終わりと始まり 03
「ククッ、えぇ顔しよるなぁ」
脚を交差し、ふてぶてしくベンチに背を預けた真琴が肩を震わす。その顔はどこか輝いており、まるで新しい玩具に目をときめかす子供のようで、
「先輩、兄さんで遊ばないでください」
「あーん、お怒りモードのかなちゃんもええなぁ」
「……めんどい」
試合前ではあるものの、かなり緊張感が緩いジュピターズ内のベンチでは各自がそれぞれの準備をしつつ、選手兼任監督である真琴の相手をする。その光景はいつもの事、とはいえ、なんとなくため息をつきたくなったチームキャプテンの橘 彩夏はそれを呼吸に替えて真琴の横へと腰を落す。
「真琴、スタメン表見ていい?」
「おっ?気になる〜っ?」
いつなんどきも関西人としてのノリを忘れない真琴、昔からの馴染みではある彩夏はその対処も的確で、ハイハイ、と軽くあしらいながら手を差し出す。もちろん、真琴は不服そうに頬を膨らませるが、こちらも勝手知ったるなんとやら、腐れ縁の彼女にこれ以上求めてもしょうがない事が分かっているため、素直に紙切れを渡すと、これを彩夏はマジマジと見つめた。
1番 遊撃手 佐野 稼頭美(右投左打)
2番 捕手 久保田 門代(右投右打)
3番 二塁手 鷹金 兎志子(右投右打)
4番 右翼手 石川 久子 (右投両打)
5番 三塁手 マリアナ (左投左打)
6番 一塁手 嶋野 政美 (右投右打)
7番 中堅手 水内 里奈 (右投右打)
8番 投手 山辺 千尋 (左投左打)
9番 左翼手 杉村 俊恵 (右投右打)
「ふむ……」
「んっ?なんか気になる?」
顎に手を添えた彩夏を瞳で捉えた瞬間、真琴の口が動く。対して、動揺する事なく、その姿を変えずに彩夏が答えた。
「いや……昨日の練習見る限り、てっきり捕手が4番と思っていたから」
「あ〜、なるほどなぁ〜」
相も変わらず踏ん反りかえったままの真琴が首だけで肯定を示すと助け船を出すように後ろにいた奏が補足する。
「捕手の久保田……先輩ですが、少々変わった特徴があるので」
「特徴?」
「まぁ、それは試合やってけば分かるよって」
遮るように真琴が体を揺らし、その反動でベンチ前へと降り立ちながら、クルリと見渡す。スタメン、サブメンバー共に既に身支度は出来ているようで、監督である真琴が立ち上がった場所へと視線が集まり、瞬間、空気が変わる。どこかほのぼのした雰囲気は消し飛び、芯のある緊張が一気に膨らむ。それは皆が監督の言葉を待っている証であり、理解している真琴は口角を上げ促す。戦いの幕を開く演者のように、大袈裟に両手を広げながら、グラウンドの土へと一歩を踏み出し、吠えた。
「ジュピターズッ、」
「「「「「Fightッ!!!!」」」」」
こんばんわ、作者です。
最近やっとこさ、例の注射の見通しが立ち、
私も予約取ろうと色々漁っているものの……
なかなか取れないもんですね。
まぁ、自分のスタートが遅かったのもありますが、
出来るだけ早めに見つけて接種したいなぁ、と思いつつ、
今日も取り逃してしまうのでした……orz
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




