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第4話

「……そんな事情があったのですか」


 若い警邏騎士様は、私の話を聞くと、ため息を大きくつきました。


「なるほど、しかもこの坊ちゃんはとても賢い子の様だ」


 彼は弟が服の中に入れていたという手紙を出しました。

 その中には使用人達からの手紙。

 彼女達の金釘流の文字には、


「坊ちゃんを助けて欲しい、そしてこの家でこんなものがはびこっていることを伝えてほしい」


 と。

 逃がしたのは、使用人達だったのですね。


「一緒に入っていたのは、一般には禁止されている薬物の一種です。おそらく、使用人達はそれが大事になる前に、自分達がお上に告げた、という形を取ったのでしょう」

「はい。実際それでいいのだと思います。確かにあのひと達は、自分の生活も大切で、私達のこともこき使いもしましたが、それでも飢えさせはしなかったし、針仕事も水仕事も料理も、それで覚えることができましたから」

「それは良かった」


 そう言って、警邏騎士様は、私の肩をぽん、と叩きました。



 それからしばらくして、私達の実家に捜索が入りました。

 父も姉も病院に送られました。

 父は酒浸り、姉は薬で頭をやられていたそうです。

 叔父ではさすがにあの実家は動きませんので、分家である程度力のある方に、資産の処分をお任せしました。

 使用人達への給金を払い、都会の家は売りました。

 そしてそれは、弟の学費になる予定です。

 私と妹は、と言えば。

 あれから警邏騎士様と関わりができ、あの晩の方とお付き合いをする様になりました。

 妹は彼から紹介されたご友人と。

 もう少ししたら、叔父叔母の家から巣立つ日がきそうです。


「そうしたら寂しくなるわね」

「その時には弟をお願いします」


 母親の顔を知らぬ子ですから、と。

 一回りしましたが、私達は苦労したぶん、何とかやっていけそうです。

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