遭遇
4話です。
サイキ達がついた頃にはもう煙は消えていた。
「こっからは、手分けして探そう。あと目的は救助だ、深入りはしないように」
サイキが言うとニムが球状の何かを渡してきた。そういえば、向う途中何かを作っていたような・・・
「通信用のアイテムです、一人一つずつ作っておきました。じゃ」
といって、手渡した後透明化の魔法を使い、回りの景色と同化していった。
ニムのやつ気が利くなぁと思っていると、シルラもカイツも隠密を使い消えていった。
「何もできないの俺だけか・・・・」
そうはいっても仕方が無い、そう気持ちを切り替えてサイキも山脈に足を踏み入れた。
10分ぐらい足っただろうか、山脈を幾ら歩いても何も無い。いや、何かがいた形跡はあるのだが、その本人が見つからない。ニムから渡された球状の物体からも何の音沙汰もないので、誰も遭遇してないのだと思う。
もう、平原へ逃げ切ってしまった後なのだろうか?一度皆と連絡をとってみようと思ったそのときだった。
丘の下から声が聞こえてきた。どうやら、戦闘中ではなく何かを言い争っているようだ。
サイキが見つからないように覗いてみると、男が3人に女が1人見えた。いや、女の方は少女といった方がいいか。男たちは同じ形の豪勢な鎧を身に着けていた。見た目だけでなく性能もいいのだろう。それに対して少女の方は軽装で、御伽噺に出てくるような服装をしていた。
そして、その少女と男たちが言い争ってるようだった。
「もう逃げられませんよ、さあお戻りください」
3人の中心にいた男が有無を言わせぬ口調で言った。
「いやです!まだ私にはいかなくてはいけないところがあります!!」
少女の方も負けじと言い返した。
サイキは今、自分はどうすべきか考えた。俺が探しているのは、煙を出したものであってこの人たちとは関係が無い。だがしかしこの少女が煙を出したということも考えられないくもないし・・・・・
結論、まずはこの少女を助けて、そして事情聞けばいいか。なんか困ってるようだし、煙を出した張本人なら一石二鳥だし。
そう考え、サイキは魔法を練り始めた。魔法は、使うときそのときに詠唱しなければいけないわけではない。先に練っておいて、使いたいときに術名を言えばいいのだ。まあ、練っておける時間には限度があるが。
そして男たちが動いた瞬間、サイキは丘から飛び降り魔法を唱えた。
「ウインドカッター!」
風の刃が男たちに襲い掛かる。しかし、男たちが盾を掲げると盾に触れた瞬間魔法が消失した。
その隙に男たちと少女の間に着地する。
「何者だ!テンプル騎士に魔法を放つなど!返答しだいではただでは済まさんぞ!」
男が叫ぶ。と同時にサイキの疑問が氷解した。テンプル騎士は魔法を打ち消す能力を持っている、そのためサイキの魔法が消えたわけだ。
しかし、それは魔法が消えたときから予想していた。そのため、消えた瞬間もうひとつの魔法を練っていた。テンプル騎士は攻撃的魔法はかき消せるが、この魔法はそうはいかない。
「いや、少女1人に男が3人がかりで捕らえようってのが気に入らないのでね!!シャインユニーク!」
辺り一帯が光と音に包まれた。そう、この魔法は音と光で相手の視覚と聴覚を一時的に奪う魔法だ。無論、後ろの少女は巻き込まないよう調整してある。
そして、この隙を逃すわけも無い。
「ちょいと失礼」
「えっ、あっ。きゃあ!?」
いきなり抱きかかえられて少女が悲鳴をもらすが、今は構っていられない。
男たちに背を向け、脱兎のごとく逃走する。このまま戦ってもこちらに勝ち目は無い。
ある程度はなれたところで、腕の中の少女に話しかけた。
「煙をまいたのは君かい?」
少女はまだ、警戒しているようだがこくんと頷いた。
ビンゴ!助けてよかったと思ったサイキだったが、今まで連絡をしてないことを思い出した。
「えっと、山脈から煙が上がってるのを見て俺らは救助にきたんだけど・・・」
それを聞くと少女ががばっと身を乗り出して聞いてきた。
「あなた達が来たのは、もしかして風の国の方からですか!!」
いきなりの態度の変貌に一瞬たじろいだが少女の質問に答える。
「そうだけど、どうして追われてたの?」
サイキが聞くと、少女は少しためらいがちに答えた。
「それを話すのは少し長くなります・・・・・・」
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