夏夜乃と朧
「豆知識っぽいのその1」
この作品の作者名天音ソラはこれまたa:novellで使ってた名前で気に入ってたのでこちらでもこの作品だけこの名前にしてみましたw
ある日も、わたしは庭に出た。
理由なんていらない。
ただ、彼が見たかった。
それだけなのだから。
―毎日少女は、彼の姿を見るためだけに庭にでていた。でも、今日のそれはいつもとは違った。―
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庭の茂みの影のいつもの場所から
わたしは外を覗こうとした。
それは、いつもの行為。
だから慣れた動作でそこに行く。
そしてその人と会った。
外を覗こうしたら、
反対にこちらをみているひとがいた。
その姿を間違える訳がない。
でもどうして、どうして彼が…。
頭が混乱する。
どうしたらいいのか全くわからない。
一体、なんて話せばいいんだろう。
こんなことなら、人と話す練習でもしておけばよかったのかもしれない…。
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「ねぇ、君はこの家の人?」
「あ、はい!そう、で、す…」
彼と初めてはなすことができた。
返事が多少ぎこちなかったけど
そんなことはどうでもいい。
「あ、ごめんね。もしかして驚かせちゃったかなぁ?」
「あ、違うの。その…ちょっと緊張してただけだから。」
出来ればもっとたくさん喋りたい…。
「あ、じゃあよかった。あ、実はボールが入っていっちゃって…とってくれる?」
柵があるので彼はボールをとりにいけない。
だから取って、彼の方に軽く投げてあげた。
「ありがと!」
胸がきゅんとする。
「あ、そういえば君みたことないけど、名前、なんていうの?」
「わ、わたしは、夏夜乃。逢坂夏夜乃。」
「かやの?いい名前だね。僕は、おぼろ。望月朧」
「朧。」
名前をちょっと呟くだけで幸せな気分になる気がする。
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「そういえば夏夜乃はどこの学校に行ってるんだい?」
これには正直言うとあまり答えたくない。
でも、答えた。
朧には、私のことをたくさんしってもらいたかったから。
「…行ってないよ」
「え…!それって…」
予想通りの反応。
それもそのはず。
だって、私くらいの年の子はみんな学校に通っているはずだから。
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「私ね、この家から出られないの。」
「?。どういうことだい?」
朧の疑問は至極真っ当なものだった。
「お父さんとお母さんがダメっていうから。…私、2人には逆らうことができないの」
本当のことだった。
実は昔、外に行きたいと両親に駄々をこねたことが一度だけあった。
そうしたら、ひどい目にあわされた。
昔のことなので、あまりはっきりと覚えてないけど、
思い出したくないようなことだったと思う。
だから、理由を聞いて欲しくなかったが、朧はそれを聞くことはなかった。
「そうか。じゃあこうして僕と会うことも本当はダメなのかい?」
「多分…。でも!、せっかくこうして話すことができたのに、これきりなんて嫌。お願い。またここにきて。」
正直、今日初めてあったばかりの少女にこんなことを言われたら引かれるんじゃないかと思う。
でも、今ここでいわなかったら、一生後悔していたと思う。
「…わかった。学校の帰りにまたくるよ。またね、夏夜乃!」
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神様、ありがとうございます。
朧とあわせてくれて。
…これでどうなっても後悔はしないよね。
本当は、少し話すだけでよかったはずなのに、
どうしよう、私、わがままになっちゃったみたい。
もっと、朧と話したい。
これが、恋したってことなのかな?
恋すると、わがままになっちゃうのかな?
お願い神様。
今まで我慢してたから、その分
もう少しだけ私にわがままを言わせてください。
朧。
もっともっと、あなたと話したい、愛されたい。
お願い、私の勝手なわがままに少しだけ付きあってください。
話の書き方ががらりと変わってます。
移動中なので1日でだいぶ更新してしまいます。
ここまできたかた、続きもどうぞ。