表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10+1(イレブン)ナイン+1  作者: あまやすずのり
終わりと始まり
75/146

終わりと始まり 16

「……まずいわね」


「……」


 一言漏らした真澄の言葉に昌也は無言を貫く。その横ではただ一人ベンチに残っている梢が声を上げ、声援を送る。


「ボールスリー」


 打席には相手側の4番 橘 彩夏。初回にタイムリーを放っている打者相手に3-1とボール球が先行する嫌な流れ。

 3回表、始まった当初のワンアウトを取るところまでは良かった。否、正確にはラッキーだったと昌也は思っていた。セカンドの頭上を越えそうな当たりは、しかし、兎志子の反応が上回り、ギリギリのところで味方してくれた。

 そして、迎えた2番 奏。流石に目が慣れているせいもあり、ボールからのファーストストライク、外角低めの球を逆らわず流し、左中間を割ったツーベースでチャンスを作ると、3番 上野は1-2と追い込んでからの勝負球をこれまたきれいにレフト前へと流し、ランナー1,3塁とし、今を迎える。


「3回とはいえ、離されたくない展開よ、ここは」


「そう、ですね」


 真澄のため息ににやっとこさ応えた昌也。しかし、求めた意味合いとは違っていたのだろう不満そうな顔を隠しもせず参謀を睨む。対して、昌也は向けられた苦情に視線を合わせる事なく、自らの考えを漏らした。


「……正直、今はどうしようもないです」


 相変わらず隣の梢が根拠のない羅列で守備に付くナインへ激励を送る最中、昌也は険しい顔をやめる事なく一点を見つめる。千尋でもなく、ましてや相手の4番でもなく、ただジッと愛弟子であるちゃんこに向けて鋭く細めた瞳を注ぐ。


(……ここで気付けないと、一気に持っていかれるぞ)




「……ふぅ……」


 4番 橘に対し、なんとか3-2のフルカウントまで持っていった千尋が小さく息を吐く。返球された球をグラブに納めたまま、マウンドのロジンへと手をやる最中、突き刺さる左右からの視線に重圧が増していく。


(絶対、抑えなきゃ……)


 今一度心の中で想いを反芻し、プレートへと足をかける。いつもとは違う、セットからちゃんこのサインへと集中、出された意図を汲み取るように小さく頷きながら、まずはファーストへ視線で動きをけん制。そして、今度はサードの歩幅を確認し、始動。重心移動だけに簡略化されたアンダーからちゃんこのミットへ目がけて白球を走らせる、が。


「右中間ッ!!」


 響いた快音とキャプテン政美の声に絶望したのは千尋。内角高めへと投じられた一球は意図も容易く打ち返され、低く、鋭く、外野フェンスまで一気に到達する。


「……そんな」


 気持ちを乗せた、絶対に抑えるはずだった一球をあっさり捉えられた事で、ホームカバーも忘れ、マウンド上で棒立ちになった千尋。それはまるで時が停まったかのようで、しかし、グラウンド内では当然の如く忙しなく選手が躍動していた。まずは奏が本塁へしっかりと足を踏み入れると、打った瞬間、猛ダッシュでセカンドを駆け抜けた上野は当然の如くサードも蹴る。


「カット、セカンド」


 久子の正面へと体を向けながら、チラリと後方を確認した兎志子が従者へと叫ぶ。一方の久子も、フェンスからバウンドした球を素手で掴むと耳に届いた主人の元へと応対する。ノーバウンドで一直線に主のグラブへと収まった白球は、しかし、その先へと続く事はなかった。なぜなら、兎志子が振り向いた先では既に上野が滑り込んでいる姿が確認されたから。

こんばんわ、作者です。


最近めっきり寒くなってきましたねぇ。

朝起きる時に布団のぬくもりから這い出るのが億劫となってきました。

ただ、もう11月も終わるのに、やっと気候が11月になってきたかなぁ、と。

こうなると否でも温暖化って言葉を意識しちゃいますよね。

ちなみに、実は私未だに半袖で休日過ごしてたりします。

温暖化、オソロシイ(笑)


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ