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また会った

 私は学園で生活する上で、少し不安だったことがある。

 それは、ヒロインであるマリカといつどこで出会う可能性があるかわからないということ。

 だけど、最初以外会っていないから大丈夫だろうと高を括っていた。

 それが間違いだった。というか、フラグだったのだろう。


 会いました。

 バッチリと。目も合ったし。

 これでスルーするのは無理よね。


「ユミリア様…」

「こんにちは、ローネさん。こんなところでなにをしているのかしら?」


  私は休憩の時間に、少し植物園の様子を見ようと向かっているところだった。

 植物園は、ひっそりした場所にあるから用がある人以外は来ないはずなのだけれど。


「す、すみません!私、迷ってしまいまして」

「あら、迷った?平民は広い場所に慣れていないのねぇ」


  私は嘲笑った。

 人のこと言えないぐらい、迷うのに。

 いや、ユミリアならこう言うはずだし!


「はい。広い場所は慣れていなくて…」

「そう。よろしければ私が教えて差し上げましょうか?貴女も移動教室なのでしょう?」

「よろしいのですか?」

「ついでです。別に貴女のためではないわ」


 こうやって話している間にも、授業の合間の時間がなくなってしまう。

 早くしないと私も遅れてしまう。

 そう、本当についでなのである。


 それなのに、マリカがすごい笑ってくれた。

 こんな子に冷たくしなきゃいけないのが、私の良心が傷つく……


 そして、遅れずに着くことができて、ありがとうと言ってくれた。

 私も遅れなかったから、良かったな。




 また翌日のこと。

 マリカに遭遇した。

 今まで会っていなかったのに、なぜ続けて会うのだろうか。

 むしろ今まで会わなかったのが、不思議に感じるぐらいだ。



「また会ったわね」

「ユミリア様、昨日は助けていただきありがとうございました!」


  マリカがお辞儀をしてきた。


「ついでだと言ったでしょう。お礼はいらないわ」

「それでも、言わせてください。それと、ユミリア様にお礼をと、お菓子を作ってきたのですが……」


  マリカが小さなカゴを前に出した。

 お菓子……そういえば、ゲームでも作っていたっけ。

 美味しそうだったんだよね。

 まさか、私がもらえる日がくるとは。


「あら、いただくわ」


  私はカゴを受け取る。

 中に入っていたのは、カップケーキだった。

 装飾はされていないけど、それがいい。


 私はそれを一つ取り、食べる。

 口いっぱいに広がる控えめな甘さ。

 私は甘いものがそれほど得意なわけじゃないから、これぐらいがちょうどいい。


「美味しかったわ。なかなかやるじゃない」


  何様だよ。と自分でツッコミをいれたくなった。

 だってお菓子とか作ったことないし、多分作らせてももらえないだろうし。

 調理台を汚してしまうだろうからな。

 そんな私がなかなかやる、とか言えたことじゃないわ。


「ありがとうございます。ユミリア様にそう言っていただけて嬉しいです」


  マリカが微笑んだ。

 彼女が笑うと、周りに花が咲いたような、そんな感じがする。

 そんなこと本人には言えないけれど。

 というか、言ったら確実に引かれる。


 そうして、マリカが去っていった。

 ようやく気が抜ける。

 マリカの前だとなるべく、気丈に振る舞っていないとだから、気が抜けないのだ。


 昨日と今日でもガタがでかけてるから、危うい。

 次会った時には気をつけなきゃだな。

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