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エリー ヴェルヴェット公爵令嬢の希望



『エリー ヴェルヴェット公爵令嬢』その令嬢の名を知らない貴族は居ない。

平民ですらその名を知っている。





エリー公爵令嬢はアピリアス王国にあるヴェルヴェット公爵家長女として生を受けた。


未婚の令嬢の中で一番身分が高い令嬢だったエリーは、産まれてすぐにこの国の第一王子との婚約が決まったお姫様である。


公爵家の使用人の皆はエリーが産まれた事を大喜びしたし、第一王子の妃様になると聞いてからはより一層の忠誠と使用人の皆一人ひとりが自発的に仕事の質の向上に力を入れた。


第一王子の婚約者に赤ん坊のエリーが選ばれたことにエリーの両親は驚いたが、同時に誇らしくも思っていた。


自分の愛する娘がゆくゆくはこの国の王の隣に立つ。


産まれたばかりの赤ん坊を見ながら、その姿を想像しようとしたがまだ全く想像もつかなかった。




両親はエリーを立派な淑女にするため色々な事をした。


礼儀作法や学問や魔法や芸術や武術や剣術…ありとあらゆる事を経験させたし、それと同時に愛情もたくさん与えた。


エリーの会話には必ず耳を傾けたし、毎日食事を一緒にとることや、ある程度の年齢になるまでは家族全員でベットに横になり寝ていた。


愛情たっぷりの環境で育ったエリーはのびのびと育った。


宰相の父親に似て頭も良かったエリーは教えられた事をそつなくこなし、幼い頃からその聡明さを発揮させた。


ただ、裁縫だけはどれだけ本人が努力していても上手くいかなかった。


出来ないことが一つでもある、それは周りの皆を安心させ、親近感も湧かせる要素となった。

出来ないからと辞める事をせずに努力する姿に、裁縫が得意な令嬢や夫人達からとても可愛がられた。





デビュタントでは蜂蜜色のふわふわとした髪の毛と真っ白なドレスがとても似合っていた。


完璧な礼儀作法とはにかむ笑顔のギャップで周りの令息達を魅了したエリーに対し、一部の令嬢達からは嫉妬の目を向けられた。


身につけた礼儀作法を惜しみなく発揮し、婚約者の第一王子に挨拶をすると、溶けるような微笑みと共に左手を向けられたエリー。


そのままエスコートをしてもらい、ファーストダンスを王子と踊った。

それは周りの家族達を感嘆させる程の美しさだった。





この時のエリーの琥珀色の瞳は未来への希望に満ちていた。


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