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マリカを助けた

「ふんふーん、今日のご飯はなに食べよっかな〜」


 『私』全開で外を歩いている。

 周りに誰もいないし、大丈夫だろう。

 私だってたまには、そんな日があってもいいと思うんだ。

 リンに会ったら、怒られそうだけど。


 そんな時に、たまたま通りかかった場所で危険な光景を見た。


「平民の分際で、生徒会とか生意気なのよ!」

「どうせ贔屓でもされているのでしょう⁈」

「一度痛い目を見るといいわ!!」


  そんな声が聞こえ、見てみると三人の令嬢。

 他にもいるみたいだが。

 その令嬢達が、マリカを囲んでいて、そのうちの一人が魔法を発動させている。

 それは『火』の魔力のようで、少しの炎があがっている。

 その手をマリカの方へ……


 そんなことさせるもんか!

 私の『水』なら止められる。

 だが、私の魔力でできるのか?


 いや、やるんだ!ここならギリギリ射程圏内だろう。

 私は、炎を発生させている令嬢の手に向かって、水をかけた。

 少しだけしかでなかったけど、止めることはできた。


「きゃ⁈」


 令嬢は、火を消されたことに驚いている。

 私は、その人達の前に出る。


「貴方達、なにをしているのかしら?話は全て聞いていたけれど、本当に贔屓なんてあると思っているの?」

「ゆ、ユミリア様…」

「あら、私貴女に名前呼びを許した覚えはないわよ。それと、本当に贔屓があるのなら私も生徒会に入っているはず。そうよね?貴女はそんなことも考えられなかったのかしら?ねぇ、聞いているの??」


 私は、怒りで次々と言葉をはなっていく。

 反論する隙も与えないように。

 マリカを、というか私の前で人を傷つけようとした人に容赦なんていらない。

 言葉だけで済ませるのだから、逆に感謝してほしいものだ。


「す、すみませんでしたー!」

「謝るのなら、私じゃなくて、マリカにでしょう」

「すみませんでした!」


 令嬢達は、マリカに勢いよく謝り去って行った。


「ユミリア様、ありがとうございました」

「別に、人が目の前で傷つくのは寝覚めが悪いからよ」

「ユミリア様には、いつも助けていただいていますね。最初に出会った時だってそうでした」


 最初って黒猫の時だったっけ。

 ん?助けた覚えがないな。


「最初?」

「あの黒猫を助けることができたのは、ユミリア様が見逃してくれたからです。きっと、他の(かた)でしたらああはいきませんでしたから」

「そう。あの時の猫は綺麗になったのかしら?」

「はい!すっかり元気になって。実は、あの猫は白猫だったのですよ」


  マリカが笑って言った。

 白猫が黒猫にって……よっぽど汚れてしまっていたのか。

 でも、それを綺麗にするってすごいな。


「貴女、頑張ったのね」


 私は、怖がらせないように微笑んだ。


「あ、ありがとうございます。あの、ユミリア様、どうか私のことはマリカとお呼びください。先程呼んでくださったでしょう?」


  そんなこと言っていただろうか。

 あー、うん。マリカ呼びしたかもしれない。

 まあこれは私が悪いな。


「わかったわ。マリカ」


  そう呼ぶと、彼女がまた笑った。

 

「ねぇ、マリカ。さっきのようなことはよくあるのかしら?」

「はい。攻撃されそうになったのは初めてでしたけど…」


 やっぱりよくあるのか。

 なんだか初めてじゃなさそうに感じたんだよね。

 マリカの反応が。

 まあ、攻撃されそうになったのが初めてなら良かったか。


「そう。なら今度から一人でいるのはやめなさい」

「で、ですが…私まだ友人といえる(かた)がいなくて……」

「では、私が紹介してあげましょう。私の友人はとてもいい方ヶ(かたがた)ですわ」

「えっ、よろしいのですか?」

「えぇ」


 私の友人。

 アルミネ達を紹介しよう。

 きっと、あの子達ならマリカのことも受け入れてくれる。

 というか、生徒会で一緒だから大丈夫なはず。


 あーもう、結局こうなるんだ。

 悪役令嬢になろうと意気込んでいたところで、私はこうなる。

 おせっかいをせずにはいられない。

 それが私なのだ。


 これからは、マリカを守ることにしようか。

 放ってもおけない。


 だから私はとことんおせっかいをしよう。

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