13話 クラーケン~姉
時は夕方、海猫の鳴き声とともに店じまいを始めるプラシェの街並み
その穏やかな光景は海賊の縄張りとはとても思えない
一方その頃の海賊船では
「え?え!?」密航者の手品師が取り乱し
(うっ・・・・気持ち悪い)船に乗る馬は船酔い
「お頭ぁ」「船長!!」女にすがりつき半べそになる海賊たち
「これと戦うのか?・・・・船壊されて終わりだろう」
はじめての海でなぜか死を間近に感じる不老不死の男
「あんた達!!先代の敵をとるんだろう!!しっかりしな!!!」
「作らせてたいかだをありったけ海に投げ込んで!!今すぐ!!空の樽や木箱もよ!!」
そして頼りになる女性陣・・・
このメンバーで大海原の覇者、イレーネ家が語り継いだ魔物と対峙するのであった
現在、海はクラーケンの出現とともに荒れ始め空は徐々に雲で覆われ始めていた
船にはおびえる男たちと勇敢な女衆
海には魔物クラーケンと海賊船そして船のまわりにはいかだや樽などの木材がばらまかれていた
「いいレオン?時間が無いからよく聞きなさい!船が無事じゃないと勝ったとしても漂流は必至よ!だから今回はあの木材に飛び移りながら戦うわよ!!」
「あの上でか!?さすがに無理だろ?」
「最近は筋力強化の特訓してたんでしょ!男なら根性見せなさい!!相手は海の生き物よ、海に落ちたら死に・・・はしないんだったわねあなた。まぁ死ねない分より辛いんでしょうけど・・・貴方のその剣は護る為にお婆さんから託されたんでしょ!?頼りにしてるからね!」
そう言ってレイナがレオンに抱きついた
「・・・・怖いのはあんただけじゃないんだからね」レイナの体は降り出した雨にぬれて冷たく、かすかに震えていた
「レイナ・・・まかせろ!また3人で旅したいしな!」レオンは鞘に入った剣を握りレイナと出会ってから今までの事を思い出していた
レイナはそれからすぐに手品師の方へ歩いて行った
「よし!焚きつけ完了!」隠れて握りこぶしを作るレイナ
「あんたも悪い女だねぇ・・・って事もないね、震えてるのも演技かと思ったよ」イレーネが通り過ぎるレイナに耳打ちするとレイナは顔を真っ赤にして早歩きで去って行った
「あんた達!!あたし達は邪魔になる、だから悔しいけどクラーケンはあいつらに任せて雑魚どもから船を護るよ!!いいね!返事!!」
イレーネの喝に、震えて小さくなったいた男どもから鼓膜を破るほどの叫び声が鳴り響く
皆が戦いの士気を上げている最中、船室で優雅に隠れようとしている人物が一人
「全くとんでもない船にのっちまったぜ、俺は小船で自分探しの旅に出させてもらうとしますかね・・・・・あ!!食料もらってかないとな!飢え死には嫌だし」
そうして食べ物をとりに来たマークは今一番見つかってはいけない人物と出会う
「やっぱりここに来たわね、言い訳の時間・・・いる?」レイナは極上の笑みを浮かべる
「これはこれは先ほどの美しいお嬢様、ちょっと道に迷ってしまって」
「あなたはもう少し早めに見つかっておくべきだったわね、私に嘘をつくとどうなるか・・・時間が無いからちょっときつめに教えてあげる」
「え?え?・・・・・ぎゃ~~~~!!!!!!!!」
(役に立たないから邪魔にならないところに行こうとしたら・・・・・・いやなものを見てしまったな)
静かにその場を去ろうとするサイファー、そこになぜかレイナが立ちふさがる
(お前はいつもいいタイミングで現れるな)
「ありがと、ちょっとこの男運んでくれる?」
(・・・分かった)サイファーはしぶしぶマークを背にのせてレイナについていく
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デッキに出ると当然のように戦いは始まっていた
海賊たちもレオンも意外にも善戦しており負傷者も出ていなかった
「レイナ!?どこ行ってたんだよ!俺一人じゃさすがに無理だ!」
「ごめんなさい!ちょっと馬鹿を捕まえてたの!!」
(って、あいつつい最近まで雑魚Bの立ち位置だったのに・・・・1人でクラーケンと戦えるって、訓練少しスパルタ過ぎたかしら?)
レイナはレオンの成長速度に少し怖いものを感じていた
「あ、あれここは?」そう言ってマークが目を覚ます
「やっとお目覚めね、あんたにも働いてもらうわよ?」
「えぇ!?でも俺あんたたちみたいにあんな人間離れしたこと出来ないよ!?」
「船の上から魔法で援護してくれればいいわ、じゃあ私も加勢に行くから!」
「お待たせレオン!よく無事だったわね?こいつどんな感じ?」
「手下に指示を出してるみたいでさ、こっちのことは完全無視なんだ」
「じゃあ今のうちにやっちゃいましょ!!・・・・あれ?」
レイナには斬った感触が確かにあったのだが、そこには先ほどと変わらない無傷の敵の姿しかなかった
「こいついくら斬っても再生してるみたいなんだ!どうにかならないか?思いっきり斬れば少し切れたままにはなるみたいなんだが」
レオンがレイナに必死に叫んで情報を伝える
「どうにかって言われても・・・」
その時クラーケンの体表の粘液に一枚のカードが張り付き空から雷が落ちてきた。やはり魚介類の宿命なのかクラーケンの体はぐらつき近くにいた小さい魔物は命を絶たれていた。
「やった!!意外にも僕活躍!?・・・ってうわあああぁぁ!!!」
身の危険を感じたのかクラーケンは初めて自分の体を使いマークのいる海賊船を狙って触手の一本を叩きつけてきた
「!!まずい」
素早く危険を察知したレイナが多くの魔力を使ってその触手を斬り落とした。しかし、再生能力はすぐに斬られた触手をもと通りにしてしまった
「まずいわね・・・こっちの体力が持たないわ・・・・・・?」
レイナは先ほど雷が落ちた場所が焦げていることに気がついた
「レイナ!!こっちに知らない剣が刺さってるみたいだ!!頭のかなり上の方!!」
「上?」レイナは残り少ない魔力で視力を強化してレオンの指さす場所を見る
「・・・・・・!!!!焦げてる!?こいつなんだかんだ言ってもやっぱり海の食材ね。マークの力なら何とかなるかも」
レイナは船近くのいかだに着地するといかだにところどころあいた穴から水が噴き出してきた
「飛べ!!!」マークは精一杯の声でレイナに叫ぶ
次の瞬間さっきまでレイナのいたいかだが大きな針に包まれたクラーケンの触手に貫かれていた
「は、反則でしょ?」船に着地するとレイナは海の中に針付きの触手が数本隠れていることに気がついた
「大丈夫か!?」マークが駆け寄ってくる
「あいつ雷しか効かないみたいなの、どうにかならない?」
「そうみたいだなここからだとあの男しか見えなかったけど、斬ってもすぐにもと通りだ。でも俺もさっきから雷ばかり投げてるんだけどさ、2回目から粘液でカードが海に流されちまうんだよ。おかげで雑魚は一掃できたみたいなんだが、どうにかそっちでカードを固定してくれないか?」
「うーん・・・・・!!1ヶ所だけなら何とかなりそう」
「1か所か・・・それだと少ないな・・・・でもあんた達の方が明らかに大変だしな、数は1か所でいい、ある程度重くても大丈夫なようにしておいてくれないか?後はこっちで何とかする!」
そう言ってマークはイレーネに何か相談すると船の中へ入って行ってしまった
「サイファー!!!この際かまわないからあの手品師に10分くらいしか持たないって伝えて!!」
(分かった!!)
「レオン!!何とかしてあの剣をもっと奥深くまで突き刺すわよ!!」
「分かった!!何か策があるんだな!?」
それからクラーケンの気を引きながら剣を少しづつ刺していった
しかしサイファーが中に入って少しした頃今度はマークが殆どの船員を船の中へ連れて行ってしまった
マークの電撃の後からクラーケンの攻撃も激しさを増し、レオンとレイナの魔力も尽きかけていた
「まだか!?」「まだなの!?」
マークが船内に入ってから既に30分近くが経過しようとしていた
「すまん!!待たせた!2人とも一回船に来てくれ!」
言われるがままに船に戻るとボンズとマークがロープやカーテンを繋いで作った長い紐を2本持ってやってきた
「これは?」
「この紐には俺の雷の術式がいたるところに書き込んである、この紐の先端をあんた達が作ってくれた固定できるところに引っ掛けて残りの部分でクラーケンをぐるぐる巻きにしてくれ、合図をもらえば俺が魔法を発動させる」
「分かった」「分かったわ」
そうして勝利のカギをマークから受け取った二人はクラーケンのもとに飛び去った
「たのんだぞ・・・これで失敗したら俺達は死ぬしかない・・・から・・・な」
「大丈夫かい!?」イレーネはいきなり倒れたマークに駆け寄る
「ちょっと血が足りなくてね・・・これで生き残れたら腹一杯食わせてくれ」
「ああ、約束だよ。とりあえず少し休みな」
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「レオン・・・・・マークの腕・・・・」
「ああ、血だらけだった・・・・あいつの気持ち・・・無駄にはできない!」
クラーケンは触手は速いが胴体は動きが遅く紐をくっつけるのにあまり時間はかからなかった
「行くわよ!!ちゃんと付いてこれるかしら?」
「バカ言うなよ、俺だって無駄にお前に特訓の度に殺されかけた訳じゃないぜ!!」
二人は息をぴったり合わせてクラーケンを中心にして時計回りの螺旋をマークの紐で描き上げた
「マーク!!お願い!!」
「駄目だレイナ!!あいつ自分ごと剣を叩き出したぞ!!」
「なんですって!?魔物には知能があるとでも言うの?剣が取れたらあたし達の負けよ!!」
そう言って剣に向かって飛びあがろうとするレイナをレオンが止める
「・・・・俺が行く、お前は船に戻れ」
「調子に乗らないで!!いくら最近腕が上がったからってあんたがまだ弱いことには変わりないのよ!!?」
「落ち着け、もしお前が死んだら俺も死ぬ。けど俺は死なない・・・危険ならなおさら俺が行った方がいい」
「でもあんたが死なないにしても、海にもし引きずり込まれたら・・・
「大丈夫・・・・お前は俺が護るから、必ずまた旅をしよう。そしたらまたみんなで焚き火を囲んでご飯を食べながら皆で笑うんだ」
「・・・・絶対帰ってくるのよ、帰ってこなかったら殺すから!!」そう言ってレイナは最後の力で船に戻る
「大丈夫、もう二度と繰り返させない」
「え?」飛ぶ瞬間レイナは確かにレオンがそう言ったのを聞いた
「大丈夫、もう二度と繰り返させない」この言葉には聞き覚えがあった
(あれは確かレオンと初めて出会ったとき)
{「あ・い・・つら・・・・・を・守らな・・きゃ」「もう・二度と・・・繰り返・させない」}
(2度?)
考えがまとまらないままレイナは船に降り立つ
「な、なんであんたが返ってきたんだ!?あんたの方が強いんだろう?」マークが聞く
「そ、そうでさぁレイナの姉さんだって何時も言ってたじゃないですかい、「あいつは頼りにならない」「あいつは弱っちい」って」
「お、俺も聞いたぞ!!」「俺もレイナの姉さんがあいつボコボコにしてるの見たぞ」
マークの一言を皮切りに手下たちは次々とおかしい、見殺しにしたなどと呟いた
「おい!!あんた達いい加減に!!
「うるさいっ!!!!」
イレーネが言い終わる前にレイナが叫びサイファーが嘶いた
「あいつの悪口を言っていいのはあたしだけなの!!次にあいつの名前を呼んだ奴から殺すわよ!!」
(お前達にあいつの名を呼ぶ資格は無い!!)
「あたしが、私がどんな気持ちであいつを一人で残してきたか・・・わたしのせいであいつはレオンは普通の人生すら送れないのに・・・・護ってあげることさえできない・・・うっううっ・・・・・・あんた達に何が分かる!!!」
「レイナ・・・・」イレーネはボロボロと涙を流し力を入れすぎた手からは血が流れ落ちるレイナへと無言で深く頭を下げた、揺れる船の上で自分達の前で初めて涙を流す気高き女性に、自分達のかわりに父親の敵と戦ってくれている優しい男に・・・・頭を上げることなく謝罪の意を示し続けた
するとサイファーが間に入ってお互いの視界を遮った
(レイナ、俺が姿を隠してやる、だから今のうちに存分に泣け。そしてあいつが帰ってきたら笑顔でお帰りと言ってやろう)
それからしばらくレイナは声を殺して泣き続けた
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(・・・・行ったか)
「さて、お前には悪いがこっちも待ってるやつらがいるんでな」
レオンにはレイナも自分もあと数回しか筋力強化が使えないことに気が付いていた
だからどちらかが船に戻れないなら自分が行くことに何らためらいが無かった
どんな形であれレイナはレオンの命の恩人だからだった
(あいつはその話になるといつも謝ってくるけどな、俺は最初から今まで感謝の感情しか持ち合わせていない!!)
帰れないと分かっているからか思いのほか冷静に目的の剣までたどり着いた
「頼むぜ相棒」そう言ってレオンは黒い剣をなでる
「おおおおおおぉぉぉお!!!!!」
レオンが剣を振りかぶった瞬間、これで人生何度目かの熱い痛みが走った、いや貫いた
クラーケンはレオンの背後から棘付きの触手を突き刺していた
臓器が破壊されのどに血の塊が詰まる
「・・・・がはっ!!まぁ今までうまくいきすぎてたからな・・・・このくらいは・・・・予想済みだ・・・ぜ!!!」
串刺しになりながらもレオンは振りかぶった剣を叩きつけた
「はぁ・・・・はぁ・・・・これでお前も・・・終わりだな・・・」
そう言ってレオンは懐からマークにもらっていた光の絵が描かれたカードを天に投げつけた
「・・・・・・・・合図だ!!行くぞ!!!」マークは光を確認すると指をパチンと鳴らし魔法を一斉発動した
クラーケン出現とともに空に渦巻いていた雲の塊から鼓膜を破るような音とともに真直ぐに光がクラーケンに流れ込んでいった
それは当然串刺しになってるレオンにも流れ込んでいった
「がああああぁぁぁぁぁぁあああぁ!!!!!」
(意識が楽に・・・・これはさすがに死ぬな・・・・不死身だけど・・・体が黒焦げになればさすがに死ぬだろ・・・ああ、やっとあいつらのところに行けるんだな)
その時実際に現れたのかは、この後も永遠に謎だがレオンには確かに見覚えのある子供たちの姿が見えた
(諦めるの?約束したのに?護るって約束したのに?僕達にもあのお姉ちゃんにも・・・護るって言ったのに?)
「でももう、指一本動かないんだ。体も最後の雷で黒こげだろうし」
(違うよ?黒焦げ・・・・なってないよ?あの男の人は確かに自分のために必死でしたことだけど、それでも確かに皆のために頑張ったんだよ?)
「だからって、それが何だって言うんだ?思っただけじゃ世界はおろか人ひとりだって救えない!!あのときだって!!!」
その時、子供達の後ろから一人美しい女性が出てきた
(それはこの子たちの時?それとも私の時かしら?)
「ね、姉さん!?」
(久しぶりねレオン、大きくなったわね・・・・・・・・ねぇレオンハート?あなたの名前は私がつけた・・・・この荒んだ世界で人に頼ったがために、人に頼られたがために・・・・・・生まれてきたがゆえに騙され捨てられて一人になって生きられなくなった子供を集めて一緒に暮らしたわね?)
「・・・・・ああ」
(貴方にはそんな人達を護れる人間になってほしくてその名前を付けた)
「俺にこの名前は・・・もったいないよ」
(そうかしら?…自分で確かめてみなさい)
女性がそう言うとレオンの脳内にレイナとサイファーが浮かんできた
「レイナ・・・泣いてるのか?サイファーはいつもさりげなく優しいな」
(ねぇレオン?思っただけでは確かに何も起こらないわ、勇者だって思いだけでは世界を救えなかったし、魔王も同じ・・・・でも勇者は、魔王は、何より貴方は・・必ずできるからそうしたの?必ず出来ることを選んで生きてきたの?少なくとも私はそうは思わない、私達に与えられた選択肢はいつだって少なく望んだものなんて来なかった。
けれど、私は後悔していない、自分で選んだ結果こうなったから。
私はあなたを残せた、貴方は私の人生の結果であり私が生きていた・・・あなたと共に生きていた証。今のあなたなら私は何の心配もないわ、けれど貴方はどうなの?今のあなたは諦めることに努力している、貴方はあの人たちを置いていって平気なの?あなたの選ぶ最高の選択肢は何?)
「それは・・・」
(言いにくいことなの?自分勝手なことなの?大丈夫よ?人間はわがままなのよ、それが自然な姿)
「皆でまた旅がしたい、一緒に笑って一緒に泣いて一緒に怒って、それでも一緒にいたいって思える奴らなんだ」
(そっか・・・・じゃあ最後に一つだけ聞いていい?あなたが仲間から受ける気持ちは痛いもの?苦しいもの?貴方のためにした事、それがたとえ裏目に出たとして、貴方はそれを苦痛だと思うの?)
「うれしい・・・かな?その気持ちがうれしいと思うよ」
(そう、それが答え・・・思いでは物も世界も動かない、けど一つだけ動くものがある)
「人・・・気持ち」
(これがお姉ちゃんの最後のプレゼント、愛はどんなものであれ思われた人を傷つけないわ、その気持ちは貴方を守りあなたの力になる)
「愛の魔法か・・・・魔法には代償かな?」
(フフッ愛は無償よ?でもそのかわりおねえちゃんとの約束!・・・あの子たちを大切にね?それと、たまにでいいからお姉ちゃんのことも思い出してほしいなぁ?)
「忘れたことなんて一時もないよ・・・ずっと・・後悔してたから」
(じゃあ今度からはいい思い出ね?)
「そうだな!!じゃあ・・・・待ってる人がいるから行くよ!!」
(ええ、しっかりね私のレオンハート)
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空から落ちた雷は謎の剣をめがけて命中し、クラーケンを黒こげにしていた
それからしばらくして、クラーケンは海に沈んだがレオンハートの姿は海上にはなかった
「レオンが、レオンが帰ってこない・・・もう雷が落ちてるのに」レイナは力なく座りこんでしまう
(あいつならきっと大丈夫だ、俺達が信じてやらないと)
「皆で探しに行くよ?誠意をみせな!!!」「おう!!!」海賊たちがその辺に浮かんでいるいかだで捜索を開始した
その時、海の中から先ほどの雷ほどではないが大きな光の柱が立ち上った
「!!!」(!!!)
皆が驚いてマークを見る
「ぼ、ぼくじゃないよ!?」
そして船の真ん中に体に大きな風穴を開けたレオンが光り輝きながら降ってきた
「レオン!!」レイナはその姿に構わずレオンを抱きかかえた
「触って大丈夫かい?ビリビリ言ってるけど」イレーネが心配そうにレイナに聞く
「問題ないみたい、治療したいから部屋まで運ぶの手伝ってくれる?」
「あ、あっしが運びますわ・・・・ぎゃ~!!!」
ボンズは見事に感電していた
結局レイナとサイファーしか触れないので二人で運ぶとそれから2、3日部屋にこもりっきりで治療が行われた
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目が覚めるとレオンはベットの上で横になっていた
腹部には包帯が巻かれていたが触っても傷など跡も残らず消えているようだった
ベットにはレイナが看病の途中で寝てしまったのか汗に濡れたまま寝息を立てていた
「ありがとうな、レイナ」そう言って自分の上着をかけてやるレオン
すると間もなくレイナが起きて大騒ぎになった
「レオン大丈夫?食欲は?体は問題ない?血は足りてる?・・!?・?・・!・・?・!・・・!」
「落ち着けってレイナ、大丈夫レイナのおかげで問題ないよ。ただ少しお腹は減ってるけど」
「食事ね!?わかった!!すぐ持ってくるから!!」そう言って部屋を飛び出すレイナ
その頃、厨房では女同士の戦いが繰り広げられていた
「あんた場所使いすぎよ!!」
「ここはあたしの船だよ!ちょっとは遠慮しな!!」
(すごい量の料理だな・・・レオン第2回戦、頑張れよ)
この後レオンは必死で食べるが食べすぎでまた倒れてしまい、今度はレイナとイレーネの二人が看病についたという
外はきれいな星空が瞬いていて海にもそれが映り一行が乗る海賊船は1夜限りの星の船を演じるのであった・・・