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公認のデート日といってもこんなもの




 私、今村なつきは来年の五月に十八になる女子高生である。

 普通に女子高生ですと紹介しないのは、私には恋人がいて、その彼が社会人ということで、大人の求愛行動は私が十八になるまで禁止、という条例的な縛りがあるからである。


 好き合っているのだからいいじゃない。


 そう思うのだが、彼の方が本当に真面目に気にしている。

 三十代でも童顔で二十代にしか見えない男、自称最近枕が加齢臭な親父、加賀美尚かがみなおさんは、生活安全課の刑事さんなのだ。

 だから、女子高生と付き合っているとバレると本気で大変な事になる。

 今だって、彼は私を自分の自宅に連れ込んでおいて、私を構うどころかこたつに潜り込んだままという有様なのだ。


 まあ、それは理由があるけれど。


「おかしいよなあって、俺は思うべきだったよ。いくら娘ラブで娘に好かれるためなら何でもするウザ親父でもよ。いや、そんだけ心配性な親父が、クリスマスイブに俺に午後から休みを入れて来るって、ありえないどころか腹に一物ぐらいあると考えるべきだったんだよ。」


「まだぶつぶつ言うの?それでもクリスマスイブを一緒に過ごせているんだから、お父さんに感謝してもう少し私に愛想を振りまいてよ。」


 額に手を当てて顔が半分以上見えなかった男は、顔から手を離して顔を上げ、私をいつもどっきりさせる笑顔を向けてくれた。

 あ、私がどっきりしたのが分かったのか、ナオ君たら今度はいやらしいにんまり顔に変えて見せたじゃないの!


 でも、彼の笑顔にドキっとするこれは、惚れた弱みではない。


 ナオ君は女子高生の心をときめかす事が簡単にできるぐらいに、実は整った顔立ちをした素敵な男性なのである。


 黙っていれば!


 身だしなみをきちんとしてさえいれば!


「もう、もう!どうして家に戻った途端にトレーナー姿で半纏姿なのよ!さっきまで皆に見せびらかしたかったスーツ姿だったのに!」


 ナオ君は何も言い返してこないどころか、その理由という風に、自分の膝に座っている五歳の男の子の脇の下に手入れて、ほんの少しだけ持ち上げて見せた。

 そう、わが父、今村彰吾いまむらしょうご警部補は、娘の私の為に係長という権限を使って部下で相棒のナオ君に午後休を与えたが、ミッションとして、私の五歳の従弟の見守りも押し付けたのである。


 私こそ乗りたいナオ君の膝にいる雪原当麻ゆきはらとうまくんは、私と目が合うと私を見下したようにふふんと笑って見せた。


 錯覚か幻影かもしれないけど、私にはそう見えた。

 当麻はナオ君に「ちびお」としか呼ばれないが、今日が初対面なのに彼に纏わりついて離れないのである。


 まるで彼に一目惚れした私みたいに。

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