反撃、反撃、そしてまた 06
(……さて、と……)
肩口の埃を軽くあしらいつつ、セカンドベースから数歩リードを取った真琴は改めて周りを見渡す。内野は定位置、外野はやや前進、出来ればホームへは返したくないが、アウトを取る事が大事、
(そんなとこ、かな)
小さく、頷きながらサードコーチャーへ視線を走らす、と、向こうも分かっていたかのようにこちらを見て小さく頭を揺らす。
(ほな……頼むで……)
ヘルメットのツバへと手をやり、真琴は身構える。マウンドに立つ背へとまずは神経を集中、相手の動向を伺う。
(……やや疲れが出始めてる頃、やな)
チラチラとこちらに視線を送りつつ、プレートへと足をかける。左手に持った白球を少し弄びながら、直立に立った彼女が頷く。それはサインが決まった合図。再度、こちらへと瞳で牽制しながら、静止した肩がわずかに上下へと動く。そして、
「ボール」
2番打者 奏へと向けられた初球は外角外へと小さく沈む。当然、これには手を出さず、余裕で見送ったのを確認した真琴はそそくさと一度帰塁する。
(やっぱクイックはそこまで得意じゃなさそうやね)
腰に手を当て、一連の投球モーションを頭の中でイメージしながら、真琴は更にリードを広げる。先程と同様、こちらを気にするマウンドのサブマリンにどこか可愛げを感じた真琴が小さく口角を上げると、
「ボール」
気付いたのか、即座に打者へと向かい、撓らせた左手から初球と同じコースへと2球目が決まる。今回も全く手を出さずスルーした奏。そして、同じように戻った真琴。本日2打数2安打とバッテリーにとっては分が悪い相手。現状1塁が空いている以上、ここは歩かせて3番 上野と勝負する選択肢も悪くはない。
(……って考えとるやろうけど、)
再びベースから足を外した真琴、先程よりも更に一歩広げたリードにマウンドの千尋は無視する事が出来なかった。
「っと」
静止から間を取ったかと思った次にはその体は回転していた。速度はないが、正確にショートが捕球し、アウトにしやすい位置へと投げられた一球を辛くも躱し、セーフをもぎ取る。
「ふ〜、あぶなっ」
頭から戻った際に衣服へと潜り込んだ土を落しながら、真琴が再度塁を離れる。先程と変わらず、大きなリードで。言葉とは真逆な行動に大山内野陣がヒリつく。しかし、当の真琴は気にする素振りも見せず、その時を待つ。一瞬の、その時を。
(……ここ、やで)
頷くマウンド、静止するサブマリン、構えたキャッチャーは相も変わらず外。条件は、整った。
「……今やっ!」
千尋の小さく浮いた右足の底、それを見かけた瞬間、走り出した真琴。大山女子ナインが叫ぶ中、既に投球モーションを開始していた千尋は止まらず、否、止める事など出来ず、その身を落す。低空から投じられた一球を走りながら目撃した真琴は密かにほくそ笑み、そして、加速した。狙うのはただ一つ、五角に仕切られた白い板。
(これなら、いけるやろ、かなちゃんっ)
打席で始動し始めた後輩へとエールを送りながら、本日、初のランナーとしての仕事をやり遂げるため、その脚をフル回転させる真琴だった。
こんばんわ、作者です。
おかげさま(?)で謎の激痛も大分和らぎ、
徐々に戻ってきたこの頃。
反比例するかのにように仕事が忙しくなってきました……(笑)
いやはや、まさかこうなるとは思っていなく、
せっかく始まったオープン戦も全然追えてない始末……。
それでも、贔屓集団が勝ってるようだと嬉しいもので、
試合結果見て勝手な妄想、否、想像で元気をもらっております。
まぁ、今の時期は平日でもお昼過ぎに試合やってるので、
見れるわけないんですけどね(笑)
そんな感じで徐々に迫ってきた開幕戦に向け体調を整えている作者なのでした(笑)
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




