反撃、反撃、そしてまた 11
「よしっ!」
「ナイスバントよっ!千尋っ!!」
苦笑いを浮かべながら、ベンチへと戻ってきた千尋へ皆がハイタッチで迎える中、昌也はスコアブックへと視線を落す。
(球数は……70球超えたか)
1回、2回と順調だった相手投手の成績を捲り、思考を巡らす。
(3回の粘りが功を奏した結果だな……)
里奈の四球から始まった一連の攻撃、特に稼頭美の内野安打から一気に流れを掴み点差を縮めた実績は球数以上に相手へのストレスとなっただろう。
(そして、この回も)
送りバントを決め、ランナー2、3塁の状況、バッターボックスへと立った俊恵にも厳しい視線と配球が展開されている中、キャッチャーからの返球を受ける度、肩で息を切る姿がマウンドに残る。
(……この回叩き切れないとまずいな)
球数的にはまだまだいけるだろう、が、こちらの打者それぞれが球を見極め始めている。その事は相手捕手真琴も承知しているだろう。
(……なんとか1点差まで詰めれれば)
昌也としては今いるランナー二人が得点してくれると勢い的にも理想的な展開となるのだが、
「ストライク、アウト」
どういうわけか、やる気も相性も悪い俊恵がさも当然の如く三振で帰ってくる姿に天を仰ぐ昌也だった。
「ツーアウト、後一つとるで~」
その場で立ち上がった真琴がグラウンド全体へと響くよう、手で煽りながら腹から声を発する。それに応えるように外野手が前進へとシフトチェンジすると、一息つきながら腰を据えた。
「……お願いします」
そして、再び会いまみえるは一番打者 稼頭美。先程は機転を利かし、こちらの野手陣をあざ笑うかのような内野安打をもぎ取った彼女へ対し、真琴は1球目を既に決めていた。
(もう、打たせへんで)
ここまでの打席で既に意識の深層には根付いているはずの横幅が広いストライクゾーン。それを利用しない手はない。だから、
(えぇ球やっ!)
選択したのは内角懐へ落ちていくスライダー。打席に立った際、前回より3塁側へと足場を固めていたのに気付いた真琴は即座にこの1球へと辿り着いた。恐らく、相手の思考は外へと逃げる球への対処を少しでもしやすいように。先程の打席で内角への球はほぼボール球だった。だから内角の球に追い込まれるまでは見送るつもりなのだろう、ゆえにこの一球。この打席は内角もストライクを取るつもりだぞ、そう主張する事で、打者の選択肢を増やし、迷いが生じる、はずだったのだが、
キンッ
快音と共に走り出した打球に、今一度歯ぎしりを止められない真琴なのであった。
こんばんわ、作者です。
今週は贔屓チームの試合が土日しかなく、ちょっと抜け殻気味です(笑)
それにしても予想外に感染状況が広がっており、私自身も気を付けないといけないな、と。
今月末には3回目の接種予定なんですが、それまではしっかりと体調崩さないようにしないと……。
もちろん、接種以降も感染対策しっかりしないといけないのは大前提なんですが、
とりあえず、早めに少し安心したいところではあります。
残り2週間、気を抜かずにいきたいものです。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




