天狗のかくれみの
むかしむかし、ずる賢い男が居りました。
男は竹の節を抜いた筒を覗き、ニヤニヤと笑っておりました。
「おお、これは凄い! 女湯が丸見えだ!!」
それを聞いた女湯に目がない天狗が、男の前に姿を現しました。
「それは本当か? 是非この隠れ蓑と交換いたそうぞ!」
酷く鼻血を垂らした天狗は、藁で編んだ蓑を男に差し出し、竹筒と交換しました。
「どれどれ……」
天狗が竹筒を覗きますが、何も見えませんでした。
「貴様! ワシを謀ったな!?」
天狗が怒りますが、既にそこに男の姿はありませんでした。
「へへっ! こりゃあいい! これさえあれば何だって出来そうだ!」
男はありとあらゆる悪さを思い浮かべました。
「乳も尻も触り放題だが……規約に抵触するといかんからな。食い逃げ程度にしておくか」
流石の男も、運営神には勝てないようです。
男は、饅頭屋でたらふく饅頭を平らげ、膨れた腹を押さえて何食わぬ顔で出て来ました。
「ふーっ、食った食った……ん?」
男の目の前に、早馬が現れ、男はそのまま轢かれてしまいました。
「──っふぉ!!」
そしてそのまま死んでしまいました。誰にも気付かれることなく、男は透明なまま野ざらしになりました。
「…………ここは?」
男は真っ白な世界で目を覚ましました。
「あれぇ? そろそろ次の転生希望者が来るはずなんだけどな……」
男の近くでは、乳を八合目まで露出させ、尋常じゃ無いハイレグを着た破廉恥女神が、首を傾げておりました。
「……まさか死んでも透明なままなのか!?」
「んん? 声はするんだけどなぁ…………ま、いいか。次の転生希望者どうぞ」
男は破廉恥女神に気付かれることなく、順番を抜かされました。
「おい! 俺はココに居るぞ! ──そうだ! 流石に乳を揉めば気付くだろう!」
男が後ろから近付き、ガシッとそのチョモランマ級を鷲掴みしようとした瞬間…………それを見ていた運営神にBANされてしまいました…………。
『異世界転生して透明人間になったけれど、誰にも気付いて貰えないのでこっそり無双します!』みたいなタイトルを思い付いたんだけど……どうだろうか…………
(´・ω・`)