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タビハミチヅレオレナサケネエ

 俺は今、パ…フェンリルの食事が終わるのを待っている。何故かって?食べる物がコンビニ弁当しかなかったから、弁当を食べさせている。弁当の容器の材質はプラスチックだ。・・・そう、この世界に存在していない物質なのだ。しかも自然分解もされない。だから容器の回収の為、食事が終わるのを待っている。


 暫く待っているとフェンリルが食事を終えたので容器を回収し、食事を終えたフェンリルを見ると満足そうに横になっていた。お世辞にも安全とは言えないこの深淵の森の中でたいした余裕だ。横になっている身体を撫でてやると、だんだんと目を閉じていく。満腹になって眠たくなったのだろう。

 暫くの間撫でていると『ンゴ~ブッ、ンゴ~ブッブ~~』とイビキが聞こえてきた。眠りに就いたようだ。身の安全を考え、フェンリルの周囲に起きたら切れる結界を張り、森を抜け出すべく出発する。


 あの後何度か魔物と遭遇したのだが、特にイベントらしいイベントは起きずに森を出る事が出来た。倒した魔物は漏れなく鑑定してから回収した。アイテムボックスの分解機能を使えば魔物は簡単に食材や素材になる。創造で調理器具を創っても良いが、町でこの世界の物を買った方が風情があるので、町に着いたら色々買い物をしようと思う。使い勝手が悪ければ創造するけどね。

 因みにあの後遭遇した魔物は以下の通りだ。


【アビスオーク・深淵の森に生息するオーク最上位種。非常に美味。上質な豚肉のような味。戦闘力が高いので注意】

【深淵のミノタウロス・深淵の森に生息する超大型の牛の魔物。非常に美味。和牛を超える味わい。肉だけでなく内臓も処理を施せば美味。1頭で町レベルなら壊滅可能な戦闘力】

【グレートコカトリス・深淵の森に生息する大型の鳥型魔物。非常に美味。地鶏のような風味と若鶏のような食感を併せ持つ最強クラスの鶏肉。石化光線と尻尾の蛇毒には要注意。尻尾の蛇も美味しく食べられます】

【デスベア・危険地帯に生息する超大型で凶暴な熊型魔物。癖はあるが喫食可能。癖が強いので濃い目の下味を付けるのがお勧め。寄生虫がいるので完全加熱でお願いします。強靭な顎と鋭い爪に注意】

【グランドフィッシュ・魔力濃度の高い場所に生息する空気中を泳ぐ巨大魚。魔力を摂取して生きているのでエサは食べないが、生物に体当たりをして襲い掛かる性質がある。赤身で非常に美味。身質はマグロと変わらない。生食可能】


 こんな感じの肉になる魔物を手に入れた。もの凄く主観の入った解説に感じるが、そこはそっとしておこう。

 もちろん道中に生えていた植物や植物系の魔物の素材もあるが、紹介はまたの機会にさせてもらう。

 

 森を抜けたので周囲を見渡せる場所で休憩をとる事にした。コーラとポテチで軽食をとりつつ、マップスキルで町までの距離を調べた。直線距離にして40㎞弱、歩けば10時間弱だが面倒なので身体強化を施して残り5㎞地点まで一気に走ろうと思う。

 町までの移動プランも決まったので、残ったポテチをコーラで流し込み、タバコを吸ってから出発だ!と意気込んで残ったポテチが有った場所に手を伸ばすと、そこにポテチは無かった・・・。


 ポテチのあった場所を見ると・・・居たんです・・・あれが・・・。

 そう勘の良い皆さんならもうわかっていると思うが、あれが居たんです。


『ムニャンニャムニャンニャ…ブッブッ…ムニャンニャムニャンニャ』


 特徴的な咀嚼音、そして合いの手を入れるが如く響き渡る鼻の音・・・。

 そう、この世界基準で言う《フェンリル》、地球の基準で言う《パグ》が・・・。


 どうも着いて来ていたようだ。俺は犬が嫌いではない。むしろ大好きだ。フェンリル(成体)をどうするか思案していると、声が聞こえてきた。

『そのフェンリル従魔になっているよw 最初森の中でハカイ君が弁当を食べさせた時に、従魔契約が結ばれたみたいだよ。良かったじゃん。神と、神に従う神獣のコンビ・・・最強じゃんww良かったね~~ww』

 と、ゼウスから念話が入ってきた。暇神ヒマジンが・・・上から観察してやがる・・・。そんな事よりも目の前のパグだ。


 従魔って事は連れて行かないといけないって事だろう・・・。ゆっくり一人旅が出来ないのは正直つらい。そんな俺の悩みを知ってか知らずか『ブ~ブ~』鼻を鳴らしながらパグは俺を見ていた。


 何かを期待して俺を見ているフェンリルを見ていると、置いて行くのが可哀そうに思えてきた。まぁ置いて行ってもまた着いてくるのだろうが。意を決した俺はフェンリルに「一緒に行くか?」と声を掛けた。するとフェンリルは超高速で尻尾を振って飛びついて来た。連れて行くのが決まった・・・。

 

 フェンリルとの二人旅が決まった・・・。 


 ちょっと想像して欲しい。スーツ姿の男性が腰にバールを装備し、パグにしか見えないフェンリルを連れて歩いている光景を。そんな光景は世紀末が舞台のゾンビ物でしか見る事はないんじゃないのだろうか。でもこんなほのぼのした光景なら、誰も神託にあった神とは思わないだろう。良いカモフラージュになりそうだ。

 

 俺はフェンリルを抱き上げ、予定通り町まで5㎞地点まで走り出した。移動中のフェンリルは、満腹になったのと、抱かれているのが快適なようで、爆睡されていた。う~~ん、何故神が従魔の神獣を抱いて走っているのだろう?この疑問に誰も答えてくれないので、悶々としながら町へと向かったのであった。






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