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10+1(イレブン)ナイン+1  作者: あまやすずのり
波瀾は彼女と共に
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波瀾は彼女と共に 17

「「「「「よろしくお願いしますっ!!」」」」」


 広く、大きく広がる空間内に女性特有な高めのキーが木霊する。それは一列に並んで、一斉に頭を下げながらの挨拶によるもの。キッチリと揃えられた姿はなかなか爽快であり、侮れないと昌也は悟った。


「よろしくお願いします」


 帽子を手に取りながら、同じように昌也が頭を垂れる。それを合図に両者が同時に顔を上げ、一人の女性が歩み寄る。人懐っこく、怪しげな影を潜めた笑顔で昌也へと近づいてきた。


「どもども、お兄さん」


「真琴さん、よろしくお願いします」


 いちお年長者、という事もあり、昌也は素直に相手チームのキャプテン兼オーナーに敬意を払う。その姿に満足したのか、真琴は少し得意げな鼻息を漏らしながら昌也へと向かい合った。


「んな水臭い、ウチとお兄さんのな・か・だ・し♪」


「先輩、いい加減にしておいてくださいね」


 ある程度予想していたのだろう、少し遅れてやってきた奏が真琴の横に付けると半眼で釘を刺す。対して、真琴はふてくされたように頬を膨らませながら奏へと文句を垂れる。そして始まる二人の会話はいつか見た喫茶店の一場面のようで、しかし、このままでは話が進まない事も同時に思い出した昌也が一つ咳払いをし、注意を向ける。


「えっと、とりあえず今日一日のスケジュールですが」


「おぉ、そやった、そやったね」


「全く……」


 本題に入った事で一息つけたのだろう、奏は二人の横を通り抜け、大山女子の輪へと向かう。つい数日前まで一緒に練習した仲間達の元へと挨拶するために。


「……ほぅ……」


「どうかしましたか?」


 説明を始めた最中、こちらを捉えていた瞳が一瞬後ろへと向けられた事に疑問を呈した昌也は正直に問いかける。と、何かを否定するように手を振る、焦りにも安堵にも似た複雑な表情をしながら。


「んっ、なんでもあらへんよ」


「そう、ですか?」


「そや、それより予定ちゃんと聞かせてや」


 ニッコリと、何の憂いもなく、微笑みを向けられれば流石の昌也もそれ以上詰める事が出来ず説明へと戻る。その間、時折ウンウンと頷く姿と的確な質問をする真琴に追及する機会はなく、全てが終わった後もサッパリと別れを告げ、それぞれの支度を進めるのだった。



「おはようございますっ、千尋せんぱいっ♪」


 かけられた声に背を向けた千尋、その先にはニコニコと笑顔が眩しい彼女がいた。


「あっ、おはよう奏ちゃん」


「ハイっ♪おはようございますっ!」


 心持ち、先程よりも顔が綻んでいるような奏に一歩近づこうとした矢先、大きな影が千尋をたたら踏む。特徴的な巨体を惜しげもなく晒しながら、彼女が間へと入った瞬間だった。


「おはよう、奏」


「……おはようございます、久保田先輩」


 ジッと瞳がぶつかる。無表情で何を考えてるのか分からないちゃんこは、どこか不機嫌そうで、対して奏は笑顔とは一変、何かを秘めた表情でじぶんよりも少々背の高いちゃんこを見上げる。端からみれば一触即発の場面、後ずさった千尋の表情からも分かる緊張感の中、梢が何食わぬ顔でその輪に加わった。


「おっ、きたねきたね〜奏ちゃん」


「っと、梢先輩おはようございます」


 パッといつもと変わらぬ表情へと戻った奏がペコリと頭を下げる。それをどこか満足そうに頷く梢。先程とは違う、何ともまったりした雰囲気になった空間で談笑が始まる。


「今日はよろしくね、奏ちゃん」


「ハイッ、こちらこそ♪」


「フフフッ……この梢様が骨抜きにしちゃうぞ……」


「梢には無理だと思う」


 そして始まった4人の会話は静かだった大山ベンチを賑やかす。その光景は注目を集めるには十分であり、他の部員達の目に停まる。それは少し離れた位置で柔軟していた内野陣1年生トリオにも当てはまり、話のタネとなった。


「えっと、あの人がコーチの妹さん?」


「ナカナカノビジンサンネッ!」


「……それ以上に曲者ですわよ」


 瞬間、稼頭美とマリアナが驚きに彩られた顔で兎志子を見やる。それも当然だった、めったに他人を評価しない兎志子から予想だにしない言葉が出たから。多少言い方に語弊がありそうだが、少なくとも兎志子がある程度認めている事には変わりなかった。


「べっ、別に誉めてるわけではないですのっ!?」


「またそんなベタな……」


「ニホンノブンカ、ツーンデレネッ!」


 2人の表情から何かを察したのだろ、少し頬を染め、どこか落ち着かない姿で言い訳がましく吠えた兎志子。それを見た稼頭美は呆れ顔で、だが、マリアナは逆に興奮した。鼻息荒く、瞳を輝かせ、握り拳を突き出し感動を示すマリアナ。その背後で一瞬血しぶきがあがった、ような気がした稼頭美だったが、とりあえず無視し、兎志子に問いかけた。


「で、その理由って?」


 稼頭美の顔が変わる。引き締めた頬の筋肉に、何かを感じ取った兎志子が腕を組み、一度離れた先輩たちの姿へと再び注視する。その口元にわずかな歪みを伴いながら。


「……同年代とは思えない才能を秘めてますから」

こんばんわ、作者です。


あっついなぁ~、いや、ホントあっついなぁ……。

もう一気に夏って感じですね。

冷たい飲み物がすごく身体に染みるようになりました。

特にね、ビールがね……(笑)

ただ、気をつけないといけないのが熱中症。

お酒では基本水分補給にはならないので、

しっかりとお水も摂取してこの夏、溶けないように乗り切りたいですね(笑)


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

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