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和解

 私達は、奥の扉を開く。

 その扉の向こうにあった場所は、とても暗く、ランプの灯りしかなかった。


「なんで…」


  会長がいた。

 会長がランプで照らしながら、私達を見た。


「なぜって、目が覚めたので」

「そういうことを聞いているわけじゃない!」


  ではなにが聞きたいのだろうか。

 どうやってこの場所がわかったのかってことかな。

 とか思いつつ話そうとしたら、遮られた。


「僕は貴女を殺そうとしたのですよ⁈それなのになぜノコノコと来たんですか⁈」


  会長がそう聞いてきた。

 それに対しての答えなんて、考えるまでもない。


「それは嘘でしょう。会長からは、殺気を感じませんでした。それに、本気ならばその場で処分していたはずです」


  私はつらつらと、理由を言っていった。


「……それは」


 言葉に詰まっている。

 私の推測は間違っていただろうか。

 だが、間違っていないとそう思う。


「会長はお優しいですから」

「僕が、優しい?ははっ、そんなわけないじゃないですか。無関係な貴女を昏睡状態にしたんですよ?僕が優しいなら他はなんだというんですか?ねぇ、答えてくださいよ」


  会長は、不気味な笑いをした。

 でも、私の考えは変わらない。

 会長は優しい。というか、甘い。

 圧は感じるけれど、殺気は感じないし。

 私になにか危害を加える気もない。それに、昏睡状態にしたとか言っているけれど、多分一定の期間を超えたら起きるようになっていた。

 私は自力で起きたが。


「…やっぱり、優しいですよ」


  私は会長に向かって笑いかけた。


「本当、こう言うのはどうかとも思ったのですが、バカなのですか?」


  と、ため息をつかれた。

 バカ、か。否定はできないかな。

 考えるのは好きじゃない。

 私は思ったことをそのまま伝えたい。それが私なのだ。


「バカですよ、私は。ですが、会長へ伝えたことに間違いはないと思っています」

「はぁ、貴女は噂通りの(かた)ですね。僕のことまで救ってくださるのですか?」


 噂とはなんのことだろうか。

 聞いたことはないが。救う、か。

 救けるとは言ったが、少し違う。

 だって、私は悪役令嬢のユミリア・シスカ。

 誰かの心までを救うことができるとは思っていない。

 だが、一緒に遊んだり話したりはできる。


 だから……


「救うとは言っていませんよ。私は、私のために動いているだけですから。なので、会長…私とお友達になってくださいませんか?」


  と、私は言った。

 会長は、ポカーンとしている。

 突拍子もないことを言った自覚はある。

 でも、私が考えた解決策がこうだったのだ。

  友達になれば、他愛のない話だってできる。

 なにより、私がそうしたいと思った。

 きっかけはそれでいいじゃないか。


「本当…貴女は……」


 会長が泣きそうな顔をしていた。

 泣かせるようなこと言ったか?

 それとも、泣くほど私と友達になりたくないとか⁈

 それはそれで私が悲しいんだが……


「分かりました。貴女の友人になります」


 と、笑った。

 困ったような笑いだけど、本当に出た笑顔だと思った。

 嘘ではないものだと、そう感じた。



 後ろから、声が聞こえた。


「黒い魔力が消えていく…」と。


 マリカが言ったことだから間違いはないはずだ。

 黒い魔力……闇の魔力のことだな。

 消えたのなら良かった。


 彼に何があったのかは、また聞くこととしよう。

 今はとりあえず、心と身体を落ち着かせていてほしい。

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