波瀾は彼女と共に 10
「って事で、試合する事になった」
「意味不明ですわね」
年越しから二日後、いつものグラウンドに集まった面々を見ながら告げた昌也の言葉に当たり前の突っ込みを入れたのは兎志子。いつもと変わらぬ容赦ない言葉に、昌也は大袈裟にため息をつきながら言葉を紡ぐ。
「すまんが諦めてくれ」
「試合するのに諦める、とは……」
不可思議そうな顔を隠す事なく呟いたのはキャプテンの政美。仲が良い相方の里奈は隣で困ったような笑みを浮かべ、状況を見守る。
「大体っ、こんな寒空の中で試合するのは可笑しいですわよね」
新年早々機嫌悪そうに腕を組み、正論を振りかざす兎志子。その通りであった。気温が低い中で体を動かすのはデメリットが多い。寒さにより放熱ではなく、逆に閉じ込めようとする体の働きにより、関節や筋肉が動きにくくなる。その結果、いつも通りの動作に負荷がかかり、怪我へと繋がる。だからこそ、冬場は特に体を温めるためのウォーミングアップが必須であり、更に常時運動を行う事で熱を保ち続けなければならない。サッカーやマラソンのように常に動き回るスポーツであれば問題ないが、様々な場面で間が存在する野球とは相性が最悪であった。
「いや〜、その通りでは、あるんだがなぁ……」
もちろん、そんな事100も承知である昌也はおどけながら誤魔化しに入る。この場にいる昌也を含めた8人。事情を知っている梢と千尋はとりあえず、皆から少し離れた端っこで苦笑いを浮かべ、政美、里奈、兎志子、そして、兎志子の従者である久子と俊恵が昌也の言葉に耳を傾ける、訳もなかった。
「貴様、また無理難題を勝手に受けたのかっ!いや、そうに違いないっ!」
「は〜、めんど……」
普段から昌也を何かと目の敵にしている久子が嬉々として昌也を攻め立て、俊恵が気怠そうにため息をつく。年が増えても全く変わらなぬ対応に昌也が仕方なく立ち向かおうと思った矢先、だった。
「……まぁ、受けたものはしょうがないですわね」
「「「「「えっ」」」」」
その場にいる、昌也も含めた全員が同時に発したのは驚きと戸惑いの一言。しかし、件のお嬢様は気にする素振りも見せず歩き出す。顎に手を当て、何やら思案気な表情で一人ブツブツと呟きながら向かったのはベンチ。いつものように彼女達の荷物が思い思いの場所に置いてある中からマイバックを引っかけると、取り出したるは鈍色の物体、昨今誰もがもっているであろうスマートフォンを取り出した彼女は軽く指を人撫でし、耳へと当てる。
そして、広がる沈黙。
普段とは何かが決定的に違う兎志子の動きは、よく対立する昌也はおろか、従者である二人もその場で固まり、ただ見守っているだけ。結果、グラウンドに残された者はただただ視線を泳がせ、どうしようもできない最中、目の前で会話が始まる。時折微笑を携えながら、淡々と告げられる言葉は最後まで昌也達に届く事はなく終わりを告げる。果たして、それを昌也達が知るのはそう遠くない、ハッキリ言えば次の日の集合時の時に全て明かされるのだった。
こんばんわ、作者です。
最近、なんだかモチべがあがらない日々が続いております。
……原因はね、分かってるんです、でも分かってても、どうしよもないんです……
なので、どこかでリセットできる機会を探したりします。
……来週くらいには見つかるといいなぁ~、なんて思いながら(笑)
でも、まぁこちらのモチべは維持し続けますのでこれからもどうか一つ。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。




