終わりと始まり 17
「……ふーん」
ネクストサークルからゆっくり足を出した桐下 園子は自分へと集まる視線達を伴いながら白線へと向かう。
「……」
「プレイ」
小さくお辞儀だけ済ませ、さっさと右打席へと侵入すると再度グラウンド内を軽く一望し、構える。流石に気負っているのか、先程にくらべ余裕が無い表情でマウンド上のサブマリンがセットする。セカンドベースからリードを取る橘へ睨みを利かせながら、投げられた一球目。
「ストライク」
一瞬伸びるかと思われたボールは途中でブレーキがかかり、小さく外角へと沈んだ。速球に合わせるつもりだった園子は中途半端に体重移動したのを誤魔化すように身体を揺らし一度構えを解くが、即座にバットを掲げる。掲げながら、瞳にグラウンドの光景を写す。既に頷いた千尋は動作前の状態へと入っており、その後ろではリードで重圧をかける橘、そして、小さく影が動く。
「ストライク」
内角へ競り上がると思われた球はやはりブレーキがかかり、低めへと収まる。その一球を今度は微動だにせず、見送った園子はため息を吐く。
「……マジめんどい」
ボソリと呟きながら、同様に迎えた3球目、同じコースへ今度はわずかに内へと入りすぎ、ボール。カウント1-2となったところで、園子は一度ボックスから足を出した。バットを支柱に手にはめたグローブを締め直し、再度打席へ。メットの上部に手を当て、少し深めにツバを下ろしながら、しかし、横目でしっかりと周りを確認する。
「……」
少しだけ、ほんの気持ち程度、いつもより、足の位置を本塁から下げ、靴底をしっかり地と合致させながら、構える。それを合図に頷いたアンダーがセカンドベースからキャッチャーをゆっくりと一望し、動く。
本日4度目のクイックモーション
既にタイミングを見切った園子が自然と体を引く
ロジン舞う左手から一球が放たれる
合わせるように園子はバットを小さく揺らす
同時に蠢いたいくつもの影
その意味を瞬時に理解した園子が腕を振るう
瞬く間に過ぎた二人の攻防は両軍のみならず、観客席からも小さな吐息をもたらし、
結果、球場内には見事な快音が轟くのだった。
こんばんわ、作者です。
気付けば12月、今年ももうすぐ終わるこの時期になってやっと寒さが厳しくなった感じですね。
流石の私も半袖をやめ、ちゃんと暖かくするようになりました。
……ホント、日々寒さが身に沁みます(笑)
だけど、寒さに負けず、今年もラストまでしっかり更新していきますので、何卒。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




