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第2話ー② バズりと代償

ーープルルルーープルルルーーー

私は、携帯の音で目が覚めた。

「んああ……何?……」

寝ぼけ眼を擦りながら電話に出る。


「あっ……やっと繋がった!」

電話は、私の親友であり、同じクラスのモモからかかってきていた。

「んん……なに?」

私はボサボサの頭を手で押さえながら答える。


「なに?じゃないわよ!あなた、自分が今どうなってるかわかってるの?

……自分のチャンネル確認してないの?」

モモの言葉に、ぼぅっとしていた頭が一気に醒める。


ーーそうだ、私はあのあと扉をくぐって、そしたら、ダンジョンの外に出たんだ。そのあと家に帰って、疲れて何もできずそのままベットに……


 慌てて自分のチャンネルを見た。

ーーチャンネル登録者数……10万人!??

「えっ!?嘘でしょ!?」

「だから言ってるじゃない!大変なことになってるって!

トゥイッターとか、ネット掲示板とかもう凄いことになってんだからね!」


ーートゥイッターでは、リン、オタ郎さんや私のことに関するワードの数々がトレンド入りしていた。さまざまな場所で、リンや黒龍であるオタ郎さん、ーー私のことで議論し、そして褒め称えていた。

(一晩でチャンネル登録者10万って……まさかここまで……

いや、でも妥当か……)

 そのぐらい、モンスターと会話し、伝説級のモンスターを従えることができる人間と出会ったことは、とんでもないことなのだと実感した。

しかし、私はーー正直言って嬉しかった。

1年やってきて、やっと日の目を浴びたのだ。

 ーーみんなが私のことをこんなにも()()()()()()()()()()。ーー気持ちが良かった。

(……このまま続けていけば、チャンネル登録者100万も夢じゃない。よし、このままー)

しかし、私の心境に反して、モモは話した。

「有名な配信者とか、Sランクの探索者とか、その他のいろんなダンジョンに関わる人間がみんなあなたのことを探してるわ!……しばらくはダンジョンにも行かないほうがいいと思う。」


それを聞いた私は、慌てていった。

「!そんな……それに、私あの子と約束して……

私の言葉を遮るようにモモは言う。

「……約束だか何だか知らないけどね。少なくとも、黒龍を従えるってことは、いつでも国を滅ぼせる力を持ってるってことなの!……そんな存在がいることを、怖がる人が少なくともいる。私だってそう。」

彼女は続けた。

「あなたは、そんなことに巻き込まれてしまったの!……()()()()()()に対応しなきゃいけない責任が、あなたにはある。でも、あんな大人数に見られているプレッシャーの中、冷静に対応することができるの?

……私たちまだ高校生なのよ!?」


その言葉をモモが言ったあと、しばらく沈黙が続いた。


「……とにかく、ひとまずほとぼりが冷めてから行動したほうがいいわね。……じゃあね。」

そう彼女はいい、電話を一方的に切ってしまった。



静かになった部屋で、私はひとりごちる。

「なによ……私の気持ちも知らないで……あんな言い方。

私には……もう……



ーー配信?なにそれ?どうでもいい。そんなことより勉強しなさいよ。

ーーいいか?お前は私たちの期待に応えなさい。これは義務だからな。……なんだ、その目は?


ーーハルカちゃんの親ってお金持ちなんでしょ?……いいよね楽そうで。まじで毎日楽しそー。



ーーいい?ハルカ……どれだけ辛くても、自分のしたいことを、……夢を、貫きなさい……





私にはーーもう、これしかないのに。」





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