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綺麗な子

 翌日、私はアルミネとお茶会に行った。

 アルミネが言っていた通り、階級は関係ないようで沢山の人がいる。


義姉(ねえ)さん、僕も来て良かったの?」


 くいっ、と私の袖を引っ張ってリンが言う。


「もちろん。むしろ、いてくれると助かるわ」


  私はそう言う。

 自分が誘ったのだから、来てくれて嬉しいという気持ちなのよね。

 だから気にしなくてもいいというか……


 リンはアルミネの方を向いて


「アルミネ様もよろしかったのですか?」

 と聞いた。


「ユミリア様からお聞きしていましたので。それに、ユミリア様を止めるのには、私一人では心許ないので」

「ああ……」


 リンは遠い目をしている。

 人を珍獣みたいに言うなと文句を言いたいとこだけど、残念ながら否定できないのだ。

 ごめんよ、リン。『私』の時から苦労をかけるね。


「ユミリア様?」


 アルミネが、覗き込んでくる。


「はっ、な、なに?」

「いえ、お静かでしたのでお腹が空いたのかと思いまして」


  ちょっと考え事をしていたからなんだけど。

 静かだとお腹が空いてるように思われる令嬢って……

 どんどん理想と遠ざかっている気がする。


 せっかくだから、ご飯を食べることにした。

 立食パーティーみたいな感じで、テーブルの上に色々と並んでいる。


「んっ、これ美味しいわ!」


  お皿に取り、一口食べると止まらなくなった。

 私は口に頬張る。

 そんな私を二人はじっと見ている。


「どうしたの?」

「どうもしないよ」


 見られてる気がしてたんだけど、気のせいだったかな。

 また食べ出した。

 美味しいものが沢山あって手がずっと動いてしまう。


 お腹がいっぱいになったので、止まった。


「少し休んでくるわね。二人はそこにいて?」

「はい。待ってますね」


  私はお花摘みに行く。

 こないだの反省をいかし、優雅にいけるようになったのである。

 すごいぞ私!やればできる!


 と、お花摘みを終わらせて戻ろうとしていた道で、またアクシデントが起きました。

 今度は迷子ではないので安心してほしい。

 いや、今の状況のが安心できないかな。


「なんで貴女がこんな場所にいるんですの?貴女なんてずっとお部屋に引きこもっていればいいですのに」

「そうですわ。お兄様が可哀想ですわよ。こんな呪われた子が妹だなんて!」


  二人の令嬢に詰め寄られている女の子が見える。

 あの子も令嬢なのだろうけど。

 これは……見過ごせないな。


「貴女たち!なにをしていますの⁈」


  私は、詰め寄っている人たちの前に出て指をさした。


「ゆ、ユミリア様⁈」


  どうやら私のことを知っていたようだ。

 知っていたからってなにもないけれど。


「こ、これは……」

「言い訳はいりませんわ。一人の令嬢に対して二人で詰め寄るだなんて品がありませんわね…今すぐここから立ち去りなさい」


  私は睨んだ。

 出来るだけ怖くなるように。いつもなら怖く見られないようにするところだけど、すぐに立ち去ってもらえるようにした。



 そして、二人の令嬢は去っていった。

 悪役顔もたまには役に立つものだな。


 それにしても、小説のセリフを言うことになるとは思わなかった。

 とっさに出たのがそれだったんだけど。

 『品がありませんわ』という姿の描写がカッコよかったんだよね。


「大丈夫かしら?」


  私は振り向いて、詰め寄られていた子に声をかける。

 その子は頷いて


「大丈夫です。助けていただいてありがとうございます」


  と、微笑んだ。


 その子は、とても綺麗な赤髪で濃い紫色の目をしている。


「綺麗な髪ね…」


  私とは全然違う。私も赤色だけど、茶色寄りだし。

 手櫛でもとかせそうな髪質。


「触ってみたいわ」

「えっ?」


  待って?私声に出してた…

 これはひかれてしまったかな。初対面で髪触ってみたいって、どこの変態よ。

 って、私だわ。なんか一人ツッコミしちゃってるし、ますます変な人じゃない?


「貴女は、私の髪が怖くはないのですか?」

「怖い?どうして?」


  こんな綺麗なのに怖がるとか意味が分からない。


「私の髪は、赤い。血のようだと、呪われた子だと言われています。そのせいで、家族にも迷惑が……」


  血のよう?呪われた子?

 もしかして、さっきのもそういうことで?


 なんでよ!『私』は赤髪が大好きだった。それに、赤髪のキャラも人気がすごかった。それなのに、呪われた子?

 なんかだんだん腹が立ってきた。

 オタク魂が蘇ってきてたから余計に。


「そんなことないわよ!それに、貴女の髪はとても綺麗で目も手も全て綺麗よ。心だってね。だから、きっと大丈夫よ。貴女は自信を持ちなさい。私のお墨付きよ」


  私は、伝えたいことをしっかり伝えた。

 自分に自信を持つこと。それが彼女には必要だと思ったから。

 また小説のセリフ使っちゃったな。

 『貴女は自信を持ちなさい。私のお墨付きよ』というところ。


「『王女と紫色の花とカイラ』…」


  ぽそっと、女の子が言う。


「その題名!知ってるの⁈」

「は、はい…」


  私が急に手を握ったから、驚いている。


「ごめんなさい。周りに知ってる人がいなかったから、つい…そうだ、貴女の名前は?」

「私は、カイラ・リライトと申します」

「カイラ⁈小説の子と同じ名前ね。すごい偶然ね!」

「私も、同じ名前だと思い読んでみたらハマったのです」


  カイラが言う。

 同じ名前だから読んだらハマった、か。

 少し分かる。『私』もそう思って見たのでハマったことが何度かあるから。


「ユミリア様ーー」


  アルミネの声が聞こえてきた。


「あっ、ユミリア様」

「アルミネ様、義姉(ねえ)さんいましたか?」


  と、ひょこっとリンも顔を出した。

 すると、ギョッとした顔をする。


義姉(ねえ)さん…なにしてるの?」

「なにって…」


  私はカイラの手を握ったままだったのを思い出し、パッと手を離した。


「友達ができたのよ」

「本当ですか?」


  リンが、カイラを見て聞いた。


「友達…はい」


 カイラが嬉しそうに微笑んだ。

 友達という言葉が嬉しかったのかな?

 それならいいけど。


「本当なら、良かったね」


 リンが私を見て言う。


「えぇ」

「私ともお話ししてくださいね?」

「もちろんよ」


  アルミネが言うから、私は頷いた。

 新しい友達ができても、最初にできたお友達は(ないがし)ろにしてはいけないし。


 これからいっぱい話せるといいな。

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