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乙女ゲームの悪役令嬢に転生したので原作に忠実に生きます  作者: 桑空 梨
オレンジ髪の女の子
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植物を元気にさせる!

 翌日になり、私は馬車を出してもらいグラシエリの屋敷に行きアルミネを乗せ、シスカの屋敷へと戻った。


「こんな早くにごめんね、アルミネ。早く見て欲しかったのよ」

「いえ、こちらこそお迎えに来ていただきありがとうございます」


 馬車の中でそんな会話を済ませたあと降りて、植物園に行った。


「ここなのだけど…」


 私は、しおれてしまった場所を見て言った。

 アルミネもしゃがんで見てくれた。


「これは…」

「なんとかなるかしら?」


 アルミネは少し考えた様子を見せたあと、頷いて


「私でお力になれるかわかりませんが、きっと植物をまた元気にしてみせます」


 と言った。

 とても頼もしい。


 それから改善策をどんどん言ってくれて作業も手伝ってくれた。リンも手伝ってくれたのでとても捗った。

 三人寄れば文殊の知恵ってこのことかなと私は思った。




 数日に渡りアルミネは何度も来てくれて、こうしたらいいですよ。というのを色々教えてくれた。

 その甲斐があり、植物の芽がまた出始めてきた。


「やったわ!」


 私は思わず声を出した。

 しおれてしまっていたのに、元気になってくれて嬉しい。


「良かったですね、ユミリア様」


 アルミネが笑って言った。

 アルミネは、少しずつ明るくなった。

 最初はおどおどしていたのに、今では穏やかな雰囲気を(まと)っている。


「えぇ、アルミネのおかげだわ。ありがとう」

「ユミリア様が頑張られたからですよ」


 そんな謙虚な答えを返してきた。

 でも、本当にアルミネのおかげなのだから素直に受け取ってほしいものだけど。


「アルミネの手はとても暖かいのね。だから、植物達も安心して花を咲かせる。貴女の隣はとても居心地がいいわ」


 私は、彼女を見てて思い浮かんだことをそのまま言った。


「暖かい……私の手が?あの、ユミリア様も、私の隣で居心地がいいと言ってくださいますか?」

「もちろん。そう思ったから言ったのよ」


 彼女は微笑んだ。

 夕日に照らされていて、オレンジ色の髪もとても綺麗だ。

 そうして、アルミネは帰った。


 見送りをしたあと、リンが話しかけてきた。


「暖かい手、か。『京香姉』らしいね」

「そう?そうだ、手伝ってくれてありがとうね『雅』」

「どうってことないよ。そういえば、アルミネ様も婚約者が決まりそうみたいだね」

「えっ、そ、それって、第四王子?」

「あれ、知ってたの?」


 リンはキョトンとして、首を傾げた。

 知ってるも、なにも……もうそんな時がきてしまうのか。

 三人目の攻略対象に会う時が。

 いや、でも私が会うわけじゃないし気にしなくてもいいか。


「うん。この世界って実は『私』がプレイしてた乙女ゲームの世界なんだ」

「えっ、そうだったの?」

「詳しいことはまたあとで話すね」

「わかった」


 私達は小声で話すのをやめ、外から屋敷の中に入った。



 私はリンを部屋に招き誰も入らないように、鍵も閉めておいた。

 聞かれるとまずい話だからだ。


「じゃあ話すね………」


 私はこれまでのことを話した。


「って、ことなの」


 リンはポカンっと口を開けている。


「リン?」

「はっ、ごめん。まさかそんなことがあったなんて思わなくって…お疲れさま、『京香姉』」

「ありがとう…」


 仕事を頑張ってたことも話したから、お疲れって言ってくれたことが嬉しすぎて泣きそうになった。


「でも、悪役令嬢って…できないんじゃない?」

「えっ、なんで?」

「すでにできてないからだよ。義姉(ねえ)さんは、アルミネ様とは仲良くなかったんでしょ?けど、もう関わって仲良くもなった。それがどういうことかわかるよね?」


 リンがビシッと指をさして、言ってきた。


「つまり、私は原作の再現ができないってこと⁈」


 原作に忠実になるように動いていたはずだったというのに。

 いつのまにかそんなことになっていただなんて。


「原作再現したら義姉(ねえ)さんは破滅しちゃうんでしょ。僕、嫌だからねそんなの」


 リンがぷくっと頬を膨らませた。

 こういうところも、可愛い。大事な弟が心配してくれてるから、破滅は絶対にしないけど。

 というかまず私がしたくないし。


「破滅フラグは壊すから安心して!でも、原作通りにはいきたい気もする…」

「んー、それは義姉(ねえ)さんの行動次第なんじゃないかな?」

「そうね!」


 私はリンを抱きしめた。

 リンは不満気にしていたけれど、私は幸せな気分だった。

 私達はそのまま他愛もない話をしたあとにわかれた。

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