表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/7

カミサマ…ヤリスギデス

 登録費用の銀貨5枚を支払う為に、大金貨を差し出した俺。

 受付嬢は「ちょっと大きいですね。お釣を用意しますね」と言って、ウメを膝に乗せたまま対応をしてくれた。さすが冒険者ギルド、助かります。

 

 ついでに恥を忍んで受付嬢にこの国の通貨価値を教えて貰った。 

・流通通貨名:G=ゴールド

・銅貨 =1G

・大銅貨=10G

・銀貨 =100G

・大銀貨=1000G

・金貨 =10000G

・大金貨=100000G

 このように銅貨から大金貨まで10進法で変わって行く。そして気になる物価だが、パン1個が銅貨1枚、安宿に泊まって大銅貨3枚、月に平均的な収入は大銀貨2枚って感じらしい。

 そう考えると1G=約100円、大金貨1枚で実に1000万円。5万円の支払いをする為に、帯を十字に掛けてあるブロックの1000万円を出したのと同じ状態である。すっごい迷惑だ。

 でも仕方なかったんだ、小さいのが無かったんだから。因みに今の俺の資産総額は日本円換算で約1000億円。働かなくても良さそうだ。

 

 そうこうしている間にお釣の準備が出来たようで、大きな袋に入ったお釣を渡された。俺はなんの躊躇いもなく、その袋をアイテムボックスに収納した。

 受付嬢も周囲の冒険者達もアイテムボックスに収納した姿を見て凄く驚いていた。冒険者は袋の大きさにも驚いていたのだが。

 そして受付嬢にアイテムボックスについて聞いてみると、非常にレアなスキルで一つの国に10人も居れば多い方らしい。

 スキルホルダーを国家・軍隊・商人・冒険者・悪者が渇望しており、スキルが確認出来た時点で争奪戦が始まるとの事。国家や軍隊は報酬をしっかり出すが、悪者は無理矢理働かせ、商人や冒険者は生かさず殺さず使い潰すらしい。って冒険者ギルドの受付嬢が、冒険者の事をそんな風に言っちゃダメでしょう。

 

「この後、勧誘が始まりますよ。流すか無視するかで乗り切ってください。多少は冒険者同士の些細な争いとして大目に見れますけど、重傷者や死者、関係の無い人が巻き込まれたらギルドが介入する事になるので、興味がなかったら入らない方向で乗り切ってください」

 受付嬢からそう言われた。確かに、先ほどまで賑やかに飲んでいた冒険者達が今はギラ付いた眼で俺を見ている。やっと来たテンプレ展開に心が躍るが、俺の管理する民達をむやみに傷付ける訳にもいかない。なので、全て断る事にした。


「そうだ、受付嬢さんのお名前を教えていただいてもいいですか?」

「あっ申し遅れました。私は冒険者ギルド魔国ディアボロ支部のナミと申します。これからもよろしくお願いしますね」

「ナミさん、いろいろありがとうございました。こちらこそよろしくお願いします。また来ますね」

「はい。またウメちゃんを連れて来てくださいね!」

 受付嬢のナミにお礼と別れを告げると、ウメを受け取って冒険者ギルドをあとにした。


 冒険者ギルドを出るまで勧誘の嵐だった。

「うちのパーティーに入らないか?」と言われ「結構です」と断り、

「久しぶり!オレオレ!オレだよオレ!」と言われ「うちにはお前みたいな息子は居ないよ」と人間違いである事を伝え、

「下賤な民だが、高貴な私が使ってやる」と言われ「何様か知りませんけど、選民意識のある人は嫌いなので消えて下さい」と辛辣な言葉を返したり、

「お前に貸した借金の肩に俺のパーティーに入れ」と言われ「この街にさっき着いたのにアンタに借金出来る訳ないでしょ!」と嘘を暴いたりしながら、冒険者ギルドを出たのであった。


 無事?にギルドカードを作れた俺は、衛兵にギルドカードを見せに衛兵詰所に向かった。

 衛兵詰所に着きギルドカードを提示し、無事に国の中で活動をする許可を貰った。


「そう言えば深淵の森で手に入れた果実が残ってますけど、本当に買われますか?」

 俺はそう言いながらアイテムボックスから、金色に輝くリンゴを取り出して見せた。


「なっ!ゴールデンアップルじゃないか!国王に献上する為に購入したいが、予算が足りん・・・」

「ちょっと美味しいリンゴって感じでしたけど、そんなに高級なんですか?」

「ちょっと美味しいって・・・前に偶然手に入ったゴールデンアップルが出回った時は、1個大金貨100枚以上で取引されたらしい」

「そうなんですね」と相槌を打ちながらリンゴを鑑定してみた。


【ゴールデンアップル・深淵の森にのみ自生する植物の果実。世界樹の近くにしか生えない。非常に美味。1個食べると約10年分若返って約10年間は老化が止まり、身体の悪い所も治る。※頭や顔、性格が悪いのは治りません!】


 鑑定結果を見て驚いてしまった。とんでもない異世界植物だった。これはリンゴを巡って争いが起きるレベルの効能がある。この効能なら大金貨100枚以上…10億円以上の価値は十分にある。


「なんとか譲って欲しいが無理は言えん。暫く街に滞在するのか?」

「ええ。欲しい物もありますので暫くは滞在するつもりですよ。いつまで滞在するかはわかりませんが」

「であれば、予算の目途が立てば購入しに行きたいと思う。よろしく頼む」

「わかりました。その時、街に居ればですけど・・・」


 俺はそう答えると、ゴールデンアップルを収納して、詰所を去った。

 次はお待ちかねの買い物だ。生活用品や服、魔道具に食料。欲しい物が沢山あるので、ぶらぶらしながらお目当ての店を探す。


 まずは魔道具屋だ。アイテムボックスのスキルがあるなら、収納袋・・・マジックバッグもあるだろうと思ったので、まずは魔道具屋に向かう事にした。アイテムボックスの存在も隠せるようになるしね。

 そして魔道具屋に着くと、ありました!マジックバッグ!この世界では収納袋と言うらしいが。そして非常に高価でした。店の在庫は、重量100㎏の容量で時間停止機能付きが大金貨5枚、重量1000㎏の容量で時間遅延が付きが大金貨50枚だった。あれば便利だと思い、両方購入する事にした。


 他にも魔力で調理できる魔導コンロを2つと、魔力を込めると水が出て来る水筒を1つ購入。

 そして空間魔法が付与してあって見た目以上に中が広い、魔導コテージを購入する事にした。見た目は2m四方のミニチュアログハウスって感じだが、中身は魔法で拡張してある。しかも収納袋に収納可能と言うではないか。因みに重量は500㎏あるそうだ。

 気になるコテージの間取りは3LDKで、6畳くらいの部屋が3つと20畳くらいのLDKに、なんと浴室と水洗トイレが付いていた。給排水は魔石で行うらしく、水・火魔石で冷温水の給水をして、排水は聖魔石で浄化をして水魔石で洗浄をして、無害になった物を火魔石で蒸発させて大気中に散らす仕組みらしい。

 他にも照明用の光魔石、空調用の風魔石が必要で、かなりセレブ向けの商品で、豪邸が建つくらい高価らしいが旅の快適さが優先だ!大量の予備の魔石も併せて購入決定!


 魔道具屋さんでのお支払いは、魔導コテージ大金貨40枚、収納袋2枚で大金貨55枚の合計大金貨95枚、日本円換算で9億5千万の支払いとなった。小物の魔道具と予備の魔石はサービスして貰えました。なんでも店が開店して以来、1日での売り上げ最高額だったとか。

 大きめのサコッシュに見える収納袋に購入した物を収納する振りをして、全部アイテムボックスに収納し魔道具屋を出た。

 店を出る時、店主と従業員全員に見送られたのは少し恥ずかしかったのはここだけの話。


 魔道具屋を出て歩いていると、青果を扱う店を見つけた。所謂八百屋ってやつだ。

 見た目と名前は日本で見る野菜とほぼ変わらない野菜の説明を、ふくよかな体型のおかみさんに説明して貰い、俺は目ぼしい野菜を買い占める事にした。


「この玉ねぎと人参とジャガイモと、あとそこにある葉物ときゅうりとトマト、店頭にある物全部いただけますか」

 俺がそう言うとおかみさんは、

「全部かい?結構な金額と量になるけど大丈夫かい?うちは配達してないよ!」

「ええ。構いません。収納袋があるので」

 そう答え、支払いを済ませて収納袋経由でアイテムボックスに入れていく。そして収納袋に入れながら気付いてしまった、『収納袋じゃなくて、普通の布のカバンでも良かったんじゃね?』って。

 うん。気にしたら負けだ。悔しい思いを噛み締めながら八百屋をあとにした。


 お次は八百屋の隣にある穀物店だ。

 日本人の求める穀物と言えば《米》だ。この店は穀物の専門店らしいのであるだろう。

「すいません。お米ってありますか?」

「いらっしゃいませ。お米ですか?お米ってどんな穀物ですか?」

「白くて小さい粒粒の測物ですが、取り扱ってないですか?」

「あぁ~!ライスの事ですね!粘りの強い短い物と、粘りの少ない長いの、粘りが強くて練るとペースト状になる物の3種類ありますよ!」

 なんと日本米の短粒種・インディカ米の長粒種・おそらくもち米の長粒種の、代表的な3種があるそうだ!迷わず買い占めです。


「ライスの他にどんな穀物がありますか?」

「ライスの他には大麦・小麦・ライ麦・大豆・黒大豆・小豆がありますよ」

 麦系と豆類もあるようです。これは買い占めですね。


「それではライス3種類と、麦3種類、豆3種類をお店にある在庫を全量いただけますか?」

「全量ですか?それはありがたいですけど、運搬はできますか?」

「大丈夫です。大容量の収納袋がありますので、お願いします」

 取引成立だ。支払いを済ませ、収納袋経由で片っ端からアイテムボックスに収納していく。量で言うと米が各1トン・麦が各2トン・豆が各2トン、合計で15トンの重量になった。当分無くならないだろう。


「ここまでの容量の収納袋をお持ちで、お支払いも現金でされるなんて、どこか大きい商会の方ですか?よければこれからもお取引をお願いしたいです」

「まぁそんなとこですw品質を見てまた装弾させていただきます」

 あまりの富豪買いっぷりに大商会の関係者だと思われてしまった。申し訳ないが適当に答えさせて貰って、次の買い物に向かう事にする。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ