限はない。全ては私と清蘭様の一存で決まること。資金は武器製造課にも回されるからな、ボーナスは余り期待しない方がいい」

「あっそ、だぜ」


言い切った魔理沙。彼女もまた治安保護兵であり、給料に関しては厳しい。

適当にアリスの発言を受け流した彼女はやる気が全く無さそうであった。


「お前ら少し黙っておけ。給料の話に関しては暫くナシだ」

「最初から論点を乱す発言をするな情弱ども」


呆れたように呟いたのは漆黒の翼を靡かせる「殺戮の天使」。

赤い目を寂しげに煌かせ、持っていた剣を見つめていた。


「ふん、いつも格好つけているあんたと比べたら情弱じゃないわルーミア」

「穏やかじゃないですね」


拳銃の銃口に息を吹き掛けるのは「狂気の眼」として周囲から恐れられていた鈴仙。

くだらない論争に溜息をついていた。


「どうしていつも貴方たちはそう言い争いをするのかしら?」

「馬鹿だからだよ」


そう言い切ったのはマントを靡かせ、眼鏡を飾った眼で霊夢たちを蔑んで観ていた菫子本人であった。

アリスの問いに即答で答え、霊夢たちは菫子を睨みつけた。


「馬鹿って何よ!?あんたなんかと比べたら・・・」

「馬鹿は馬鹿、不変の真理に口出しするな。フン、お前もチルノみたいな精神年齢だな」

「ば、馬鹿じゃないよあたいは!」

「そ、そうだよ!チルノちゃんは・・・少し頭が硬いだけだよ!」


すぐに反論したのは同胞の治安保護兵であったチルノと大妖精。

彼女たちも治安保護兵であり、菫子の暴言に抗おうとする。


「その『頭が硬いだけ』が『馬鹿』と同じ意味なんじゃないのか。妖精はやっぱり阿呆だな。

もう少しマシな思考回路を持たないのか」

「お前は只何か暴言を吐きたいようだな・・・」


チルノと大妖精は菫子の暴言を受けて半泣きの状態であった。

そんな菫子を制したのは殺戮の天使であった。彼女もまた、菫子に呆れを見せていた。


「無能に『無能』と言って何が悪い?それと同じ、お前も鈍い脳内構造だな」

「もう言い争いをやめろ。醜いぞ」


アリスは暴言を吐く菫子を止め、ミッション内容の説明に入る。


「今日のミッションはヘリに乗り込んでA町に潜入、1人残らず町から連れ出せ。

・・・いいか、『1人残らず』だ」


◆◆◆


「こちらC隊ヘリ、まもなく治安保護兵の降下に入ります」

「了承、こちらも入ります」

「了承、B隊もA町の襲撃に入ります。攻撃目標確認、町長;東風谷早苗。

・・・菫子、霊夢、ルーミアは降下用意に入れ」


「はいよー!私に任せなさい!」

「・・・目標の鎮圧を図ります」

「町長の鎮圧、か」


無線からの連絡を受けた操縦士から言われた3人の眼下の大きな街に向かってヘリの扉を開け放つ。

オデュッセウス・アーバンテクノロジーのロゴが入ったヘリの機内に空中の涼しい風が入って来るが、それに抗うように3人は一気に飛び立った。


バンジージャンプのような降り方。しかし彼女たちは並の兵士では無い。

町衆が彼女たちが降り立った瞬間に混乱し、それぞれが色々な場所へ逃げて行く。


そして3人はそれぞれ武器を構えて町長の家に無理やり入ろうとする。

しかしその行く手を阻むもの・・・勇敢な町衆たちが町長の家までの道のりを塞ぎ、包丁や竹刀などを構えては哀れにも立ち向かおうとしていた。


「・・・こ、この先の早苗様の家には、は・・・い、行かせないぞッ!」


言葉から読み取れる畏怖は3人にとっての余裕であった。

群れになって襲い掛かってきた男たちは3人を倒そうと―――した。


「非力な癖に堂々と立ち向かおうとする勇気・・・一番小賢しいんだよ」


ルーミアは漆黒の翼を吹く風に流し、立ち塞がる群れに斬撃波を決める。

剣を大きく空中で一振りし、空中で起きた摩擦が衝撃波と為って一気に牙を剥く。

非力な町衆たちはそんな攻撃に為す術もなく、あっけらかんと身体を引き裂かれてしまう。

首を裂かれ、頭部と身体が分離した者・・・。

腹部を裂かれ、中から大腸と小腸が腸を食らい尽くす大蛇のように血にまみれて姿を露見させた者・・・。


「・・・無様だ」


3人は遠慮なく内臓の上を歩く。靴の裏に赤き液体がくっつくが、気にしてもいなかった。

そして乗り越えた先の家・・・そこで戦いが行われようとしていた。


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