終わりと始まり 20
「……ボール」
瞬間、ピクリと眉が動き、フォロースルーで体を固めたのはマウンドの本澄。きわどい内角の一球への判定に表情ではなく、態度で示した事に女房役は少し焦った。
(落ち着けや〜、まだ大丈夫やで)
カウントは2-2、サインを出す前に両手をマウンドへと開き、こちらも体で表現しつつ小さく舌打ちをする真琴。
(意外とよぅ見よるわ)
打席に立つ里奈、もそうだが、本日の球審である慎吾にも同様の感想を持っていた。事前に奏から人物像について確認がとれたので、関西人特有のノリで揺さぶってみたものの、かなり正確なゾーン判定をここまで下しており、現状真琴にとって一番の誤算となっていた。
(クサいところ、ちゃんと入れへんときっついなぁ)
かなり喧嘩っぱやいとの話を聞いたので頭に血が昇ればゾーンギリギリの判定もあるいは、とは既に過去の話で、多少甘目でもゾーンに収まるようにしないとストライクのコールがなかなか飛ばない。
(……それにこの回はしっかり押さえんと)
球種を決めかねる中、先程の攻撃時を思い出す。イケイケムードの中、打ち取られたショートフライ。端から見ればピンチをなんとか凌いだ、そう感じるだろうが、真琴は、否ジュピターズの面々は相手の弱点を付いていた事がバレた一打だった。
(ここでの失点、流れに影響しそうやし)
サインを出そうとした瞬間、打席を外した里奈により間が空く。この合間に真琴も腰を上げ、内外野を確認しつつ、再度数分前を脳裏に呼び起こす。あの時、内野は定位置からずっと動く事がなかった。最後まで定位置を貫いていた。
(しきりにセカンドがサインや半歩動かしてたのに、な……)
そう、それが大山女子の弱点であった。守備位置事態を動かすのは当たり前。だが、彼女らはしきりに、それこそ一球ごとに若干であるが、動きを見せていた。しかも決まって投球前、マウンドの投手が頷いた後に。それが意味するのは球種やコースによる打球方向の予測と対応。
(……気付くのちょぉ、遅い気がしたけどな)
再びホームベースの後ろへ腰を下ろしつつ、相手ベンチへ視線を向ける。どこからくるのか、自信に満ち溢れた表情で状況を見据える女性監督の横で、甲子園を沸かしたヒーローが口を開いている。打者へ向けてサインを出す仕草はない、しかし、どこか気がかりな二人に、真琴は自然と口角が上へと伸びるのだった。
こんばんわ、作者です。
今年も残りわずか、そのため中々忙しい日々を過ごしている人も多いのでは?
かく言う私も今年最後の追い込みと、なかなか忙しい週となっております。
そんな中ではありますが、ここで一つ。
今年の更新について、今回がラストになります。
今年も読者様のおかげで書き続ける事が出来ました。
皆様本当にありがとうございます。
来年も引き続きよろしくお願いします。
……他に特に言う事もないので、これにて(笑)
それでは、よいお年を。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




