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破滅フラグ

 具体的にどうしていくか考えなければならない。

 まず、この世界が本当に『マジラブ』の世界なのか調べてみるか。

 けれど、そのまえに少し寝たい。眠気がまたやってきた。

 寝た方が頭も冴えていいかもしれないな。



 そうして朝まで寝て、起きた。

 気分は爽快。着替えは自分で済ませる。

 少し経つと、エマが入ってきた。

 私が自分でするようになっても、髪だけは整えてくれるのだ。

 それが自分の仕事だからとエマは言う。エマがしてくれなかったら私の髪はボサボサになっていたかもしれないな。

 私は不器用だし。


 そのあと朝食を食べに行った。

 食べ終わってからお母様に

「ユミリア、先日のことでお話が…」

 と言われた。


「まだ少し体調がすぐれませんので失礼しますわ!」


 私はそそくさとその場をあとにした。

 先日のこととは、婚約の話だろう。まだ認めたくはない。

 自室へ戻り、『マジカルラブ』について覚えていること。と、ノートに綴った。


  『マジカルラブ』の世界観は、中世ヨーロッパで剣と魔法の国である。

 貴族階級の者に魔法が発現し、十五歳になったら魔法を持つ者は学園に入学して、制御する(すべ)を学ぶ必要がある。

 また、平民でも稀に魔法は発現する。


 魔法の種類には、『水・火・土・風・雷』。特殊なもので『光』がある。

 この光の魔法を持っているのがヒロインなのだ。


 肝心の、ユミリアについても書いておこう。

 ユミリアが破滅してしまうかもしれないのは、ステファンルート。それと、義弟のリンルートにもライバルキャラとして出てくる。

 特に危ないのがステファンルートだ。


 ハッピーエンドなら、ユミリアがヒロインに陰湿な嫌がらせをしていたことがバレて断罪され、ユミリアが国外追放される。その後ヒロインとステファンは結ばれて幸せになる。


 バッドエンドなら、王子が自分のことを選ばなかったことに腹を立て、王子が大事にしている動物小屋を壊し動物を外に逃す。それを見た王子が怒り狂い大きな土人形でユミリアを踏み潰してしまう。婚約者に手をかけてしまったと王子はヒロインと別れて王子は国外へ……


 という二つのことがある。

 こうして書き記してみると…


 ハッピーでもバッドでもユミリアにはバッドしかなくないか?おかしい、これはおかしい。

 だってユミリアは働き者すぎて、逆ハールートでもライバルキャラとして出てくるぐらいなのだ。少しぐらい休ませてよ!!

 他のライバルキャラはこんなんじゃなかったはず。

 製作者達はユミリアが嫌いなのか?そうなのか?

 救済ルートもくれよ!


 ふう、落ち着いた…

 さて、本当に困った。このままいけば私は断罪されて終わりだ。

 やはり回避した方がいい気もする。

 『私』のオタク魂が原作そのままにいきたいと言っているのだが。


 はっ、いいこと思いついたぞ。

 原作の通りに、ユミリアを……甘やかされて我儘に育ったユミリアを演じればいい。キツい言い方も真似すればいい。


 そうすれば原作そのままに、私の破滅フラグも回避することができるかもしれない。

 よし、『私』の知識を駆使して頑張ってみるか。

 これからどうなるかは分からないけど、私だって今度は長生きしたい。老後は猫を膝の上に乗せたいのでな。


 悪役令嬢、ユミリア・シスカ。

 私はそれになる。そう心に決めた。

 認めたくない気持ちもあるけれど、父母や使用人に話を聞いた限りここが『マジラブ』の世界であると認めなければいけないようだし。


 『私』の適応力ならばどうにかなるはずだ。

 ブラック企業でも無茶振りに耐えてきたのだから。

 私を信じて頑張ってみるか!

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