弱かった俺
俺の名はバルド・ハスティ。
父は、騎士団の団長をしている。
その関係で、俺もよく戦場に行かせられた。
だが、この国では十五歳になれば魔力のある者は学園に入る決まりである。
俺も、それに該当していた。
俺は入学をする前に怪我をして、まともに歩けなくなった。
それが完治するまではと入学を遅らせてもらったのだ。
俺はそれでもいいと思った。
本当は入学をしたくなかった。
その間に、俺は置いていかれる。
父が俺に関心を持っているのは、俺がまだ強いからだ。
父に教えられなくなった時、俺は弱くなるかもしれない。
そうなったら、俺は父からの関心が得られなくなるかもしれない。
こんなことばかりを考えてしまう。
俺の心は、弱いな。
程なくして、学園への入学となった。
一人だけ、時期を遅らせてだったが、クラスにはなんとか馴染めそうだった。
周りを見渡せば、貴族ばかりで少し怖いがな。
俺は、父の元を離れても稽古を続けようと場所を探し、木刀を振るようにした。
見つからないような場所があってよかった。
置いていかれないためには、自分でも地道に励むしかない。
そう思ったのだ。
そうして、俺が稽古をしていたある日のこと。
茂みから視線を感じ、誰かいるのかと言うと、人が出てきた。
その人の名は、ユミリア・シスカ……様。
公爵家の令嬢だったはずだ。
なぜこんなところに?と聞くと通りかかったのだと言っていた。それに、敬語ではなくていいと。
通りかかるようなところではないが、深く考えないことにした。
そのあと、ユミリアがなぜ俺がここで木刀を振っているのかと問う。
俺は、置いていかれたくないからと。包み隠さず答えた。
彼女だったら、笑わないで聞いてくれそうだとそう思ったのだ。
それか、ただ誰かに聞いてほしかっただけなのかもしれない。
思った通り、彼女は黙って聞いてくれた。
そして、俺に言葉をくれたのだ。
「貴方は強いですわよ。稽古を続けることができる。それは、なによりも強いです。継続は力なり、ですから」と。
自分は、弱い。そう思っていた俺に、強いと言ってくれた。
継続は力なり。これは、彼女が教えてくれたものだ。
俺が稽古を続けている限り、俺は強くいられる。
それを教えてくれた。
それは、俺にとって衝撃であり、俺にとって守りたい者ができた瞬間だった。
ユミリアには婚約者がいる。
それは知っている。
だから、俺は陰から守ろう。
貴女に降り注ぐ厄災から、守ってみせる。
貴女が嫌がったとしても、俺は貴女にとっての騎士でありたい。
それが、俺の願いになったのだ。
曲げるつもりはない。
続けることは力になる。
貴女にそう教わったのだからな——




