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マリカという少女

 私はマリカ・ローネ。

 ただの平民です。

 ですが、光の魔力という特殊なものが私に宿っていたのです。

 魔法が使えるのは貴族の方々(かたがた)だけ。

 けれど、稀に平民の中でも扱える人間が出る。

 それが私だった。

 そして、特殊な魔力。

 私にそんなすごいものが宿っているだなんて信じられなかった。


 十五歳になり、魔法学園に入ることになった。

 この国では、それが決まりだからと。

 自分に魔力があるのだと、実感を持てた。


 学園に入ると、周りは貴族の方々(かたがた)ばかりだ。

 入学式も、緊張しっぱなしだった。

 私は、入学式が終わってから寮に向かっていた。


 その途中でした。

 黒い猫が通りかかったのです。

 私はそれを追いかけ、抱き上げました。


 すると、物音がして誰かと聞くと、ユミリア・シスカ様という(かた)が出てこられました。

 そのあと、私にその小汚い猫はどうするのかと聞かれます。


 私は、猫を小汚くはないと言って、責任をとって元気にすると答えました。

 ユミリア様は、女性寮で飼うのだけはやめてと言われた。

 ですが、それも彼女なりの優しさだったのではないかと思ったのです。


 他の(かた)だったら、飼うことも許していただけなかったかもしれませんから。



 それからは、なかなかユミリア様と会う機会がありませんでした。

 けれど、先日お会いすることができました。

 お会いしたというより、私が迷っていたのを助けていただいたのですが。


 次にお会いしたときには、お礼にとお菓子をお渡ししました。美味しいと言ってもらえて、私の心がとても暖かな気持ちになりました。

 言動とは裏腹に彼女は、やっぱり優しい。

 久しぶりに、人と話すのを楽しいと感じたのです。

 しだいに、私はユミリア様と仲良くなりたいと思っていったのです。


 ユミリア様のような令嬢ばかりではない。

 それはわかっていたはず。

 あの(かた)がお優しいから、つい忘れてしまっていた。


 私は呼び出されました。

 そして、心無い言葉をぶつけられ、炎をあてられそうになりました。

 私は、傷つくことを覚悟した。


 ですが、いつまで経っても炎はあたらなかった。

 私の前にユミリア様が立っていたのです。

 炎を消えていた。

 ユミリア様が消してくれた。


 そして、私のことをマリカと呼んだ。

 それがとても嬉しかった。

 私は、私の名前をまた好きになれる気がします。


 

 ユミリア様は、私に友人を紹介すると言ってくださいました。

 翌日、ついてきてと言われ、ついていくと生徒会のお二人がおられました。

 同じ生徒会だけれど、あまり話したことはなかった。


 お二人が私に、名前で呼んでと言われた。

 私が、名前を呼ぶと喜んだように微笑まれたので、私も嬉しくなった。

 それからは、いろいろなお話をしました。



 これまで、誰かと話すことがあまりなかった。

 私は、平民の中では珍しい奴だと煙たがれていたから。

 そのせいで、母にまで迷惑をかけることもしばしばあった。


 だから、こんなふうに話せて私は幸せだ。

 それを教えてくれたユミリア様には、また感謝をしなければならないなと思う。

 

 私に、幸せを教えてくれてありがとうございます。

 そう伝えたいと思うのです。

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