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9:お祭り

「どーーーですこれ!この完璧なプラン!文句なしでしょう!」

「おお、いいんじゃないか?やるなササマキ。ちっと魔力の消費量が多いが、まぁ俺らならなんとかなるだろう」

「私もいいと思うわ。他社には負けられないしね。あー、なんかワクワクしてきた。うちの技術班が一味違うところ、派手に見せてやりましょう!」


 うおおおおっ、と盛り上がっているのは、もうすぐ訪れる祭りの準備が整ったからだ。


 ビスリーにはヒトの会社もそこそこ支店を構えており、少し離れた街で行われる秋祭りでは、ヒトと獣人の交流を兼ねて、そういった外国企業の出展スペースも割り当てられている。

 そこで食べ物や魔道具など店を出す会社もあるが、うちの会社は出し物枠で、他社との持ち回りで大体5〜6年に一度魔法をベースにパフォーマンスを行っている。


 今回その出し物の責任者は俺だったわけだが、子供ウケを狙った今回の出し物はみんなに喜んでもらえる自信があるのだ。

 なんたって、固定魔法だけでなく、魔液を使わずに自らの魔力で陣を描いて魔法を行使する、純魔法を派手に使用するつもりなのだから。


 純魔法は固定魔法よりも多彩で複雑な現象を起こせる反面、扱いが難しく魔力の消費量もバカ高い。でも、ここの支社の技術班は社内トップの精鋭揃いだ。全力を出せば絶対面白いことができるはず!

 もちろんクロアちゃんも見に来てと誘うつもりなので、俄然気合が入っている。


 見てろよ、魔法を使える俺カッコイイした後、プレゼントを渡して好感度を爆上げしてやる。

 最近クロアちゃんと裁縫教室をして好感度を上げているナガセさんを、追い抜く絶好のチャンスなんだから!





〜*〜*〜*〜* 





 お祭り当日は、気持ちのいい秋晴れだった。


「カナト、どんな出し物するの?」

「ふふふ、ないしょ!楽しみにしてて」

「うー、わかった」


 出し物は午後の予定なのだが、最終調整のため午前中も裏でそれなりに忙しくしていた。そんなところに、クロア父にそっくりな1番上のお兄ちゃんと一緒に、クロアちゃんが顔を出してくれた。しかも差し入れ付き。優しい。


 ちなみに、技術班ではないナガセさんは今日は普通に休暇で、旦那さんと祭りを回るのだそうだ。くっ、リア充め!


「お祭り楽しんでる?」

「うん!さっき鳥獣人組のダンスやってたんだけど、みんなすっごく動きが揃ってたの!カナトも一緒に見たかった」

「うー、俺も見たかった。でも、俺の出し物も負けてないからね!期待してて!」

「早く見たい!」

「よし!俺、頑張るからね!」


 気合いを入れ直していると、周りを見渡したクロア兄が、ぽんとクロアちゃんの頭に手を乗せてこちらに視線を向けた。


「オレも楽しみにしてます。じゃ、クロア。あんまここにいてもメーワクになっから、他回ってようぜ」

「んー、わかった。カナト、頑張ってね!」

「ん、頑張るね!お兄ちゃんも差し入れありがとう」

「いえ、いつもコイツが世話になってんで。こっちこそありがとうございます」


 ペコリと頭を下げる姿が、クロア父と重なってほっこりした。


 二人が持ってきてくれた差し入れを技術班のみんなと食べながら、午後の出番に向けてもうひと頑張りしよう。

 魔法を間近に見られるこのお祭りを、毎年楽しみにしていると言う獣人も多いのだ。期待には応えないと!



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