表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/58

王子再来訪

 さて、破滅フラグを回避しつつ原作に忠実に計画を進めてくか。この計画名は長すぎるかな?

 うーむ、じゃあ……『破滅フラグへし折るぞ』にするか!

 うん、我ながらよくまとめられたな。

 計画名も決まったところで、対応策を考えていこう。


 ユミリアは、王子の作り出した土人形によって人生を終えた。私は踏まれて終わるなんて絶対に嫌だ。

 そのためにどうすればいいか、か。


『魔力を強化すればいいんじゃないかなぁ?』

『どうしてだ?原作のユミリアはさほど魔法は使ってなかったはずだぜ』

『だからこそだろう。ユミリアは王子の魔法によって生涯を終えた。それならば、魔力を強化し対応できるようになればいい』

『ではこれからは魔力を強化するということで!』


 私の別人格による脳内会議により決まった。

 魔力の強化。それが私の課題みたい。

 別人格は私が仕事を乗り越えるためにできたものである。


 人に媚を売るのが上手い『アイ』

 乱暴な物言いの『ラン』頭脳派な『スノウ』。

 まとめ役の『マト』この四名だ。

 考え事をするときには助かってるし、『私』が上司に怒られて辛い時は話し相手にもなってくれた。


 とりあえず、課題をクリアしなきゃ。

 私の魔法は…確かめるには外に出なければならない。


 私は外に出て、魔法を使った。私のは『水』。

 私が出した水は、蛇口を捻ったほうがいいと思うほど少量だった。

 『マジラブ』でもそうだったから、こうなるのは分かってたけど。

 さすがに心が折れそうだ……


 強化、ねぇ。これを強化か……時間がかかりそうだ。

 そもそも水の強化ってなにすればいいわけ?

 水を沢山使うこと?沢山使うこと……


 そうだ、植物でも育ててみようか。

 そうすれば水も使えるし、植物を育てて穏やかな気持ちにもなれる。一石二鳥だ。


 そうと決まればっ

 私は、屋敷で雇っている庭師のところに話をしに行った。


「イサ!私、植物を育てたいのだけど少しだけ場所を貸してくれる?」

「ユミリアお嬢様が?植物ならば、私が育てますが…」


 イサ。屋敷で雇っている庭師。もうおじいちゃんだ。

 そんなイサが不思議そうに首を傾げた。


「それじゃ意味がないのよ!私の魔力を強化するために必要なの!」

「植物を育てて魔力を強化?お嬢様は面白いことを考えられますね…どうぞお使いください。苗もお好きなものをどうぞ。私が使おうと思っていたものですが、お嬢様のためになるのなら」

「本当⁈ありがとう!」


 一応、ユミリアのように強気で言ってみた。

 イサがそれに気づいてるかは分からないけど。

 私はイサに苗の場所を聞いて取りに行った。

 そして、戻ってイサに耕し方から教わりながら苗を植えていった。


「これでいいのよね?」

「はい、お上手です。お嬢様は苗を植える手がとても優しい。そういう方が育てた植物はきっと綺麗に芽が出ますよ」

「イサは褒めるのが上手ね。お世辞はいらないわよ?」

「お世辞ではありませんよ」

 

 私とイサがこうして土いじりをしているとこを見たら、孫とおじいちゃんみたいに見えるのかもしれないな。

 土いじりって案外楽しいし続けていきたいな〜

 と、そんな微笑ましいことを思ってた。

 そんな時に、エマが慌てた様子で来る。


「お、お嬢様!なにをなさって?」

「あら、エマ。どうしたの?」


 驚いた顔をしてるエマに問いかけた。

 そんな驚かなくてもいいのに、土とかついていたか?


「こちらにおられたのですね。ユミリア様」


 エマの後ろからひょっこりと、ステファン様が顔を出した。


「ご、ごきげんよう。ステファン様。どのような御用で?それと、申し訳ありませんこのような場所まで来させてしまって」

「魔力の強化をされていると聞き拝見しようと思ったのですが、これは?」


 私が作業服を着ながら、土いじりをしていたところを見られていたのだろうか。

 今更嘘はつけない。


「水魔法を強化するには、水を沢山使うことが必要かと思いまして」


 と、本当のことを言ってみた。

 すると、ステファン様はプルプルと震え出した。

 

 なにか失礼なことを言ってしまったのだろうか?

 私まで震えたくなってくる。

 そして、ステファン様はパッと顔を上げ笑顔で


「それはいい訓練ですね!」


 と言った。


 怒らせていないのなら良かった。

 王子を怒らせたら私の破滅フラグは一瞬で立ってしまう。

 そうならないように、今対策を立てたばかりだというのに。

 そういえば、ステファン様の本当の用事ってなに?

 魔力の強化をしてると聞いたのは、屋敷に来てからだろうし。


「本日は前回お話しさせていただいた婚約の件で、正式に挨拶に参りました。このような場所で申し訳ありませんが、僕との婚約をお受けしていただけますか?」

「え、あっ、はい」


 ステファン様はニコッと笑い、私の手をとりキスをした。

 

 ん?私はいって言った?

 言っちゃってたか⁈くっ、つい流れで…

 適当な理由をつけて断ろうと思っていたのに。

 というか本当の用事ってこれかー

 考え付かなかったなー(棒)

 

 正式な婚約者になったってことは、破滅への第一歩じゃないか……

 仕方ない。話を聞いてなかったのは私だ。

 とりあえず明日からもっと、魔法の訓練に気合を入れるぞー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 悪役令嬢として生きると決めたので、これからどうヒロインを虐めまくるのかが気になる。虐めずに慎ましく暮らすなら、それはそれで面白いと思うが。 [気になる点] 箇条書きのように見える。情景描写…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ