夢?裏話
「ユミリアが眠ってもう三日。ですか…」
「そう、ですね…」
眠っているユミリア・シスカを見つめる七人の影がそこにはあった。
あの日、ユミリアがシェルド・モールトによって、眠らせられた日から三日程経った。
彼女が倒れているのを見つけたのは、他でもないステファンだった。
婚約者が倒れてしまっているのを見つけた彼は、すぐさま彼女のメイドであるエマに伝え、ユミリアの部屋に運ばせた。
そして、なぜ倒れていたのかを医師に調べさせたが原因は不明だということだった。
それからずっと目を覚さない。
ステファン達は不安で仕方がない。
このままずっと目を覚さなかったら……と。その考えが頭を駆け巡るのだ。
(貴女は僕の人生を変えた。世界はつまらないと思っていた僕に面白さを教えてくれた。色を与えてくれた。そう簡単に手放すつもりはありませんよ)
寝ているユミリアを見ながらステファンは思っている。
それぞれ違う気持ちでユミリアを見ているのだが。
例えば、ナチェラは……
(俺はもしかしたら、バカなのかもしれない。初めて自分の気持ちに気づいた。あいつは、ステファンの婚約者。言えるはずもない。それでも、笑ってる顔は見たいから、早く戻ってこいよ)と。
バルドは
(君のことを守りたいと思ったのに、守れなかった。俺は騎士だというのにな。次は必ず守ってみせる。だから、戻ってきてくれ。頼むから……)彼らしくないが泣きそうになっている。愛する人を失いそうになっているのだから、あたりまえとも言えるのかもしれないが。
カイラは
(貴女が私の髪を綺麗だと褒めてくださった日から、私は変われました。ユミリア様とまた一緒に本について話がしたい。おそばにいさせてください…)そう思っていた。彼女は祈りを捧げている。またもう一度、笑って話したい。それが今祈るただ一つのこと。
セシルもまた祈りを捧げている。不安げに見守る妹を見ながら。
(ユミリアは、妹の友人で、ステファンの婚約者。それは分かっているが、君が俺に笑いかけてくれた日からどうしても君のことが頭から離れない。だから、また俺に笑いかけてほしい)
それがセシルの願い。
そして、もう一人。
ユミリアが親友だとそう感じている人物。
そう、アルミネ・グラシエリだ。
彼女だけは他の者とは思っていることが違った。
(ユミリア様……私は貴女に生きる意味をもらったのです。私は、貴女に出会って前を向けるようになった。ですから、こんなところで失うのは絶対に嫌ですわ!)
アルミネは泣きそうになりながらも、前を向いて拳を握った。
そんな彼女に聞こえてきた声。
((じゃあ、救けにいこうよ))
という声だ。
その声は、アルミネにしか聞こえない。
アルミネも、わけが分からないままふらふらと歩き、ユミリアが眠っているベッドに近づき、眠った。
その声は、ユミリアの親友……
いや、戸松京香の親友の声だったのである。
アルミネは、戸松京香の親友。なっつんとして、彼女の夢の中へ入り呼びかけた。
そのおかげで、ユミリア・シスカの意識を取り戻すことができた。
それがなければ、ユミリア・シスカは、意識を戻すことがなかったかもしれない。
その事実は誰も知らないのだが。
無事に救出できたのなら、よしとしよう。




