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告白

尾形は笹本に、もう一度夕食を共にしないかと誘います。そしてついに告白のときが・・・・。

笹本の決意にその日何も言わずに別れた尾形だったが、もう一度、一緒に夕食を食べないかと笹本を誘った。

「いいよ。食べよう」

笹本からは前向きな返事が返ってきた。


一緒に夕食を食べたのは、決意を聞いた日と同じお好み焼き屋さんだった。


鉄板の上のお好み焼きが、香ばしい匂いをたてる。


尾形は緊張のあまり硬くなる体を必死にほぐしながら、もじもじと切り出した。


「この間、辞めるって聞いて何も言わんかったけど、・・・・・やっぱり嫌や。好きな女の子に去っていかれたら」


尾形はこの瞬間、顔から火柱が吹き出るかと思う位、恥ずかしかった。


何しろ、かつて男扱いしていじってきた笹本を大好きだと認め、しかも


「女の子」という言葉まで使って、彼女への愛を表現したのだから。


火柱を立てそうな尾形とは対照的に、笹本は幾分、冷静だった。

尾形には、愛の告白を聞いた笹本の表情に、「来るべきものがきた」という冷静な覚悟と受け止めがあるのだと思った。


笹本がしばらくあって口を開いた。

「あたし、男の人からこんなこと言われるの、はじめて。・・・・でも・・・・・。あっちがだめなら、こっちの女の子なの?」

あっちがダメなら、とは、尾形が大学入学時に、同じサークルの別の女の子にちょっかいを出していたのを、笹本が知っていたからだった。

「今は、お前しか頭にないよ。好きやもん、笹本が」


お好み焼きを食べ終わり、二人は店を出た。そして笹本がマウンテンバイクを止めている駐輪場まで歩いていった。

そこは夜間は暗くて人通りが無い。

尾形と向かい合った笹本は言った。

「気持ちは嬉しいけど・・・付き合うのは」


尾形はその言葉に構わず、リュックを背負ったままの笹本を、胸の中に抱きしめた。

心臓が飛び出すかと思うほど、ドクドクと音を立てている。


抱きしめられた笹本は、無言でされるままだった。


尾形は笹本の事を、この世で一番可愛い女だと思った。



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