反撃、反撃、そしてまた 03
大山ベンチは更に盛り上がっていた。それもそのはず、この回の殊勲者が本塁生還を果たし、皆の元に戻ってきたのだから
「稼頭美ちゃんナイスランっ!」
「いい内野安打だったよっ、佐野さんっ!」
「はい、ナイスナイスぅ」
ハイタッチを交わしつつ、座椅子へと身体を預け一息ついた稼頭美へと黒が差す。ハタと気付いた稼頭美が慌てて姿勢を正す姿に、影の張本人は破顔しながら言葉を投げかけた。
「佐野、いいバッティングだったよ」
「ハッ……ハイッ!ありがとうございますっ!!」
コーチである昌也からの賛辞を受けた稼頭美は即座にその場で立ち上がり、頭を下げる。相も変わらず、体育会系が全快のノリに思わずたじろいだ昌也は逆に利用し、言葉を残しながらその場を外すと試合へ戻った。
「さぁっチャンスチャンスっ!続きなさいっ!久子ぉっ!!」
ツーアウトからの連打攻勢でテンション爆上がりの一ファン、もとい、真澄監督がメガホンをガンガンと叩きつけながら声援を送る。それに負けじと大山ナインも口元に手を添え、打席に立った4番へと期待と懇願を散りばめた音を飛ばす。ここしかない、少しでも浪速ジュピターズの背中を縮めるにはここで更なる加点を。誰もが願ってやまない中、一人昌也は冷静にこの状況を分析し始めた。
(点差は2点……)
更にはランナー1,2塁。セカンドランナーちゃんこは見た目通り脚は平凡以下。だが、既にツーアウト、打った瞬間スタートを切るこの場面、外野への抜け方や飛び方如何では十分生還を果たせる。
(更には不気味な4番打者、と)
両打ちの久子が右打席に入った影響で顔がよく見える。その眼差しはしっかりマウンドに向いており、口元はなぜか忙しなく動いている。ブツブツと繰り返し何か呟き続ける姿はきっと捕手にも不穏な気配を晒しているはず。
(……まぁ、そうじゃなくても同じ結果にはなりそうだが)
顎に手を宛てた昌也は視線をネクストサークルへと移す。果たして、膝立ちでグラウンドの攻防を真っ直ぐ見つめるマリアナ、しかし、いつもの陽気さはそこにはいなかった。ただジッと微動だにせず、どこか思いつめた表情で成り行きを見守る。
(……)
その姿を確認した昌也は視線を外し、一人ベンチ脇へとその身を落す。そして、横に控えたノートを一冊手に取り、パラパラと捲りながら、内容を探し始めた。雰囲気に呑まれたのか、久子がしっかりとボールを見定め、ツーアウトながら満塁の場面を作り出す。更に沸き立つ大山女子、しかし、昌也は違った。まるで自分の仕事を探すようにノートへと視線と思考を集中させ、試合の動きを追う事なく、没頭させていた。
こんばんわ、作者です。
最近になって気づいたんですが、こちらの連載いつの間にか10万文字を越えていた、という……(笑)
自分としては10万以内で終わらせたいよなぁ、と思ってはいただのですが……
えぇ、そうです思ってただけでした、すいません。
書いてるうちにあーこれも、やら、こっちも、やら、
ドンドン付け足していった結果、まだ試合も半ばってところで(笑)
でも、こうなったらあとは自分が納得いく形で書けばいいんじゃなかろうか、と。
なので、今年いっぱいお付き合い頂けると幸いです(多分……)
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




