アルミネが感じた暖風
私は、アルミネ・グラシエリ。
グラシエリ家の第三女。
お姉様達と違う髪色。瞳の色もあまり似ていない。
だから、私はよくお話から外されることが多かった。
お姉様は私がいないところでは、にこやかに笑いながら話しているのに、私がいるところでは何も話さない。笑いもしない。
笑いはしていたけれど、嘲笑のようなものだった。
私の周りの空気は、常に冷たかった。
自然と、私は私のことが嫌になっていった。
いつもおどおどしてて、お姉様達を怒らせてしまう自分のことが嫌いだと思った。
何度も、何度も思った。
でも、そんな自分を変えてくれる人が現れたのです。
その方の名前は、ユミリア・シスカ様。
彼女は、公爵家のご令嬢で、お茶会を主催したグラシエリの屋敷に来られていた。
彼女はおどおどしてる私にも優しく笑いかけてくださった。
私は、華やかな場所があまり好きではないので、すぐに別の場所に行ったけれど。
私にとって一番落ち着く場所に。自分が育ててるバラが沢山ある場所。
色とりどりの花を見ていると、自分とは違うようで落ち着く。
そんな花達を自分が育てたのだと思うと、少しだけ、本当に少しだけだけど、自信がもてる。
そうやって花を見ていたら、ユミリア様が来られた。
突然話しかけられて驚いたけれど、こんにちは。と言うことはできた。
ユミリア様は道に迷ったから、案内してほしいとのことだったので、私は立ち上がり案内をしようとした。
その前に、ユミリア様がバラが綺麗だと褒めてくださった。
私が育ててると言うと、一人で⁈と驚かれた。
そして、ユミリア様も自分で植物を育てているとのことで、先日芽がしおれてしまったから、私に見てもらいたいと言われた。
私は、力になれるかわからなかったけれど、お引き受けした。
翌日、私は馬車で迎えに来ていただき、シスカ公爵家の屋敷へと行った。
ユミリア様に、案内していただき、例の植物園を見た。
しおれている植物は確かにあったけれど、なんとかなりそうだと思えた。
私は、ユミリア様に植物をまた元気にさせてみせる。と意気込んだ。
それから私は毎日のようにシスカ公爵家の屋敷に通った。
自分が考えれる限りの策を教えながら、自分も手伝う。
それが私にできる精一杯のことだと思ったから。
そうして頑張った結果、植物はまた芽を出した。
ユミリア様は喜ばれている。それを見て私も嬉しくなった。
彼女は、私のおかげだと言ってくださったけど、私は違うと思ったので、貴女が頑張ったからです。と伝える。
すると、微笑んで
「アルミネの手はとても暖かいのね。だから、植物達も安心して花を咲かせる。貴女の隣はとても居心地がいいわ」
と、言われた。
そんなことは言われたことがなかった。言われるとも思っていなかった。
だって、冷たい女だと。笑わない女だって。姉達からはいつもそう言われていたから。
自分の周りなんて、冷たいとそう思っていたから。
だから、暖かい手だなんて……居心地がいいだなんて……
私にそんな評価をしてくれる人は初めてだった。
私は、初めて救われた気がした。
この方のお側にいたいと思ったのだ。
暖かいと言ってくださる貴女が一番暖かく、優しい風を私にくださるから。
私の周りの空気を温かくしてくださるから。
可能な限り、お側にいさせてください。ユミリア様……