反撃、反撃、そしてまた 07
「……ほんと、人使いが荒い先輩だこと」
2塁への牽制を実行したマウンド千尋。それに対し、奏は小さく呟きながら一度バッターボックスを外し、手に持った金属バットを眼前に掲げる。掌に伝わる感触を確かめながら、再度グリップの位置を決めると、そのまま打席へと戻り構える。
球審から出たプレイの掛け声、そして静止したサブマリンが動き出す。
「……フゥ……」
正直、奏は今の打順が嫌いだ。中軸へと繋げる2番打者、とは昔の話、近代野球ではそれこそ、様々な理由で多彩な打者がその打順を全うする。昔ながらの小技を巧みに使うもの、1番打者や下位打線から繋いだランナーを返すのを担うクラッチヒッター、更には一発長打で先制や、打線を活性化を目指すパワーヒッター。2番打者の重要性が見直された今だからこそ、チームが目指す野球を密かに垣間見れるこの打順、果たしてジュピターズではどうだろうか。
「う~ん、まぁかなちゃんしかおらんやろうなぁ、ウチの求めに応じてくれるのは」
「だろうね、真琴の無茶ぶりに対応できるのは彼女だけでしょ」
「はいっ?」
それは、奏が所属後に迎えた練習試合前初のミーティング。真琴と打線の核となる彩花の会話に皆が頷き、奏一人が場に馴染めないでいると
「まぁ、よろしゅうな、かなちゃん、最強の1、2番目指そうなっ!」
「……はぁ」
このやり取りから数か月、奏はずっと2番固定で真琴の後ろを打つことになった。だから、嫌いだった。当初は上位打線を担う事を密かに興奮したものの、それが思いもよらない理由だと分かり、一気に沈んだのはここだけの話。なぜなら、この1番真琴が塁に出るとやたらめったら動きたがる、しかもアドリブで。だからなのだろう、どんなカウントからでもそれなりにミートし、様々な打球をある程度打ち分けられる奏は正にピッタリ。逆に奏にとっては苦労が絶えず、自分のバッティングを狂わされる原因ともなりかけた。
「……だけどっ」
徐々に慣れてきた奏は、癖に感じることも最近は多くなり、今も無意識で小さく出した舌に合わせるように真琴が塁から飛び出していく。
「ランナーッ!」
叫ぶ内野の声、もちろんそれは大山女子が警戒を伝えるもの。みながそれを認識する中、一人ビクついた者がいた。
「あっ」
か細く叫ばれた吐息と共に投げられる。先ほどと同じように、外角へと伸ばすはずだった白球は、しかし、過去2球とは明らかに軌道に違いがみられた。
そして、それを見逃すほど、奏も甘くはなかった。否、むしろこれこそが狙いだった。
「セカンッ!」
外角へ逃げるはずの1球は軌道が内側に入った影響もあり、変化が甘く奏は強引に引っ張った。弾ける金属音と共に瞬時にファーストの横を抜けた一閃はちゃんこの叫びも虚しく、セカンド 兎志子の反応をも軽く上回る。
「……やらせんっ!」
ライトへと走った強いゴロを素早くグラブで拾い上げた久子は即座に目線を上げる。果たして、その瞳には本塁へと一目散に走る真琴の姿に、声を荒げながら久子は全力で白球を放った、が。
「セーフ」
返球は真っすぐちゃんこの元へと届いたものの、3盗を試みられたのが痛かった。ちゃんこのミットの下を軽々とすり抜けた真琴の左手は喜びを携えながらベンチへと帰還するのであった。
こんばんわ、作者です。
最近、なんだか体の衰えを凄く感じます。
リアルが忙しい、そんな理由もあるのかもしれませんが、
それにしても疲れがなかなか抜けない気が……(笑)
帰宅してごはん食べてシャワー浴びて日課して、早めに就寝、
しても意外と体が重かったりする日も多く、
これが歳なのか、と感じていたり……。
まぁ、でもそんな自分とも付き合っていくことが今後の課題でもあるのかなと思うので、
無理なく、無茶なく、日々乗り越えようと思っています。
……今週も休み削られるけどがんばっぺっ!
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




