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乙女ゲームの悪役令嬢に転生したので原作に忠実に生きます  作者: 桑空 梨
オレンジ髪の女の子
16/58

アルミネが感じた暖風

 私は、アルミネ・グラシエリ。

 グラシエリ家の第三女。


 お姉様達と違う髪色。瞳の色もあまり似ていない。

 だから、私はよくお話から外されることが多かった。

 お姉様は私がいないところでは、にこやかに笑いながら話しているのに、私がいるところでは何も話さない。笑いもしない。

 笑いはしていたけれど、嘲笑(ちょうしょう)のようなものだった。

 私の周りの空気は、常に冷たかった。


 自然と、私は私のことが嫌になっていった。

 いつもおどおどしてて、お姉様達を怒らせてしまう自分のことが嫌いだと思った。

 何度も、何度も思った。



 でも、そんな自分を変えてくれる人が現れたのです。

 その(かた)の名前は、ユミリア・シスカ様。

 彼女は、公爵家のご令嬢で、お茶会を主催したグラシエリの屋敷に来られていた。


 彼女はおどおどしてる私にも優しく笑いかけてくださった。

 私は、華やかな場所があまり好きではないので、すぐに別の場所に行ったけれど。

 私にとって一番落ち着く場所に。自分が育ててるバラが沢山ある場所。


 色とりどりの花を見ていると、自分とは違うようで落ち着く。

 そんな花達を自分が育てたのだと思うと、少しだけ、本当に少しだけだけど、自信がもてる。


 そうやって花を見ていたら、ユミリア様が来られた。

 突然話しかけられて驚いたけれど、こんにちは。と言うことはできた。


 ユミリア様は道に迷ったから、案内してほしいとのことだったので、私は立ち上がり案内をしようとした。

 その前に、ユミリア様がバラが綺麗だと褒めてくださった。


 私が育ててると言うと、一人で⁈と驚かれた。

 そして、ユミリア様も自分で植物を育てているとのことで、先日芽がしおれてしまったから、私に見てもらいたいと言われた。


 私は、力になれるかわからなかったけれど、お引き受けした。

 翌日、私は馬車で迎えに来ていただき、シスカ公爵家の屋敷へと行った。


 ユミリア様に、案内していただき、例の植物園を見た。

 しおれている植物は確かにあったけれど、なんとかなりそうだと思えた。

 私は、ユミリア様に植物をまた元気にさせてみせる。と意気込んだ。


 それから私は毎日のようにシスカ公爵家の屋敷に(かよ)った。

 自分が考えれる限りの策を教えながら、自分も手伝う。

 それが私にできる精一杯のことだと思ったから。


 そうして頑張った結果、植物はまた芽を出した。

 ユミリア様は喜ばれている。それを見て私も嬉しくなった。


 彼女は、私のおかげだと言ってくださったけど、私は違うと思ったので、貴女が頑張ったからです。と伝える。


 すると、微笑んで

「アルミネの手はとても暖かいのね。だから、植物達も安心して花を咲かせる。貴女の隣はとても居心地がいいわ」

 と、言われた。


 そんなことは言われたことがなかった。言われるとも思っていなかった。

 だって、冷たい女だと。笑わない女だって。姉達からはいつもそう言われていたから。

 自分の周りなんて、冷たいとそう思っていたから。

 だから、暖かい手だなんて……居心地がいいだなんて……

 私にそんな評価をしてくれる人は初めてだった。


 私は、初めて救われた気がした。

 この(かた)のお側にいたいと思ったのだ。

 暖かいと言ってくださる貴女が一番暖かく、優しい風を私にくださるから。

 私の周りの空気を温かくしてくださるから。


 可能な限り、お側にいさせてください。ユミリア様……

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