ついにきたか…
「ユミリア・シスカ!貴女の悪事を暴いて差し上げますわ!!」
食堂に入ると、指でさされそう言われた。
そうだ、このイベントだった。
確か……マリカにしてきたことが全て暴かれたユミリアは、取り巻きにも見放されて孤独になるんだっけ。
マリカも今までされてきたことを、ハッキリと言って攻略対象達に守られる……少し表現が違うところもあるけれど大体はそんなイベントなはずだ。
そうかそうか、なんか悪いイベントがあるって思ってたけどこれだったかー
って、ダメじゃない⁈私とてもまずい状況なのでは⁈
悪事をしてきた覚えはないけど……
なに?なにを暴かれるの?
よりによって友人が誰もいないのですが⁈
今日は生徒会の仕事があるからって、みんなそっちにいっちゃったし!
「貴女は、マリカ・ローネに対しての度重なる嫌がらせをしてきましたね?それを見たとおっしゃっている方が沢山いるんですのよ⁈」
令嬢は勢いよく私に言う。
周りにいる人達も頷いている。
少し遠くにいる人は不思議そうに首を傾けているが。
度重なる嫌がらせ?
そんなことをした覚えはない。
全くと言っていいほど、ない。
最初はそうしなければと思っていたけれど、もうやめた。
だから、私はそんなことをしてはいない。
けれど、この人達の目は真っ直ぐで真実を言っているという自信を持ったような目だ。
この目に飲まれてはいけない。
「私はそのようなことをしていません」
私はハッキリとそう告げた。
すると、彼女達がうろたえた。
「嘘ですわね!こちらには証拠もあるのですよ!!」
令嬢は紙をばら撒いた。
その紙には、私のした覚えのないようなことがズラズラと書かれている。
なにも知らない人が読めば、信じてしまいそうだ。
現に、紙を見た人達の表情は変わっていく。
驚いている人、信じられない、そう思っているような顔。
これでは、私の方が不利だ。
誰か、誰か来てほしい。お願いだから。
そんな時、食堂の扉が開いた。
「これはなんの騒ぎですか?」
ステファンだ。その後ろには、ナチェラ達もいる。
私はステファンに抱き寄せられた。
守ろうと思ってくれたのだろうけど、さすがに恥ずかしい。
だが、そんなことを気にしている暇は今はない。
「生徒会の仕事が終わって、急いで来てみたら……ユミリア様になにをされているんですか?」
アルミネが笑いながら、怒っている。
本当にそんな人いるんだなと少し感心した。
呑気だと思われるかもしれないが、私はなにもすることがないのでな。
「わ、私はユミリア・シスカの悪事を…」
「悪事ぃ??こんな紙切れ一枚でか?」
ナチェラが、パッと紙を抜き取り言った。
「ユミリア様にこんなことできるわけないですよ」
「そうだな。ユミリアは心が優しいし、このようなことは考えられないだろう」
「義姉さんはこんな高度なことは思いつかないだろうね」
カイラ、バルド、リンと続けて言った。
庇護してくれるのは嬉しいんだけど、リンに至っては貶しているのでは?
「私はユミリア様に、嫌がらせをされたことは一度たりともありません。ですが、他の方にされたことは私は忘れていません。お顔もお声も全て記憶しております。ですので、この場で申し上げることも可能ですが??」
マリカが圧をかけている。
ただ可愛いヒロインだと思っていたのに……
強くなっていたのね。後ろ姿を見ているだけなのに怖いもの。それとも友のためなら頑張れるみたいなことかな。
それはそれでいいな。
そんなことを考えている間に、令嬢達が頭を下げていて騒動は収まりました。
私はただ見ているだけだった気がする。
やはり持つべきものは、心の強い友ってことか。
当事者である私がこんなふうに考えていていいのだろうか。
いや、無事に収束したのだからいいはずだ。
それにしても、なぜ急にこんなことが?
この時期にこのイベントがあったからだとしても、私はなにもしていない。
それなのになぜ?
原作の修正力、か。
そう思っていた方が一番自然だ。
他の原因があるだなんて考えたくもない。




