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10+1(イレブン)ナイン+1  作者: あまやすずのり
終わりと始まり
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終わりと始まり 15

 3回表、ジュピターズの攻撃。

 9番 本澄 睦月を難なくピッチャーゴロで抑えた後、彼女を迎える。


「ほな一発かましたろかなぁ〜」


 初回と同じどこか間の抜けた調子で打席に立つ真琴へとチラリと視線を上げるちゃんこ。立ち位置、構え、雰囲気、全てが変わらない事に違和感を抱きつつ、ちゃんこが指を折る。


「ストライク」


 真ん中低め、打ち頃とも思える球を初球から要求し、投げ切る千尋。対して真琴は動じる事なく見送る。バットを動かす事なく、目の前を通過する球を目で追うだけ。


「ナイスボール」


 千尋へと返球する最中、周りへと球質の良さをアピールしながら、再びちゃんこは思考する。至って冷静に。


(……)


 そして浮かぶのは黒い霞、打ち取るリードは想定できている。なのに、マイナスへと導く不可思議な物体がちゃんこの片隅に鎮座し、不安を掻き立てる。


(……どうして)


 分からない。なぜなのか、意味すら分からないその姿に何もかもが奪われサインが滞る。


「……すまん」


 唐突にかかった言葉にちゃんこが元へと還る。気付けば、打席から足を外した真琴が、手袋を入念に締め付けている姿があり、なぜか胸をなでおろす。


(私が……落ち着かなくてどうする)


 真琴がもらったはずの時間でちゃんこも小さく息を吐き、誰にも気付かれないよう、目を閉じる。


(……大丈夫)


 光へと戻った先では、真琴が土を噛み、先程と全く同じ位置で構えた姿が。それを合図に即座にサインを決めると、千尋は何事もなく動き出す。


「……ストライク」


「アカン、かすってたかぁ〜」


 球審の判定に天を仰ぎ、軽く顔を叩く真琴。外角高め、ボール球でも構わないと思っていた道筋は、上手い事ゾーンを通過していたようで、投手有利となる。しかし、ちゃんこの腹の中には余裕という文字が全くなかった。


「ボール」


 外角低め、大きく外した一球。当然見送る真琴。そして、安堵したのはちゃんこ。


(……)


 分からない。未だ正体不明の霧のせいで自信が持てずにサインを送る。頷く千尋、瞬間、ゆっくりと景色が揺らぐ。おぼろ気なマウンド、動き出す人影、グニャリ、またグニャリと何かが蠢く世界で、ちゃんこは左手を差し出し、


「っ!?」


 耳を劈くような快音と共に体を震わせた瞬間、自動的に瞳がそれを捉える。セカンド兎志子が小柄ながらも、懸命に手を伸ばし届けたグラブにその一撃を捕まえた姿を。


「あ〜、もったいなっ!」


 次いであがったのは真琴の叫び。一塁へと踏み出した足を停めながら、その場でベンチへと踵を返す。その正面にちゃんこはいた。

 そして、彼女は目にした。悔しさを隠すことなく、歩き出す姿を。

 そして、耳にした。すれ違う最中、真琴が漏らした小さな言葉を。


「……まぁ、これで確定、や」


 戦慄。正にその言葉しか思い浮かばないほど、ちゃんこの心が動揺する。3回表 ツーアウト、内野陣が球を回しつつ叫ぶその言葉すら耳に入らないちゃんこがその意味を知るのにはまだ時間がかかるのだった。

こんばんわ、作者です。


野球が一段落し、どこか気が抜けた日々を過ごし……

そんな暇がないほど、なんか周りが忙しなくなってる今日この頃です(笑)

まぁ、今年も後1ヵ月、年越す前に片づけたいって気持ちになります。

だけど、出来ればもうちょっと早く、何とかしたかったね……

そう言い着かせながら、今日も仕事に励む作者なのでした。

来年こそは、もうちょっと余裕、もちたい(笑)


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

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