波瀾は彼女と共に 19
その後、時間で区切られた中で交代交代に練習を行った各チーム。守備、打撃、走塁と大山女子はいつものように、真琴達はグラウンドを確かめながら、全てをこなすと時計は既に日没近くになっていた。
「……そろそろ時間か」
視線を動かしながら呟いた昌也が相手ベンチへと足を歩めようとした瞬間、彼女が目の前に現れた。いつも通り、ニッコリと、油断ならぬ笑顔で。
「えぇ頃合いやし、終わりかな?」
小首を傾げながら告げられた疑問に、昌也は小さく頷きながら声を張り上げる。両ベンチに届くように、今日の終演高らかに宣言した。
「今日はここまでっ!両軍、片づけをっ!」
ため息にもにた空気の波紋が広がり、それぞれのベンチが慌ただしくなる。使用したグラブやバット、ボールを片づけながら、グラウンドの整備へとシフトしていく。
「あっ、私達もやります」
以前から一緒に練習し、備品についてもほぼ場所を熟知している奏がみなを先導し、合流した彼女達の輪に花が咲く。
「……ところで、そっちのクラブ名聞いていいっすか?」
「あれ?話して……なかったね」
頬をかきながら苦笑いを浮かべた真琴。申し訳なさそうにしながらも、悪戯した子供のようなその顔に昌也も表情で応えると
「ふっふっふっ……聞いて驚くんやで」
流石関西人、ただでは起き上がらない。もったいぶるような口調へと即座に切り替える。付き合う義理などない昌也ではあったが、それはそれで、更に面倒くさい事になりそうだったので、神妙に頷く事で先を促す。そして、結果的にはそれが正しかった。
「ほっほぅ、素直な子はお姉さん、好きやで♪」
気分よくなった彼女は腰に手を当て、慎ましやかな胸を精一杯突きつけながら、鼻息荒く告げる。自らがオーナーであり、作り上げたそのクラブの名を。
「んじゃ、教えたるっ!その名は……浪速ジュピターズっ!!」
「……じゃあJでいいっすね」
右手を翳し、背中に盛大な効果音が響きそうな姿をサラリと流し、昌也がメモを取る。もちろん、真琴がそれを許すわけもなく。一気に沸騰させた顔で踵を返した昌也へと食って掛かる。
「待て待てっ!なんなんっ!?その対応はっ!!」
「あっ、もういいんで、お疲れっす」
ヒラヒラと背中で手を振る昌也に刺さる視線と聞こえてきた呻き声から、真琴のさぞ悔しがっている姿が浮かぶ。それは昌也の口元を緩ませるには十分であり、同時に油断ならない相手だという事を思い出す。それは今日の練習内容から否が応にも認めざるを得ない。だからこそ、思考が回る。時間はない中で、必要となる対策が頭の中を巡る。それを一つも逃したくない昌也は自然と歩幅を大きくし、ベンチへ。いつも携えている戦略ノートに全て書き綴るために1秒でも早く、不敵な笑みを消さぬまま向かうのだった。
こんばんわ、作者です。
毎日暑いですね。
ホント溶けそうになるほどに……(笑)
こういう時期になるとより美味しく感じるのがアイスであり、
私もよくおやつに買うようになって……美味しいですよね、アイス。
みなさんは食べ過ぎに注意してくださいね(笑)
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




