反撃、反撃、そしてまた 12
歓声が上がる。
ベンチにいるみなが立ち上がり、殊勲の一打を上げた一塁ランナーへ拍手を送る。
ただ一人を除いて。
「……スゴイ」
一度引き離された点差を再び詰めるだけではなく、試合の流れも雰囲気も引き寄せる活躍を見せる稼頭美。元々、その才能をマリアナは感じていた。脚はもちろん、バッティングセンス、守備能力も。肩についてはお察しではあったが、それでも余りある魅力があり、目の前で開花しつつあるのが見て取れる。
「……ッ……」
沸き上がるベンチの中でただ一人鎮座し、腿に沿えた拳に力を込める。
「……ワタシ、ハ…」
徐々に込み上げる苦悩。自分はいったい何をやっているのか。稼頭美はしっかりとチームのために貢献し、あんな笑顔で野球を楽しんでいる。対して自分は、チャンスの場面で役に立たず、相手にも舐められ、負けの原因へと繋がっている。
「……ッ」
なりたくてなったわけではない、だけど、現実は今のところチームの足を完全に自分一人が引っ張っている。その事に改めて認識したマリアナに一筋が垂れ落ちた頃、彼は言った。
「……マリアナ、いいか」
「アッ……ドウシタネッコーチ」
唐突に降りてきた言葉に慌てて目尻をぬぐい、いつもの笑顔を作り応えたマリアナ。それを見てなのか、昌也は小さく嘆息した後、その横へと無造作に腰を下ろし続けた。
「お前……打席の時どこ見てる?」
「エッ?」
前方のグラウンドから目を離さず語られた言葉を、マリアナは頭の中で反芻する。どういう意図で語られたのか、このチームのコーチになってから幾度も考えさせられたように、今回も検討し、小さく息を吐く。
「……アイテノ……マウンドノアイテヲ、ミテルヨ」
「……そうか」
マリアナの答えに瞳を閉じ、何かを思考するそぶりを見せる昌也。対して、マリアナはジッとその様子を伺い黙る。雑音が削がれた空間に両チームの声が響く。未だチャンスの場面である大山女子とピンチが続く浪速ジュピターズ、両チームの声援が仲間を後押しする最中、ゆっくりと瞼を開いた昌也が静かに口元を緩めた。
「マリアナ、お前にはもっと見る場所がある、お前ならではの、お前だけの武器になる場所が、ある」
語られた言葉の意味が分からなかった、それが最初の印象。だが、マリアナの心はどこか腑に落ちる点が覗かれた。その事を表情が物語っていたのだろうか、マリアナへと顔を向けた昌也が少し驚きつつ穏やかに話す。何かを諭すような告げられたその内容はマリアナにとって心の闇を一瞬にして払う心地よいそよ風となった。
こんばんわ、作者です。
最近、徐々に暖かさが増してきましたね。
そのせいか桜の散り方や葉桜に変わるのが早かった気がします。
今更何を言っているんだ、って感じではありますが(笑)
今年は仕事の忙しさやコロナの事もあり、
いつも見に行っていた桜を全然見れずに終わってしまったな、と。
結構心残りではあるんですが、まぁその分来年の楽しみにしておけばいいのかな、
とも感じています。
ただ、近いうちにその場所には一度訪れたとも。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




