入学準備
私の誕生日の翌日、私は準備に追われていた。
「早いうちに終わらせてくださいと申していたはずですが……」
エマがため息を吐いている。
確かに言われていたな。
やる気がおきなかったし、忘れていたのだけど。
「手伝わせてごめんなさい。それと、エマも私の使用人として学校についてきてくれるのよね。ありがとう」
「お礼を言われることではありませんよ。それより、そのクワは…」
私が鍬を包むところを見ていたエマが、不思議そうに首を傾げている。
「?持っていくのよ」
「どこの令嬢がクワを持って入学するというのですか⁈置いていってください!」
「えぇー慣れた道具の方が作業しやすいのに…ダメかしら?」
私は精一杯のおねだり顔でエマを見る。
「そのような顔をしても、いけません」
まあ、あとで分からないように入れておこう。
それからも荷造りを続けた。
「よしっ、これでいいかしらね」
「はい。大丈夫だと思います」
エマのおかげで早く終わったな。
手際がよくて助かる。
「明日に備えて早く寝てくださいね」
「わかったわ」
エマは私の部屋から出た。
私は明日の最終チェックを済ませて、ベッドに寝転がる。
ついに明日から始まるのだ。
ここまで何事もなかったけど、さすがにゲームの本編が始まるとなると、気は抜けなくなるだろう。
これからは、ヒロインに悪事をはたらくことになる。
悪事って……考えたこともないのだけれど。
原作をそのままにしたいという思いは、まだ変わらない。
すでに違うくなってる気はするけど、修正できるはずだし!
「よしっ、頑張るぞー!」
私は気合を入れるために、声に出して言った。




