終わりと始まり 11
ベンチからジッと、稼頭美の打席を見ていた真澄がポツリと呟く。段差へと片足を預け、膝に片肘つきつつ前かがみになりながら。
「やっぱり、左対左だとやりにくそうね」
「そう、ですね」
応えた昌也は仁王立ちし、組んでた手を顎へと移動しながら唸る。
「……多分、通常の左以上に今日は厄介、ですね」
「そんなに?」
目を丸くしながら自分へと視線を動かした真澄へと小さく頷きながら、昌也は続けた。
「打者から見てプレート右寄りに位置取るスリークォーター、左打者にとっては見にくいのは言うまでもありませんが……」
その間も試合は進む、打席には右打者のちゃんこ。相変わらずやる気が感じられない構えで来る球を見送る。
「右打者もかなり厳しいかもしれません」
「……まぁ、ちゃんこはいつも通りだろうけどね」
相手側にも既に奏を通じ、ちゃんこのバッティングスタイルは伝わっているのだろう、直球2つで早くもツーストライクと追い込まれている。ただ、その2球を見た昌也は自分の考察に説得力を持たせるため、後方へと首だけ動かす。そして、目的の人物を視界に納めながら、問いかけた。
「佐野、バントした球、あれ動いてたよな?」
「はっ!?……ハッハイッ!」
スパイクの紐を結び直していた稼頭美は突如声をかけられた事で反射的に肯定する。そのあまりにも素っ頓狂な声に昌也は苦笑しながら、
「変化した事で狙い通りにいかなかった、だよな?」
「あっ……はい、カットしたせいで、思った以上に先端寄りになっちゃってサード側に転がっちゃいました」
(なるほど、カットか……)
稼頭美の答えに顎を撫でながら、昌也は分析をまとめる。左投げのスリークォーター。丁度オーバースローとサイドスローの中間辺りの高さから投げられるこの投法は前2つに比べより自然に身体が稼働する事から肩や肘の負担が軽く、また制球しやすい。その反面、見慣れた投球フォームになりやすい事から打者が合わせやすいデメリットも抱えるこの投法。
(それを埋めるためのプレートと横の変化)
左打者寄りに立つことで相手の視界から球のリリースを見辛くし、更に小さく変化する球種を使用する事で慣れを逆に利用した打ち損じを狙う。スリークォーターの投手なら在り来たりの投球スタイルともいえる。しかし、それだけでエースの看板である背番号1を背負っているとは到底思えなかった。
「ストライク」
不意に耳ともへと入った球審 慎吾のコールに視線を戻す。予定通り、ちゃんこが3球3振でベンチへと戻る最中、すれ違った兎志子に視線を移す。
(ここである程度手の内、明かしてくれよ……)
こちらに見向きもせず打席へと向かう兎志子に様々な期待を寄せつつ、相手バッテリーの思考も頭の片隅で予想し始め、ビハインドの1点を取り返す算段を検討し始める昌也であった。
こんばんわ、作者です。
大変です。本当に、大変でした……(笑)
まさかのPC不調からの危篤状態……久しぶりに焦りました。
原因はどうやらHDDっぽくて慌ててデータをサルベージ&保存し、修復。
とりあえず、HDDにあまり負荷かけなければ稼働はするのでビクビクしながら使っています(笑)
ただ、いつまでも戦々恐々と使うのも……なので、久々に新しいPCをポチりました。
正直、年末に向けて懐ががが……だったのですが、
まぁもう7~8年使ってますので、良い頃合いだったのかもしれません。
ちなみに、この小説に関しては完全別媒体で作成&保存しているおかげで、
今日も問題なく、アップできてます(笑)
みなさんも、大事なデータはある程度別媒体で保管しておきましょう、
私みたいに慌てる前に、ね(笑)
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




