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ライオンハート~獅子の心~  作者: れおん
精霊と知らない大陸
16/24

15話 消えた魔法~異端の子

体に流れるこの忌まわしき血脈


日々体の傷より流れ出るこの赤い液体に一体何の意味があるのだろう・・・


生まれながらに忌み嫌われたこの命


死ぬことが怖くて今まで生き続けてしまった


黒き守護者の足音はいまだ聞こえず・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「じゃあ気をつけるんだよ!!」イレーネは船員の前なので、いつもの調子でレオンたちに別れを告げた。

しかし、その眼にはしっかりと涙が浮かんでいることをレオンたち4人ははっきりと見ることができた


因みに、案の定マークは船を降ろされたのだが「知らない場所にいきなり降ろされたら路頭に迷っちゃうよ!!」と涙ながらにレイナを説得して何とか一行の資金稼ぎ兼雑用係として仲間に加えられたのであった


マークが大喜びする後ろで、レイナが笑みを浮かべながら勝利の握りこぶしを隠れて握っていたのは言うまでもない


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一行は町を探して歩いているとレイナがふと足をとめた

「ね、ねぇ・・・ちょっと二人とも魔法使ってみてくれない?」レイナは焦りの混じった苦笑いで振り返る


「魔法?別にいいけど」「はーい」


「ってあれ?使えないぞ?」

「僕は使えるよ?ほら!」そう言ってマークは以前のように花びらを大量に出して見せた


「なんでマークだけ使えるのかしら?」

「日ごろの行いじゃないかな?」マークは得意げに言った

「だったら俺ももっと悪いことしておくんだったなぁ」

「そうね」

(これからは盗賊にでもなるか?)


「君たち・・・・・僕のことそんな目で見てたんだね」そう言ってマークは拗ねてしまった

「でも俺が生きてるってことは、魔法が使えないってわけじゃないんだろ?」

「そうなのよねぇ」


(そもそもこいつの不老不死はここでかけた魔法じゃないだろうに)サイファーは草を食べながらつぶやいた


「それよ!!」

「どれだ?」

「ちょっとマーク!いつまでも拗ねてないでこっちに来なさい!!」

「なんですか?僕戦うの嫌ですよ?」


「そのカード新しく作ってみてくれない?」

「え~いやだよ、マジシャンが手品の種明かしをするなんて」

「な・に?」

「すぐにやらせていただきます!!」


「手品の種明かしだってよ!楽しみだな!なぁサイファー?」

(あぁお前は知らないんだったな・・・こいつの手品はな・・種と仕掛けだけでできてるぞ)


「それじゃあ非常食ってことで今サイファーが食べてる草でも封じ込めますかね・・・・・あれ?」

「やっぱり、この大陸で魔法は発動できないんだわ!」

「さっきマークが使ってたのは?」

「マークの魔法はあくまで封印よ、カードの中の魔法はもうすでに発動してあるってこと、カードにすることが魔法なのよ、だから新しくは作れない」


「ってことは今の手持ちのカードがこの大陸で僕が使えるカードってこと!?」


「戦闘の役にも」

(生活の役にも立ちそうにないな)


レオンとサイファーが残念そうな目でマークをみる


「とんだ荷物を引き受けちゃったわね・・・・はぁ」


「な、なんでさぁ!?君たちだって」


「剣があれば戦闘はこなせると思うぞ?」

「魔法が使えないからレオンと同程度ってとこかしらね」

(私は移動手段と荷物持ちだ)


「な、えぇっと・・・・・僕だけなの?、なんで!?」


「日ごろの」

「行いだったかしら?」

(そう聞こえたな)


そういうと3人は動かなくなったマークを置いて海から離れるように歩いて行った



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ついたな・・・・ついたが、次の街を探すか?」レオンは街の惨状に思わずそう口にした

「そうしたいのは山々だけどね、もう食料が尽きてるのよ。町には入らないと」

「この・・・・村?から食料を?ずいぶん大人げないねぇ」


「じゃああんたはサイファーと一緒に草でも食べていなさい」

「腹壊すなよ~?」


「そりゃないよ・・・」

「じゃあここから役割分担よ。サイファーと荷物は情報収集とできれば資金や食料もお願い」

「荷物って!?、それに食料も、ましてや金なんてそもそも存在するかどうか」

「だから出来ればって言ってるでしょ?それに無理でもなんでも集めなきゃいけないのよ、食料はもとよりお金だって」


(むしろ金銭のほうが問題だろうな)

「どういうことだ?」

(硬貨には普通その国の国章や名産、風景が刻まれているな?)

「ああ」

(それはただの鉱石に美的価値を付与する効果があるが、国はそれ自体に重要な役割を課している・・・わかるか?)


「ま、まさか・・・お国自慢・・・か?」

「いやいやきっとあれだ、いつでも版画ができるように・・ぐへぇ!!?」

「その国のみで流通させるためよ、ほかの国にはほかの国のお金が存在するから」

「ってことは、この大陸で前使ってた金は使えないってことか?」

「そう、そこでこの旅で一番の問題になるある可能性が浮かび上がるわ」


マークが真剣な顔になる


「お金が稼ぎにくい・・だな」

「違うわ、荷物はちょっと黙ってなさい、刻むわよ?」

(一つは今持っている金が全く役に立たなくなるどころか、帰った時のために残しておかなければならず、完全なマークになるということだ)

「完全なマーク・・・荷物ってことか・・・・ってそれ俺のことじゃないかよ!!」マークは半ば自棄になって叫ぶ


「まだあるのか?」


「あくまで可能性だけれどね、この村と呼ぶのもためらわれる集落を見て何も感じない?

「まぁ1番に何もない、だな」

「金銭は様々なものが流通する国家が価値を統一するために作るの」

「つまり、ここには・・・」

「ええ、お金の存在自体がない可能性があるってこと」

(この景色からするに大いにあり得る話だな)サイファーは自分には関係ないとばかりに呟く


「まぁ最悪お金の存在さえ確認できればいいわ、サイファーできる?」

(私からは話しかけられないからな・・・この荷物に頑張ってもらおう)

「名誉挽回のチャンスだな!がんばれよマーク!」

「僕何か悪いことしたの!?」


「密航だろ?」

(手品の種も詐欺といえる)

「なんか軽薄そう」


「ぐっ・・なんだよみんなして!あと最後の軽薄そうって何!?第一印象が罪なの!?」


(騒いでないでさっさと行くぞ)サイファーはマークの服の襟を咥えてずるずると引きずって行った


「レオは私と宿屋・・・寝床を探すわよ」

「言い直すなよ・・・不安になるから」


残りの二人も冗談・・・と言えなくもない会話をしながら歩いて行った


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「えーと・・そろそろおろしてくれないかい?その・・・サイファー・・さん」

(サイファーでいい、あと人前で話すときは頭の中で念じろ、さもなくば頭のおかしなやつだと思われた上でレイナに口のきけない体にされるぞ)


「それはこわいね。それが冗談話じゃないことはここに来るまでの旅で理解したよ」

(・・・・以前、お前が密航した港町でのことだ)

「あの時はお金がなくてねぇ・・客船かと思って乗っちゃったんだ」


(そんなことは聞いていない、いいから聞け。港で話していたら偶然レイナの歳の話になってな)

「若そうだよねぇ、見たことない位美人だもん」

(その場にレイナはいなくてな)

「別行動か、あの人なら心配いらなそうだもんね」

(偶然なのか、必然なのか・・聞かれてしまったんだ)

「聞かれたって・・年齢の話を?まぁあのくらいの年齢の女性はそういうのにデリケートだからね、怒られただろう?」

(確かにな、まぁお前が想像してる歳とは違うだろうがな。レイナはレオンのことを物陰に引きずっていき)

「ゴクッ」

(それからしばらくレオンはレイナに吹き込まれたであろう言葉を機械のように繰り返した)

「な、何をされたらそうなるんだ」

(さぁな、想像もできないくらいの恐怖を味わったか、もともとレイナは肉体操作の魔法を使うから・・・操られていた・・とか)

「すごいとは思っていたけれどどれだけ大きな魔力を持っているんだ?僕がそんな魔法使ったら魔力が枯渇して死んじゃうよ」

(それから人形のようになったレオンを連れて宿屋に行ったんだが)

「なにかあったの?」


(あの海賊どもがレイナにナンパしてきてな)

「いやぁ無知ってこわいねぇ」そう言ってマークは苦笑いする

(それが笑い事じゃなくてな。海賊共はレオンに私とレイナを置いてどこかに行けと言ってきた)

「女性が目的だったんだろうけど・・・レイナちゃんならゴロツキが100人まとめてかかって行っても余裕で勝てちゃうだろうね」

(まぁそれはいい、そこでレオンが問題を起こした、いや問題を起こしたのは海賊どもか)

「しゃべれるようになったんだ?」

(少しだけな)

(そこでレオンは海賊に説得を始めたのだが・・・うっかりなのか只のバカなのかレイナの歳を話してしまったんだ)

「で、何歳なの?」

(まぁ続きを聞け、すぐに聞きたくなくなる)

「わ、わかった」

(あの見た目だからな、並の人間なら皆レイナの年齢に驚くことだろう。海賊共もそれはみごとに驚いてな・・・育ちも悪いせいか・・・まぁ、あとの祭りか。言ってしまった・・口に出してしまったんだ「ババア」と)

「それは…なんというか想像すらしたくないね」

(海賊どもはその瞬間、話し終える前に空中に舞っていた)

「そんなことできるのはなんていうか・・・あの人くらいだもんね」

(そのあとはレオンと同じ展開だったが直に言われた分怒りも大きかったんだろう・・・何をされたのか・・・男たちは泣き叫んでいた)


マークは立ち止まって震えていた

(話はこれで終わりだ、情報を集めるぞ?)

「ちょ、ちょっと!!一つ気になったんだけど」マークの顔は青ざめていた

(なんだ?)

「もしかしてさっきサイファーが僕に年齢を教えてくれていたら」

(お前の身に危険が降りかかる・・・か?まぁ安心しろ、絶対の保証はできないが私は声を発していないからな。おそらく近くにいなければ大丈夫だろう)


「な、なんだよかっ・・・・た・・・」

(これは・・・まずいな・・・)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「よかったな、ちゃんと宿屋見つかって」

「ええ、それに内陸のほうの街にはちゃんとお金も流通してるみたいだし」


「よっぽど田舎なんだなぁこの村は」

「と、言うよりは何か隠していたみたいだったわね、大体どんなに小さくてもどんなに遠くても金銭がここだけ流通してないっておかしいと思わない?」

「俺たちの大陸では聞いたことないな、まぁ俺は流通しててもお金なんて持ってなかったけどな」

「でも、一切使わなかったってことはないんじゃ・・・・!!」

「どうした?なんか面白いもんでもあったか?」

「まぁ、大事な用事は出来たわね。ついてきなさい」

「お、おい!?まてよ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(これは・・・まずいな・・・)

「あぁら、楽しそうなお話だったのにもうやめちゃうの?さ、続けて?」

(こ、これはだなレイナ。深い事情が)


「何?」レイナは凍りついた笑顔のままじりじりと近づいていく

(い、いや)サイファーも同時に後ずさり始める

「ちょ、ちょっと待って、何もそこまでムグッ・・・・」

「バカッ、死ぬ気か!?今はレイナに立ち向かうな、サイファーが悪い」レオンはマークの口をあわててふさいだ

「ムググッ」マークは息ができずにレオンの腕をバシバシと叩いた

「?ああ、わるいな。とにかく怒ってるレイナには逆らうな、治療できるからって普通に剣で切り付けてくるぞ?」

マークは無言でコクコクと頷くとレオンの後ろに隠れた


「さぁ、サイファーこっちにいらっしゃい?」

(悪かったレイナ!暫くは私もマークも黙っていよう!な?)

レイナは剣を抜くとにこやかに言った

「体をバラバラにして少しずつ運ぼうかしら?」

((や、やりかねん!))

(わかった・・・・ただ、命は保証してほしいのだが)

「あなたの心掛け次第よ」


そして二人は物陰へとはいって行った


「で?何を話したの?」レイナは剣を突き付けながらサイファーに向き直った

(ただの馬を本気で脅すな、ちゃんと話すさ)

「おしゃべりな馬はただの馬とは言えないわね、そうはおもわない?」

(確かにな、で話した内容だがな。お前の危惧していることは話していない誓って、だ)

「じゃあなんでまずかったのかしら?」

(それは、確かに危険なラインだったのでな動揺してしまった。あいつには港でレオンと海賊がレイナに失礼なことをして怒られたことと、私には声に出して話しかけるなと教えていたのだ。あやつはレオンと違ってそういうことに興味があるようだからな。道中お前に殺害されてはさすがに寝覚めが悪い)


「まぁ、確かに考えられるわね」

(それに…だ)

「?」

(話し相手になってやれば時間も稼げるだろう?)

「なんのよ?」

(せっかくの二人きりなのだからな、旅をしているとこんな時でもないと別行動にはなれんだろう?それが目的であの男の面倒を私に押し付けたのだろうし)

「くっ!わかったわよ!会話の内容も確かに必要なことだし、その気遣いも嫌な気分ではないしね」

(ならお前たちは仕事を終えたようだし、俺たちもさっさと情報を集めたいんだが?行ってもいいか?)

「その必要はないわ。宿屋で大体の話は聞けたから、これからのこともあるし宿に向かいましょう?」

(さすがだな、わかった行くとしよう)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お帰ってきたな、生きてるかサイファー?」

(ああ、なんとかな)

「何もしてないでしょ!?さっさと宿へ向かうわよ」


「はいっ!レイナさん!!」

「レオ?あんた何か言ったの?」

「いや、お前が剣を抜いてからこんな感じだぞ?自業自得だろ」

「まぁいいわ、従順なことには問題もないし」


(さりげなく自分が恐れられているという事実をうやむやにしたな)

「だな。ま、今はおとなしくしているに限る」


「あんたたち?聞こえてるわよ」

「い、いやなんでもな・・・ん?」

「ちょっと!人の話を聞いてるの!?」

(レイナ、あそこに子供が倒れている)

「しかも何か傷だらけだぞ?」

「なら私の魔法・・・は使えないんだっけ。とりあえず宿まで運びましょう?」

「そうだな」

「ならおれが運びます!!」

(無理するな、私に乗せろ)

「よろしくねサイファー、マークは落ちないように見てて」

「はいっ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

集落唯一の宿屋前


「すみませ~ん!人数一人増えちゃってもいいですか~!」レイナが入口の戸をあけながら声を上げる

「ああ、かまわな・・!!あ、あんたたちこいつの関係者なのか!?もらったもんは返す!!出ていってくれ!!!」

「え?いやちょっと!?」

店主は入口の戸を大きな音を立てて閉めると鍵をかけて建物の中に隠れてしまった


「な、なんなの?」

「こいつに問題があるみたいな言い方だったな」

(なんでお前たちは入ってすぐに戻ってくるんだ?)

「なんかこの子供を見たら血相を変えて閉めだされちゃったんだよねぇ」マークは子供を抱えながら言った


(もう日が暮れる、泊まれないならあきらめて雨をしのげるところを探すほうが賢明だろう。この際民家でも構わない)

「そうね、急ぎましょう!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まさかどこもダメとはな」

「この子はいったい何者なのかしら?」

「この際仕方ない、可哀想だが起こしてこいつの家を聞こう。このまま抱えて移動するよりはこいつも楽なんじゃないか?」

「そうね、マーク?お願いできる?」

「わかったやってみるよ・・・おーい、大丈夫か?起きてくれないか?」

「その・・なんというか・・逆に眠くなりそうね」

(確かにな、仮にも客商売のプロのくせに)

「う、うるさいな!子供を起こすことなんて初めてなんだよ!」

「?ちょっと俺に任せてくれ」

「もう起きれば何でもいいわよ、任せたわ」

レオンは無造作に男の子の脇をくすぐり始めた

「ぷ・・くっ・・・あはははは!ごめんなさい!や、やめて!起きるから!」

「起きてたのね」

「なんで寝たふりなんか」

「僕の努力は?・・・・・」マークは一人遠くで落ち込んでいた


「ごめんなさい、途中から起きてたんだけど。その、目が覚めたら知らない人たちに運ばれてて怖くて」

「まぁこんな物騒なものぶら下げてれば確かに怖いかもな」

そう言ってレオンは剣をはずしてサイファーの鞍にしまうとする

「!!その剣!!」


子供は剣を見たとたん目を見開いたと思うとすぐに駆け出しサイファーから剣を奪い走り去ってしまった


「な!?」

皆が茫然とする中で

「あ!これで宿に泊めてもらえるんじゃない?」とマークは一人喜んでいた

「俺の剣が!!」

「剣なら僕が出してあげるよ?それにこんな暗い夜森の生い茂った山に入ったら迷いこんじゃうよ!」

「さすがにあの剣はあげられないわね」レイナは「はぁ」とため息をつきながらレオンを追いかけた

(閉めだされて鍵をかけられたのだろう?なら子供が居ようと居まいとお前の声を聞いて宿の主人が鍵を開けてくれると思うか?それに馬小屋まで聞こえるあの剣幕に子供のけが・・・・私たちも子供と共に夜襲をかけられないとも限らない)

「ただの村人くらい僕が!」

(魔法も使わずにか?俺は行くぞ)

「ま、まってよ!?僕も行くってば!や、やっぱり無駄な争いは好まないしね」

(賢明な判断だな。かなり出遅れた、乗れ!)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夜の闇の中レオンとレイナは魔法を使っていないにもかかわらず常人離れした脚力で山の中を疾走していた


(?道がある・・・こんな田舎の山道に?)

「なぁレイナ」

「わかってるわ、何かしら建物か・・・施設とか・・・海の水は飲めないから湖とかにつながってるんじゃないかしら?」

「こりゃ途中で隠れられたら見逃しちまうな」


「これまでの夜の特訓に比べれば明るいほうでしょ、無くしたらおばあさんに面目が立たないわよ?」

「そういやばあさんの名前分からずじまいだったな」


「そうね・・・みて!明り!」

「入れ違いにはならなくてすみそうだな」


二人は明りのもとについて足をとめた


「これは・・・」

「でかいな」


目の前には普通の住居にしては大きすぎる建物がそびえていた


「いくぞ!」レオンは声を殺してレイナに言った


すると後ろから蹄の音が聞こえてきた

「ま、まって!」


「遅かったわね?」

(馬に向かって遅いなどとぬかすのは世界中探してもお前くらいのものだ。大体山道ということを抜かしてもお前たちの脚力はもはや人間のそれではない)


「ここで間違いなさそうだねぇ」一人元気なマークが呟く

「なんだ、きたのね?」レイナが嫌味をこめて言う

「いや、変わった剣だとは思っていたけどそんなに大事なものだとはおもはなくて・・・・・ごめん、悪かったよ」

「あの剣は・・・もともと勇者が持っていたものらしいんだ」

「売ったら国一つ分の土地くらい余裕で買えるんじゃないかしら」

「え?冗談だよね?」


「保証するものは何もないけどな、それに勇者の剣かもしれないから大事にしてきたわけじゃないんだ」


「込み入った話はあとよ!あの子はきっとあの剣が勇者の剣だって知っていて持って行ったんだから、詳しく話を聞かないと」

(剣を見た瞬間顔色が変わったからな)


「行くぞ!」

(私は建物の中では足手まといになる、落ち着いたら教えてくれ)サイファーはマークにそう伝えるとその辺で食事を始めた


「のんきだなぁ・・・・あれみんなは?・・・お、置いてかないでよ!」


マークはあわてて屋敷の中へかけて行った



(!!!お前たちは・・・・仕方ない・・私も屋敷に入るとするか)



渦中にあるは別大陸から来た勇者の剣


追われるは傷だらけの子供


追うは人の理から外れた男女



真実はいまだ誰の手にも渡らず・・・

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