矢倉と棒銀を覚えてみた。ウヒョー
将棋には、王や大事な駒を守る為の陣形である「囲い」や、それを組むための「定跡」がある……という事は一応知っていたが、肝心の内容については全く知らなかった将棋初心者の私は、無謀な戦いに挑んで連敗を繰り返していた。
流石にそれはいかんでしょ、と将棋を勉強する事にした私は次に、では何から学ぶべきかという課題にぶつかった。
将棋を知らない方向けに簡単に説明すると、まず将棋の戦法は、大きく分けて二つに分かれる。それは「居飛車」と「振り飛車」だ。
「居飛車」は、飛車を定位置の2筋(手前側から見て、右から二列目の事だ。後手の場合は8筋)に置いて戦う戦法だ。
対して振り飛車は、飛車を中央から左側に動かして戦う戦法である。
このように飛車の位置で戦法が大別されるほど、飛車という駒は将棋において、攻撃の要として重要な位置を占める。
まずはこの、居飛車と振り飛車のどちらを採用するかを考えた。
個人的に、大駒が戦場をビュンビュン飛び回る振り飛車はなんだかカッコイイ、という感想を抱いた為、試しにやってみようと思ったのだが……正直、使いこなせる気がまるでしなかった。
まあ、基礎知識もろくに無い初心者が簡単に使いこなせる訳がないのは、当然といえば当然である。
振り飛車に関しては正直、数ヶ月経ってある程度将棋に慣れてきた現在でも、使いこなせる気があまりしない。
あれは知識と経験、そして独特のセンスが必要で、大胆に見えて繊細な立ち回りが不可欠だと感じる。自分にはそれがまだ身についていないというのが正直な感想である。
以上の理由で、私は居飛車で将棋の基礎を学ぶ事にした。
居飛車の囲いの中にも様々な物があるが、私が最初に手を出したのは、居飛車の中でも代表格と言っていい程メジャーな囲い。将棋の純文学とも呼ばれる、ザ・王道。
【矢倉囲い】
だった。
上の図のような囲いで、歩と銀、桂馬、二枚の金の連携で正面からの攻撃をしっかり守る事が出来る。このように左側で守りを固めて、右側の駒を攻撃に使う。
その攻撃の手段として、私が選んだのは【棒銀】だった。
棒銀とは、右の銀を棒のようにまっすぐ飛車の先に進めて、敵陣を突破する戦法だ。
調べたところ、矢倉と棒銀の組み合わせは相性が良いとの事だったので、左手に矢倉という盾を、右手に棒銀という剣を装備して、私は意気揚々と戦場に赴いた。
果たしてその結果はと言うと、やはり芳しくなかった。
ファンタジー小説で言えば、丸腰でモンスターに殴りかかって当たり前のように返り討ちにあっていた無謀な初心者が、ようやく武器と盾を手に入れ、その使い方を知った状態が、この時の私だ。
その使い方もまだ知っただけで、完全に身についているとは言い難い。
とりあえず勝負の形にはなったものの、私はしばらくの間、苦しい戦いを強いられた。
そうやって何度も負けては時々勝ってを繰り返しながら、私は矢倉囲いと棒銀戦法を使いながら、少しずつ将棋に慣れていくのだった。
これを書いている間に、藤井棋聖が王位を獲得して史上最年少で二冠になりました。
素晴らしい功績に惜しみない拍手を送りたいですね。
これを機に私のように将棋に興味を持つ人が増えたら嬉しいです。