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主人公のような人

 私の名前は、カイラ・リライト。

 宰相の娘。私には一人兄がいて、いつも私のそばにいてくれる。

 ですが、それが少しだけ苦しい。

 

 私のそばにいてくれるけれど、私と共にいることで兄まで悪口を言われてしまう。

 兄はとても優しい人だというのに。

 私が呪われた子だから……


 血のように赤い髪の毛。

 その髪を見た人が、私を呪われた子だと言った。

 そのことで、家族にまで迷惑がかかってしまう。

 なので、私は小説を読み部屋に引きこもることにした。


 ロマンス小説は低俗。

 そう言われるけれど、私にとっては自分を守るお守りみたいなように感じる。

 小説を読んでいれば、嫌なことだって忘れられるから。

 小説を読んでいる時だけは、自分が強くなれたように感じるから。


『王女と紫の花とカイラ』その本が一番のお気に入り。

 私と同じ名前の、少し臆病な子が出てくる。

 そんな子に、王女は言う。

 『貴女は自信を持ちなさい。私のお墨付きよ』と。

 そうしてカイラは、自分に自信を持ち、人と積極的に関わろうとしていく。


 名前は同じだけれど、私とは正反対だ。

 私も王女みたいな人が現れたら、変われるのでしょうか。

 その時が楽しみな気もしてきますが、現れなかったら……とそんな不安にも駆られてしまいます。

 私の心はまだ弱いままですね。


 ある日、お父様に人に慣れるためにもお茶会に出てみないかと言われました。

 ずっと部屋に閉じこもっていたので、心配してくださったのでしょう。

 私は、これ以上心配させたくないと思い、行ってみることにしました。


 ですが、この選択が間違っていたとあとで気づくのです。

 お茶会に行くと、沢山の人がいました。

 私は、賑やかな場は苦手なので静かな場所を探して、見つけて座りました。


 そのすぐあとに、二人の令嬢が来られたのです。

 私に陰口を言っていた人です。

 そして


「なんで貴女がこんな場所にいるんですの?貴女なんてずっとお部屋に引きこもっていればいいですのに」

「そうですわ。お兄様が可哀想ですわよ。こんな呪われた子が妹だなんて!」


 と、怒鳴られました。

 お兄様が可哀想、か。それは私も感じていることであり、そう思われたくないから、引きこもっているのです。

 兄に迷惑をかけたくなかった。

 私は部屋から出てはいけなかったのですね……



 そんなことを思っていると、私の前に人が現れたのです。

 その人は、二人の令嬢に向かって


「貴女たち!なにをしていますの⁈」と

「言い訳はいりませんわ。一人の令嬢に対して二人で詰め寄るだなんて品がありませんわね…今すぐここから立ち去りなさい」


 そう言われたのです。

 すると、二人は小走りでその場を去りました。

 まるで、小説の場面のようだと思いました。


 その(かた)は私を見て、大丈夫と聞かれた。

 私は、大丈夫です。と言いました。


 その(かた)が、私を見て綺麗な髪だと言うのです。

 私の髪を綺麗だと言う人はいなかった。呪われていると何度も言われてきた。

 それなのに、その(かた)は触ってみたいとまで言う。


 私は驚きました。

 怖くないのかと聞き、なぜそんなことを聞くのかというふうに首を傾げられたので、私はその理由も言いました。


 そして、その(かた)が少し黙ったあとに、口を開きました。



「そんなことないわよ!それに、貴女の髪はとても綺麗で目も手も全て綺麗よ。心だってね。だから、きっと大丈夫よ。貴女は自信を持ちなさい。私のお墨付きよ」


 そう言われたのです。

 その言葉は、私が小説で読んだあの言葉と同じでした。

 王女がカイラに言った言葉と。


 私は、思わず小説のタイトルを呟きました。

 すると、彼女が私の手を握った。

 その小説を知っている人が周りにいなかったから、つい。と言っていた。

 私も、初めて出会った。


 そんな時、ユミリア様ーと呼ぶ声がしてきた。

 ユミリア様とは、彼女の名前なのでしょう。

 

 とても綺麗なご令嬢は、彼女を見つけると明るい笑顔を見せました。

 その後ろからは、義姉(ねえ)さん見つかった?と聞いているので彼女の義弟(おとうと)ですかね。


 ひょっこりと顔を見せた(かた)が、ギョッという顔をされた。

 私が、彼女に手を握られているからですかね?


 なにしてるのかと、聞かれると、彼女は友達ができたのよ。と微笑まれた。


 友達……初めての響きに私は嬉しくなりました。

 私に友達というのができるとは思っていなかったので。


 本当に、この(かた)は主人公のような(かた)ですね。

 明るくて、引っ張りあげてくれて。

 王女みたいな人に出会えたら変われるかもしれない。

 だから私は今、変われるのです。

 変わってみせます。この(かた)に恥じない私になるために。

 隣に並んでいても、貴女が恥ずかしくないように。

 強くなってみせます。誰になにを言われたとしても挫けないように。


 頑張りますので、見ていてくださいね。

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