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勝負をした

 数日後、ナチェラがやって来た。

 私は、エマに呼ばれナチェラのもとへ行った。

 ナチェラは前と同じようにソファに座っている。


「来たか、勝負だ!」

「来たもなにも、ここは私の住んでいる場所なのですけど」

「それはわかっている。勝負はしないのか?」

「しますよ。お受けしたのですから」


  ナチェラはニッと笑って立ち上がった。


「よしっ、なら勝負内容はお前が決めろ!」

「何でもよろしいのですか?それと、私のことはユミリアと呼んでください」

「なんでもいいぞ」


 なんでもいいのか。それはそれで悩むものだけれどな。

 とりあえず、お前呼びはやめていただけると嬉しい。

 勝負内容は……


「では、外に出ましょうか」

「決めたのか?」

「えぇ、外に出なければできませんので、来てください」


  ナチェラは素直についてきてくれる。

 推しを従えて歩く……なんて罪だろう。

 だが、歩幅を合わせてくれているところが尊い!ありがとうございます!!

 はっ、またオタク全開になってしまった。気をつけなくてはな。いつかボロが出てしまう。

 そんなことを考えてるとついた。


 植物園。そこで勝負をしようと思ったのだ。


「ここでなんの勝負をするんだ?」

「耕し勝負です!」

「耕し?」

「はい。決めた距離で土を耕してどちらが早く終わるかの競争です」


 この勝負は完全に私が有利である。

 まだ耕してない場所があったから、したかっただけでもあるのだけれど。

 ちゃっかりしてるな、私も。


「じゃあ早くやろうぜ」

「はい。では、ここからここまでで。それと、鍬はこれを使ってください」


 私は線を引いてから言った。

 そして、ナチェラに鍬を渡した。


「本当によろしいのですか?どう考えても、ナチェラ様はクワを扱ったことがないと思いますが…」


 エマが私に小声で言ってきた。


「いいのよ。それに、他のことだったら私が負けちゃうじゃないの」

「そうですか…」


  私は負けず嫌いなのだ。せっかく勝負するなら勝ちたい。


「始めないのか?」


  ナチェラが聞いてきた。


「始めますよ。エマ、お願い」

「はい」


  私はエマに頼んで、合図をしてもらうことにした。

 エマがパンッと手を叩く。

 そして始まった。


 私はいつものように、土を耕していく。

 どんどん進む。

 ナチェラは苦戦してるみたいで、距離が開いていく。



 そうして、土を耕し終わった。

 エマがまたパンッと手を叩く。終わりの合図だ。


「私の勝ちですね」


 私は笑って、疲れてるナチェラに言った。

 ナチェラは悔しそうな顔をしている。


「……次は俺が勝つからな!覚えとけよ!」


  そんな捨て台詞を言ってからまた帰った。

 次って……まだ勝負する気なのか。

 あんまり、したくないんだけど。


 あの様子だと来るだろうね……

 来てくれるのは嬉しいけど、普通に話をしに来るぐらいがいい。

 推しと普通の話とかしてみたいのになあ。

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