反撃、反撃、そしてまた 08
「アウト」
その後、3番 上野をレフトフライに抑えたものの。4番 橘には外角低めを綺麗にセンターへと返され、再度ピンチを招いた千尋。しかし、5番 桐下を粘りの投球でも何とか3つ目のアウトを取り終える。ベンチへと戻る最中、ナインにからの鼓舞に笑顔を浮かべるが、その表情には疲れの色が見えていた。
(まだ4回、とは言え、球数も投げさせられ、更には点を与えたくないプレッシャーが大分効いてるか……)
ペラペラと自ら手掛けたノートへと視線を落としつつ、ここまでの試合の流れを見直す昌也。記録内容で気になる点は2つ。2回以外は毎度ランナーを溜めている事、そして、もう一点がファーストストライクにはほぼほぼ手を出していない相手打線である事。これらは、投手である千尋に対して行われている可能性が容易に想像がつく内容であった。
(……我が妹ながら卒なく弱点を持ち帰ってるのは称賛に値するな)
短い間とはいえ、一緒に練習し、肌で感じた内容をデータとして味方へと落とし込む。一見、簡単そうに思えるそれは、伝え方やデータの仕方によっては大きく異なってくる。
(誤差なく、浸透してるのはあのキャッチャーのおかげ、ってところか)
1番 白石 真琴。その名を指差しつつ初回の打席を振り返る。恐らく、奏から事細かくこちらの詳細を聞き取り、1打席目で全て確認したのだろう。
(……なるほど、な)
そして、昌也が合点がいった。続く奏の1打席目、初球からでも捉える事が可能な球は積極的に振っていく彼女が追い込まれるまで見送った。それは、真琴が実際に感じた内容を仲間に伝える時間をつくるため。今になって理解し、ため息を吐く。
(してやられた、感は否めないな)
静かにノートを閉じつつ、視線を上げる。既に浪速ジュピターズは各自の守備位置へとついており、裏の攻撃が始まる景色が広がる。
(……後悔は、後だ)
そう、今は何とかこの3点差を縮めなければならない。この回の攻撃で1点でも多く取り返さなければドンドンと辛くなる。
(何とか塁に出てくれよ)
昌也は口元へと手を添えつつ、ここまでの情報を頭の中で回転させる。どうにかして、小さな糸口を手繰り寄せるために、勝利への細道を築くために、打席に入った政美に期待しながら昌也は思考するのだった。
こんばんわ、作者です。
いよいよ、いよいよです。
2022年プロ野球開幕前日となりました。
今年はどんなドラマが、好プレイが、珍プレイが飛び出すのか、
今からワクワクがとまりませんねっ!
そして、今年も1回以上は贔屓球団の試合を観戦しに行きたいものです。
……出来ればホーム試合へ(笑)
感染状況なども考慮しつつ、計画してみたいと思います。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




