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コンニチハイセカイ

「いってらっしゃーいww」の言葉が妙に耳に残っているが、どうも異世界に到着しているようです。

 何故かって?背が高くて、凄く太い木々に囲まれた、ギリシャ神話に出てきそうな神殿みたいな所に立っているからだよ!

 なんで異世界って言い切れるのかって?生えてる木々の太さも高さも地球では在り得ない程太くて高いからだよ!

 そんな幻想的な場所に、手にはコンビニで買い物をした袋を持ち、仕事帰りのスーツ姿で立っている俺のミスマッチな感じがたまらない。


 まずは神に言われた通り『ステータス』と念じてみた。これで自分のステータスがわかるらしいからね。

・名前:ハカイ シン

・性別:男性

・種族:破壊神

・称号:理を破壊する者

・能力:名は体を表す

・スキル:アイテムボックス、破壊と創造、鑑定、全言語翻訳

・加護:最高神の加護

 うん、どこから突っ込もう。まず名前が破戒臣から片仮名表記のハカイシンに変わっている。そして種族が破壊神になっている。名は体を表すってこういう事なのか?

 スキルは異世界物定番のアイテムボックスと鑑定と全言語翻訳は嬉しいのだが、破壊と創造ってなんだ?

 そして加護。あの白い神様、最高神だったらしい。今更ながら失礼がなかったか不安になって来る。


 俺は神殿の石段に腰掛け、ポケットからタバコとライターを取り出して火を点け、スキルの詳細を調べる事にした。


 まずはアイテムボックスを頭に思い浮かべて『詳細を知りたい』と念じた。

 アイテムボックス:容量無限・時間経過無・収納物の複製、分解、洗浄、再構築、錬成が可能な異世界人専用のアイテムボックス。生物は収納できません。

 と表示された。試しに買い物袋に手を向け、『収納』と念じてみると眼の前から消えた。そしてアイテムボックスを思い浮かべると、

・大盛洋風ミックスグリル弁当

・カップ〇〇ドル カレー味

・もやし味噌のでかいカップラーメン

・ブラックコーヒー500mlペットボトル

・コーラ900mlペットボトル

・水2Lペットボトル

・生クリームたっぷりプリンアラモード

・ポテトチップスうすしお味

・ポテトチップスサワークリームオニオン味

・チョコレート

・ミントガム

・塩

・胡椒

・砂糖

・刺身醤油

・銀色のビール500ml缶

・ウイスキー角瓶750ml

・ラクダのタバコメンソール1カートン

・破壊剣デストロイヤー

・大金貨10000枚

・神からの手紙

 と、頭の中に表示された。買い物をした物の他に、金貨と武器、神からの手紙と表示されている。

 俺は神からの手紙を手の上に出てこいと念じてみた。するとどうでしょう?出てきました。

 なんとなくアイテムボックスの使い方がわかってきた。そして出て来た薄いピンク色の封筒に入った手紙を読んでみた。


 破戒君

 初めての異世界生活で色々と困ると思ったので、お金と武器を入れておきました。食べ物や飲み物は自分でなんとかしてください。

 困った事があれば神をまつってある神殿や教会で『かっこいい最高神様助けてください』と祈ってみてください。気がむいたら応じてあげます。 

 精一杯僕を楽しませてください。

 ○○○○ミサイルよりも派手な笑いを待っています。


 薄いピンク色の凄くファンシーな便箋に書いてあった内容は、書き出しは凄く親切な内容、残りは神格を疑いような内容の手紙だった。


 魔物がいると言われていたこの世界で、武器があるのはありがたい。武器の名前は《破壊剣デストロイヤー》途轍もなく物騒な名前だ。まぁ武器って時点で物騒なのだが。


 そして大金貨10000枚。文無しで生活しなくていいのは助かる。助かるが、大金貨の価値がわからないから、どこかの町に行った時に通貨価値を調べなければ。


 手紙を収納した時、ついでに買い物した物全てを複製しておいた。しかも100個づつ。内容はともかく、これで飲食に関しては暫く心配ないだろう。



 次は『破壊と創造』を調べてみた。

 破壊と創造:破壊と創造は表裏一体。全ての物質・概念・理を破壊し、全ての物質・概念・理を創造出来る。しかし神の破壊と生命を創造する事は出来ない。

 うん、すっごいチート。神以外のあらゆる物を破壊出来て、生命以外のあらゆる物を創造出来るなんて最強過ぎる。


 早速タバコの吸い殻を破壊してみよう。タバコの吸い殻を手に持ち『破壊』と念じてみた。すると、手の上にあるタバコの吸い殻が細かい粒子になり、光と共に消えていった。

 破壊のみに焦点を当てて詳細を知りたいと念じると、破壊対象物を任意の大きさに破壊出来、大きな塊から原子レベルまで破壊出来るようだ。 


 次は創造を試してみる。今困っている事、それは自分が何処に居るかわからない事だ。自分の居場所を知る為に必要な物。それは現在地がわかる地図のような物だが、「はい、どうぞ」って地図を渡されても現在地がわからなければただの紙切れでしかない。なので『マップアプリのようなスキルが欲しい』と念じてみた。

 すると目の前に透明な地図が表示され、現在地を示すピンマークが点滅している。創造に成功したようだ。

 現在地のピンを注視すると、今居る神殿のような建物の名前が出て来た。

【始まりの神殿・創造神がこの世界を創造した時、降臨し滞在した神殿。神族以外の種族は認識する事が出来ない。深淵の森の中心に位置している】

 なんと地名や建物の説明まで見る事が出来る!なんて素晴らしいスキルなんだ!

 感動した俺は縮尺を調整し広域表示に変え、近くの町を探してみた。・・・あった。一番近いのは魔人が集まった国【魔国ディアボロス】のようだ、距離にして約100㎞。

 

 最初の目的地は決まった。一晩休んでから向かうと決め、色々なスキルや魔法を創造したり、周りに人がいないのを良い事に、全裸になって着ている物を複製したりして準備を整えた。

 そして昨夜自宅のアパートで動画を見ながら食べるはずだった弁当を石段に座って食べ、神殿の奥に向かって一礼してから、神殿の軒先を借りて横になった。

「明日からどうなるんだろう・・・。100㎞歩くのに約20時間、休憩や障害込みで24時間、頑張ろう」

 そう呟いた俺は睡魔に抗えずに目を閉じた。




~神界~  

 異世界に転生させた破戒を眺めていた最高神は、破戒のステータスを見て驚愕していた。

「あらら・・・名は体を表すって能力付与したけど、まさか破壊神になるとは思ってなかったな・・・。世界線を抜けて能力がアクティブになった時に《ハカイシン》を《破壊神》って認識して、種族や身体を構築しちゃったのか。僕の授けた能力が新しい神を生んじゃったよww。破壊神だとアレス君が居るからかぶっちゃうな・・・。まっアレス君には一言言っておけばいいでしょう。それより他には・・・」


 そう言いながらハカイシンの観察を続けていた。今はスキルで破壊と創造を試している。

「いやぁ~あれは駄目でしょう。いくら神を破壊出来なくても、それ以外の物を破壊出来るんでしょ?しかも生命以外を創造出来るって神じゃん!・・・って神か。アレス君でも出来ない事をさらっとやっちゃてるな・・・」


 観察はまだまだ続く。マップスキルの創造や、便利なスキルや魔法を創造している姿を見て再び驚愕していた。

「マップスキル便利過ぎでしょ。あれは僕も作ろうかな。お忍びで下界に降りた時に「あの建物なんだろう?ご飯屋さんどこだろう?」って迷わなくて済むしな・・・。・・・えっ?魔法もポンポン作ってるじゃん!しかもこの世界に存在していないオリジナル魔法だし!」

 最高神の独り言も続いている。 


 そして全裸になって服の複製をしているハカイシンの姿を見て爆笑したり、コンビニ弁当を食べる姿を羨ましそうに眺めたり、神殿の奥に向かって一礼してから軒先を借りる姿を見て感動したりと、最高神も忙しそうにしていた。


「あの弁当美味しそうだったな・・・。地球の食べ物、特に日本の食べ物って美味しいんだよな。確か複製してたよね?よし!」

 最高神がハカイシンの元へ降臨する事を決めた瞬間である。



~始まりの神殿~

「お~い!ハカイく~ん!起きて~!」

 魔国に向かう準備を整え、食事をしてから寝ていた俺を起こす者がいた。それも神族以外は認識する事が出来ないこの神殿でだ。

 嫌な予感しかしないが、俺は覚悟を決め目を開いた。

 目を開くと俺の前には・・・・・・最高神が居た。この神殿に降臨したようだ。俺はすぐに起き上がって姿勢を正し最高神に問い掛けた。


「これは最高神様。急なご降臨、何かありましたでしょうか?」

「いやね。まさか僕が付与した能力で、人間が破壊神になるとは思ってもみなくてね。それにあの破壊と創造ってスキル駄目でしょ!あんなん神でも出来ない奴居るのに・・・」

「私もステータスチェックをして初めて知りました。そんなに凄いスキルなんですか?」

「神の破壊と生命の創造が出来ないって以外、全ての事が出来るんだよ!数多の神々ではなく、星の管理をしている神と同等かそれ以上だよ!もういっそこの星の管理神にならない?生物は安定してるから追加で創造する必要はないし、種の存続に関わる事件を起こされても破壊を使えばなんとでもなるでしょ?ほら!簡単なお仕事じゃん、もうなって貰おう!そしたら僕の仕事が減るから!」


 最高神のまさかの降臨からの爆弾発言で、この星を管理する神になってしまった。

 反論したところで、最高神の決定を覆す事は到底無理だろう。


「最高神様の決定された事、異を唱える事は可能でしょうか?」

「ん~、無理だね。だってもう決めたもん。それに僕がしていた仕事をやれば出世も早いよ?」

「わかりました。そのお話、お受けさせていただきます。」

「理解が早くて助かるよ。星の管理がきちんと出来たら、次はこの星がある宙域の管理神だからね!頑張って!それとお願いがあるんだけどいい?」

「最高神様直々の願いとはなんでしょうか?」

「その最高神様って面倒だから名前教えておくね。僕の名前はゼウス。全知全能にして最高位の神だよ。・・・で、お願いは、日本から食べ物持ち込んだでしょ?あれを1セット分けて欲しいんだけどいいかな?ほら色々入ったお弁当とか、甘くておいしそうなデザートとか、日本のお酒とか」


 やはり俺の意見は聞き入れて貰えないようだ。そしてジャパンコンビニセットが欲しいと言って来られた。まさか、その為に降臨されたんじゃ・・・と思ってしまう。


「喜んで献上させていただきます。今ご用意しますので暫しお待ちを」


 ゼウス様にそう伝え、アイテムボックスの中からリクエストのあった商品を出していく。そうだ、せっかくならお菓子も付けておこう。俺はせっせと用意を進めていく。その横でゼウスは・・・


【神託を言い渡す!この世界を新たに管理する神に《破壊神》を任命した。新たな神に従い、新たな神に不敬を働かぬよう!そして手を取り合い益々発展していく事を切に願う!神託は以上になる!】


 気持ち良さそうに神託を出していた・・・。


「ゼウス様、こちらが献上させていただく物になります。それで今後の予定なのですが、この世界を知りたいのもありますし、ゼウス様に楽しんで貰う為にも、暫くの間この世界の住人として生きてみようと思いますが、よろしいでしょうか?」

「いいよ~。好きにやっちゃって!そして僕を楽しませてね」


 そう言い残すと、コンビニセットを持ってゼウスは消えていった。



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